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コラム

弁当屋の真空包装機・急速冷凍機の補助金|チルド・冷凍別の選び方

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弁当の日持ちを延ばす設備と補助金|真空包装機・急速冷凍機の選び方

弁当や仕出しのお店で真空包装機と急速冷凍機の見積を取り始めると、機械の性能表と一緒に「この機械は補助金が使えます」という案内が付いてくることがあります。ところが制度の名前を並べて比べても、自分の店がどれに当てはまるのかは決まりません。決め手になるのは機械の名前ではなく、その2台で商品の日持ちをどこまで延ばすつもりなのか、という設計のほうです。この記事では、開業から数年以内で常時使用する従業員が5人以下という規模のお店を想定して、日持ちの設計から補助金の入口をたどる順番を整理します。

2台の機械は、日持ちをどこまで延ばすかで役割が分かれます

真空包装機は袋の中の空気を抜いて密封する機械です。酸素に触れる面を減らすことで、冷蔵のままでも品質が保てる時間を数日単位に伸ばす使い方が中心になります。いっぽう急速冷凍機は、食品の温度を短時間で下げて凍らせる機械です。氷の粒を小さいまま通過させることで、解凍したあとの食感の落ち方を抑えます。こちらは週や月の単位で在庫として持てるようにする設備です。

この2台は似た棚に並んでいますが、目指している時間の長さが違います。数日を狙うのか、数週間から数か月を狙うのか。ここが決まっていないと、真空にしてから加熱するのか、加熱して冷やしてから凍らせて包むのかという工程の順番も決まりません。工程の順番が決まらなければ、どちらの機械をどの能力で買うのかも決まらないままです。

日持ちが変わると、補助金から見た投資の性格も変わります

補助金の審査では、買った機械そのものより、その機械で事業がどう変わるのかが見られます。日持ちの設計は、ここに直接つながります。

たとえば当日中に売り切る弁当を、真空包装で2日から3日持つようにした場合を考えます。作り置きできる品目が増えて仕込みの山がならされ、売れ残りの廃棄が減ります。ただし売る相手も売り方も、これまでと同じ店頭や配達のままです。この形は、既存の商売の中身を良くする投資として読まれます。

これに対して、急速冷凍で1か月単位の在庫にできるようになると、話が変わります。冷凍便で遠くへ送れるようになり、法人のまとめ買いや通信販売という、これまで受けられなかった注文が受けられるようになります。売る相手が変わり、商品の売り方そのものが変わるため、販路の開拓や新しい事業への進出として読まれます。

同じ2台の見積でも、日持ちの設計が違えば投資の性格が変わり、性格が変われば筋の通る制度も変わります。制度の一覧から選ぶのではなく、この性格から逆にたどるほうが、迷う回数が減ります。

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数日単位の日持ちで設計するなら、販路開拓の制度から見ます

冷蔵のままで数日を狙う設計であれば、投資の額は数十万円から百万円台に収まることが多くなります。この規模で最初に見るのは小規模事業者持続化補助金です。第20回公募の要領(第7版・2026年5月27日公開)では、補助率は3分の2、補助上限は50万円で、インボイス特例と賃金引上げ特例の両方を満たした場合に最大250万円まで上乗せされる設計になっています。

この制度で押さえておきたいのは、対象になる小規模事業者の範囲です。商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は常時使用する従業員が5人以下、製造業その他は20人以下という線が引かれています。店頭販売が中心の弁当屋か、製造して卸す形かによって、自分がどちらの数字で判定されるのかが変わります。役員や個人事業主本人、同居の親族従業員はこの人数に数えません。

経費のほうは、機械装置等費として真空包装機を計上する形になります。あわせて商品の紹介物やホームページを作る場合、広報費とウェブサイト関連費にはそれぞれ30万円(税込)という上限があり、しかもどちらか一方だけでの申請は認められていません。機械を主役に据えて、告知の費用を脇に置く組み方になります。

手続きの面では、商工会または商工会議所から事業支援計画書(様式4)の発行を受ける必要があり、この受付には締切があります。交付決定日より前に発注・契約・支払をしたものは対象外です。単価50万円(税抜)を超える機械装置は2者以上の相見積が求められます。

月単位の在庫にする設計なら、新製品・新市場の枠を見ます

急速冷凍機を入れて冷凍商品として売り出す設計であれば、投資の額は数百万円規模になり、制度の側も変わります。ここで候補になるのが、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金です。2026年度から、それまでのものづくり補助金と新事業進出補助金は統合され、この名称の各枠という形に整理されています。別々の独立した制度として説明されている記事もありますが、公募要領(1.0版・令和8年6月)の上では1つの制度です。

冷凍の弁当や惣菜を新しい商品として開発する形なら、革新的新製品・サービス枠が自然です。従業員1人から5人の規模での補助上限は750万円、補助下限は100万円で、補助率は小規模企業・小規模事業者であれば3分の2です。機械装置・システム構築費は単価10万円(税抜)以上のものが対象になります。ただし、新製品や新サービスの開発を伴わない単なる設備の導入は対象外とされている点は、計画を書く前に見ておく箇所です。

三浦高

💬 執筆者の三浦から一言

補助金の紹介で先に目に入る3,500万円や9,000万円という数字は、いちばん大きな従業員規模で、なおかつ大幅賃上げの特例まで使ったときの最大値です。従業員5人以下のお店なら、革新的新製品・サービス枠の上限は750万円という並びになります(公募要領1.0版・令和8年6月)。上限額は規模で動くものとして見ておくと、見積の組み方も落ち着きます。

もうひとつの新事業進出枠は、既存の事業とは違う新しい市場へ出ることを支える枠です。従業員1人から20人の補助上限は2,500万円ですが、補助下限が750万円と高く設定されています。機械2台の投資額がこの下限に届かない場合は、この枠では受け止められません。新規設立や創業後1年に満たない事業者は対象外で、最低1期分の決算書が必要という条件も付いています。第1回公募の申請締切は2026年9月30日18時、採択発表は2026年12月頃の予定です。

省力化として組む道もありますが、条件が1つ増えます

仕込みの手間を減らすことが主眼であれば、中小企業省力化投資補助金(一般型)という道もあります。補助上限は1億円で、3年から5年の事業計画で労働生産性を年平均4.0パーセント以上伸ばす計画が求められ、単価50万円(税抜)以上の機械装置等を最低1つ入れることが要件です。賃上げ目標が要件になっていて、未達の場合は達成率に応じて返還が発生しうる制度でもあります。なお、汎用設備を単体で導入するだけの事業は対象外とされているため、2台をひとつの工程として説明できる計画が前提になります。

中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)は、公的に登録された省力化製品から選んで導入する制度で、販売事業者と共同で申請する形が原則です。真空包装機や急速冷凍機がカタログに登録されているかどうかは製品ごとに違うため、販売店に確認するところから始まります。カタログに載っていない設備は、この型ではなく一般型の側の話になります。

見積を取る前に決めておきたい3つのこと

ここまでの流れをまとめると、機械を選ぶ前に決めておく事柄は3つです。

  • どこまで日持ちさせるか。数日で足りるのか、月単位の在庫にしたいのか。ここで真空包装機が主役か急速冷凍機が主役かが決まります
  • その日持ちで、誰に売るか。今の店頭と配達のままなのか、法人や通信販売という新しい相手に届けるのか。売る相手が変わるかどうかで、制度の性格が分かれます
  • 2台を同時に入れるか、順番に入れるか。同時に入れて1つの工程として組むのか、片方から始めるのか。投資額が変わり、届く制度の下限も変わります

この3つが決まっていれば、販売店から届く見積も、補助金の相談で聞かれる内容も、同じ話を軸に組み立てられます。

まとめ

弁当屋が真空包装機と急速冷凍機を入れるとき、補助金の入口を決めるのは機械の名前ではなく、日持ちの設計です。数日単位で店頭の商売を良くする形なら小規模事業者持続化補助金、月単位の在庫にして売る相手を広げる形なら新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の各枠、仕込みの工程そのものを作り替える形なら中小企業省力化投資補助金という並びになります。ここに挙げた金額や要件は公募回ごとに変わるため、申請時点の公募要領で確認する前提でお読みください。どの設計が自社の商売に合うのか判断がつかない段階でも、日持ちと売り先の2つを整理してからご相談いただくと、話が早く進みます。

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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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中野裕哲

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】

税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1,000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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