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コラム

高所作業車の補助金|買う・借りるで変わる対象判定と建設業が使える4制度

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高所作業車の導入に補助金は使えるのか|建設業が最初に確認する「車両」の境目

外壁改修や看板工事、電気通信工事など、高所作業を伴う工事会社では、高所作業車をレンタルで回すか、思い切って自社で持つかという判断がどこかで出てきます。そのときに調べ始めるのが「補助金は使えるのか」という論点です。

ところが検索して出てくる記事の多くは、建設業で使える補助金の一覧を並べるところで終わっています。高所作業車という機材が、その制度の中でどう扱われるのかまでは書かれていません。実際に申請を検討すると、制度を選ぶ前の段階で止まることがあります。

この記事では、2026年度の制度をもとに、高所作業車の投資が補助金に乗るかどうかを判定する順番を整理します。制度名を先に選ぶのではなく、「その1台が書類上どう扱われるか」から逆算する流れで説明します。なお本文の数字・要件は執筆時点(2026年8月)のもので、申請時は必ず最新の公募要領をご確認ください。

最初の分かれ目は制度名ではなく「車両か、機械装置か」

高所作業車の補助金を考えるとき、多くの方が「どの補助金が使えるか」から入ります。しかし順番としては、その前に確認しておくことがあります。補助金の対象経費の考え方です。

たとえば新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠では、機械装置・システム構築費が必須かつ主軸とされたうえで、汎用PC・スマホ・車両・家賃・建物の単なる購入等は対象外と示されています。小規模事業者持続化補助金でも、自動車・フォークリフト・キッチンカー等の車両は原則対象外という整理がされています。

つまり制度側には「車両」という区分があり、そこに入るものは経費として乗りにくい構造になっています。高所作業車は現場では一つの呼び名でまとまっていますが、トラックの荷台に作業装置を載せた車両搭載型と、自走式の垂直昇降型・ブーム型では、書類上の性格が変わってきます。公道を走るために自動車としての登録が必要なものもあれば、現場内でのみ使う機械として扱われるものもあります。

ここは制度の公募要領だけで一律に決まる論点ではありません。導入予定の機種について、見積書の品名がどう書かれるのか、資産としてどの区分で計上することになるのかを、販売店や税理士に事前に確認しておくのが現実的な進め方です。この確認をしないまま制度を選ぶと、後の段取りがすべてやり直しになります。

三浦高

💬 執筆者の三浦から一言

現場では「高所作業車」とひとことで呼びますが、制度側はその呼び名では見ていません。事務局で申請書を見ていた立場から言うと、審査で目に入るのは見積書の品名と金額です。購入を決める前に、その1台が書類上どう書かれる機材なのかを販売店に確かめておくと、制度選びの話がまったく違う速さで進みます。

制度ごとに、高所作業車はこう扱われます

そのうえで、建設業が候補にしやすい4つの制度を、高所作業車の投資という観点から見ていきます。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠

革新的な新製品・新サービスの開発を支援する枠です。自社の技術力等を活かして顧客等に新たな価値を提供する取組が対象で、単なる設備・システム導入、既存製品・サービスの生産プロセス改善、同業で既に相当程度普及している開発は対象外とされています。

高所作業車を1台入れて、これまで外注していた高所作業を自社で行えるようにする、という計画は「単なる設備導入」に読まれやすい形です。加えて前述の車両の扱いもあります。補助下限は100万円、補助率は中小企業者で2分の1(小規模企業・小規模事業者・再生事業者は3分の2)で、第1回公募は2026年6月29日から2026年10月30日18時締切、採択発表は2027年1月頃とされています。

中小企業省力化投資補助金(一般型)

人手不足の解消と生産性向上を目的に、事業内容やレイアウトに合わせた省力化投資を支援する制度です。補助上限は1億円で、設備投資として単価50万円(税抜)以上の機械装置等を最低1つ入れることが求められます。

ここで見落とされやすいのが対象設備の考え方です。対象になるのはオーダーメイド性のある設備で、省力化に資する汎用設備を複数組み合わせることでより高い省力化効果や付加価値を生み出す場合、または事業者の導入環境に応じて周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能等が変わる場合に該当すれば、汎用設備でもオーダーメイド設備とみなされます。逆に、単に汎用設備を単体で導入する事業は対象外です。単価50万円以上という要件を満たしていても、それだけでは足りません。

高所作業車を1台だけ購入する計画は、この単体導入に当たりやすい形です。一方で、高所作業を伴う点検・改修の工程全体を組み替える計画、たとえば計測機器や現場管理システムと組み合わせて作業の段取りごと変える構成であれば、検討の余地が出てきます。ただし3〜5年の事業計画で労働生産性を年平均4.0%以上伸ばす計画が必要で、賃上げ目標が要件となり、未達の場合は達成率に応じて返還が発生しうる制度でもあります。

💬 無料相談のご案内

補助金専門行政書士法人は、V-Spirits元補助金審査員の三浦を中心とした専門家チームが補助金支援を行っております。「このケースは補助金の対象になるのか?」といった疑問にも、無料でお答えしております。お気軽にご相談ください。

中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)

公的に登録された省力化製品から選んで導入する制度です。カタログに登録された省力化製品を導入することが前提で、中小企業等が販売事業者と共同で申請することが求められます(単独申請は原則不可)。

ここでの入口は、機材そのものよりも「その製品がカタログに載っているか」と「共同申請してくれる販売事業者がいるか」です。高所作業車を扱う販売店やレンタル会社が、この制度の販売事業者として登録されているとは限りません。制度を検討する場合は、取引先に登録の有無を確認するところから始まります。

小規模事業者持続化補助金

販路開拓と、それにセットで行う業務効率化を支援する制度です。補助上限は基本50万円で、特例の要件を満たす場合は最大250万円まで上乗せされます。前述のとおり車両は原則対象外ですが、この制度には対象経費の区分として借料があり、機器・設備等のリース・レンタル料が挙げられています。

ただし2つの制約があります。1つは対象者です。建設業は「製造業その他」に当たり、常時使用する従業員20人以下が小規模事業者の範囲になります。もう1つは主題で、この制度は販路開拓が軸です。日常の工事で使う機材のレンタル料をそのまま乗せる形にはなりにくく、あくまで新しい売り方や新規客層の獲得と結びつく取組の中で位置づけることになります。

「買う・借りる・リースする」で見える景色が変わります

高所作業車は、建設業では必要なときだけレンタルで手配するのが標準的な進め方です。ここが他の設備投資と違うところで、制度との相性にも影響します。

購入の場合は、車両として扱われるかどうかという最初の関門を通る必要があります。レンタル・リースの場合は、購入代金という形の投資が発生しないため、機械装置費を主軸とする制度には乗せにくくなります。借りる費用を経費として位置づけられるのは、上で触れた小規模事業者持続化補助金の借料の区分ですが、そちらは販路開拓という主題と対象者の制約があります。

この構造を先に理解しておくと、「補助金があるから買う」ではなく、「この投資はどの持ち方が事業に合うか」を決めたうえで、それに合う制度があるかを探す順番に変わります。実務としては後者のほうが、結果的に採択にも近づきます。

導入理由を、制度が見ている言葉に置き換える

高所作業車を検討するきっかけは、多くの場合「安全のため」「元請から求められたため」「外注費がかさむため」です。どれも事業上は正当な理由ですが、そのままでは制度の評価軸に乗りません。

制度が見ているのは、たとえば中小企業省力化投資補助金(一般型)なら労働生産性の年平均4.0%以上の向上、革新的新製品・サービス枠なら付加価値額の年平均4.0%以上の成長と、一人当たり給与支給総額の年平均3.5%以上の増加です。カタログ注文型でも労働生産性の年平均3.0%以上の向上が計画に必要で、賃上げ目標を盛り込むと上限枠が広がる一方、未達の場合は減額対象になります。

したがって、「外注していた高所作業を内製化して1現場あたりの手配日数が減る」「同じ人数で対応できる現場数が増える」といった形に、自社の数字で翻訳する作業が必要になります。ここを飛ばして機材の性能だけを書いた計画書は、評価する側から見ると判断のしようがありません。

三浦高

💬 執筆者の三浦から一言

建設業のご相談で順番が逆になりやすいのは、機材の発注のほうが先に動いてしまう場面です。交付決定の前に契約や発注をした分は対象から外れます。工事の受注が固まってから機材を手配するという普段の進め方とは、時間の流れが噛み合いません。導入時期に幅を持たせられる案件から制度に載せていくと、この衝突を避けられます。

申請を検討する前に決めておく4つのこと

  • その機材が書類上どう扱われるか:見積書の品名と資産の計上区分を販売店・税理士に確認します
  • 買うのか、借りるのか:持ち方によって候補になる制度が入れ替わります
  • 単体か、組み合わせか:中小企業省力化投資補助金(一般型)を狙うなら、単体導入では要件を満たしません
  • いつ発注するか:交付決定日前に行った発注・契約・支払は対象外です。採択通知だけでは事業を開始できません

よくある質問

高所作業車のレンタル料に使える補助金はありますか

小規模事業者持続化補助金には借料という経費区分があり、機器・設備等のリース・レンタル料が挙げられています。ただし対象は小規模事業者に限られ、建設業では常時使用する従業員20人以下が範囲です。また販路開拓が主題の制度なので、日常業務の機材費という位置づけでは説明が難しくなります。

中古の高所作業車でも対象になりますか

制度によって扱いが異なります。小規模事業者持続化補助金の機械装置等費では、中古品は条件付きで、単価50万円(税抜)未満かつ2者以上の見積が必要とされています。中古を検討する場合は、その制度の公募要領で中古品の条件を先に確認してください。

元請から求められた安全設備なら通りやすくなりますか

元請の要求は導入の動機にはなりますが、制度の審査は生産性や付加価値、賃上げの計画で見られます。安全性の向上だけを理由にした計画では、評価軸に乗らないとお考えください。安全面の効果は書きつつ、数字の裏づけは別途組み立てる必要があります。

まとめ

高所作業車の補助金は、「使える・使えない」で単純に割り切れるテーマではありません。制度名から入るのではなく、その1台が車両として扱われるのか機械装置として扱われるのか、購入するのか借りるのか、単体で入れるのか工程ごと組み替えるのかという3つの分岐を先に確定させることで、候補になる制度が自然に絞られます。

そのうえで、導入理由を労働生産性や付加価値額といった制度側の言葉に翻訳し、交付決定前の発注にならないよう時間軸を設計します。この順番で進めるのが、遠回りに見えて最も確実です。制度は年度ごとに要件が変わりますので、検討を始める段階で最新の公募要領を確認し、判断に迷う部分は専門家にご相談ください。

【無料相談のご案内】

弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

フリーダイヤル 0120-335-523
お問い合わせフォーム https://v-spirits.com/contacts

三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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