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コラム

ヘルメット検知AI・危険検知AIの補助金|建設業の申請6つのポイント

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ヘルメット検知AI・危険検知AIの補助金|現場の安全投資を制度の数値目標につなぐ考え方

ヘルメットの未着用や立入禁止区域への侵入を自動で知らせるAIを、現場に入れたいという相談が増えています。ところが補助金を調べ始めると、出てくるのは会計システムやセキュリティ対策の解説ばかりで、自社の投資がどこに当てはまるのか見えなくなります。

理由ははっきりしています。経済産業省・中小企業庁系の補助金には「安全対策」という目的区分がありません。制度が用意している入口は、既存事業の省力化・生産性向上、業務効率化とデジタル化、販路開拓の3つです。危険検知AIを申請に乗せるには、現場で起きることをこの3つのどれかの言葉に置き換える作業が入ります。

この記事では、従業員20名前後の総合建設業・専門工事会社を想定して、その置き換え方を質問形式で整理します。制度の内容は2026年8月時点のもので、公募回ごとに変わります。

Q1. 「安全のための投資」として申請できますか

安全そのものを目的に掲げた枠は、候補になる制度の中にはありません。申請書に「労働災害を防ぐため」とだけ書いた計画は、審査する側から見ると評価する物差しが無い状態になります。

実務では、危険検知AIの導入を次の2通りで実施します。ひとつは、これまで人が張り付いて見ていた作業を機械に渡す省力化投資として組む方法です。中小企業省力化投資補助金(一般型)が想定している形で、補助上限は1億円、単価50万円(税抜)以上の機械装置等を最低1つ入れることが要件になります。もうひとつは、記録と共有のしくみを整えるデジタル化の投資として組む方法で、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)が該当します。通常枠の補助上限は450万円です。

同じ「危険検知AIを入れる」という一文でも、どちらに寄せるかで書く内容が変わります。省力化として組むなら現場の工程と人の配置が計画の中心になり、デジタル化として組むなら記録がどう流れるかが中心になります。両方の要素があるからと欲張って書くと、どちらの審査基準から見ても説明が薄い計画になります。先に軸を1本決めてください。

なお、既製の省力化製品を選んで導入する形であれば中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)という入口もありますが、こちらは登録された製品を販売事業者と共同で申請することが前提です。自社の現場に合わせて構成を組む話であれば、カタログ側では扱えません。

Q2. 「労働災害が減る」は計画の効果として書けますか

背景として書くことはできますが、審査で見られる数値目標にはなりません。省力化投資補助金は計画に労働生産性の伸びを求めており、一般型は年平均4.0%以上、カタログ注文型は年平均成長率3.0%以上が基準です。

ここで押さえたいのは、労働生産性が付加価値を従業員数で割った値だという点です。事故が起きなかったという結果は、この式のどこにも直接入りません。「危険検知AIを入れたので生産性が上がります」と書いても、計算がつながらないまま提出することになります。

三浦高

💬 執筆者の三浦から一言

制度名から先に決めると、見積を作り直すことになりがちです。事務局で申請書を見ていた立場から言うと、順番は逆のほうが早く進みます。いくら使うのか、どの作業を機械に渡すのかを社内で固めてから制度を当てにいくと、書類の手戻りが減ります。決めきれないうちに見積を取ると、後から枠に合わせて中身を削る話になります。

Q3. では何を数値目標に置けばよいのですか

検知AIが実際に肩代わりしている人の作業を、工数として書き出すところから始めます。建設現場であれば、次のような時間が候補になります。

  • 安全パトロールで現場を回っている時間
  • 詰所のモニターを人が見ている時間
  • ヒヤリハットの記録を手で起こしている時間
  • 事後に録画を見返して状況を確認している時間

この工数が月あたり何時間で、導入後にどれだけ残るのかを現場ごとに出します。減った時間を施工そのものに振り向けられるのであれば、付加価値と従業員数の関係として計画に載せられます。逆に、書き出してみて減る時間がほとんど出てこない場合は、省力化の枠で組むこと自体を考え直す材料になります。

数え方でつまずきやすいのは、複数現場を同時に抱えている会社です。安全パトロールの時間は現場数に比例して増えるため、1現場あたりの平均で出すと実態から離れます。直近の繁忙期に何現場を回し、移動を含めて何時間かかっていたのかを、月単位の実数で押さえたほうが計画の説明が通ります。導入後にゼロになる作業はほとんど無いので、残る時間も併せて書いておくと、審査する側が読んだときに数字の出どころが追えます。

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Q4. 生産性の数字に置き換えられないときは

無理に省力化へ寄せるより、業務効率化とデジタル化の側で組む道があります。検知の結果を日報や安全書類に自動で残す、元請への報告資料を画面から出せるようにする、といった使い方であれば、デジタル化・AI導入補助金の考え方に沿います。

この制度は事務局に登録されたITツールを、登録されたIT導入支援事業者の支援を受けて導入することが前提です。ソフトウェア購入費のほか、クラウド利用料は最大2年分、設定・研修・マニュアル作成・保守サポートなどの導入関連費も対象経費に含まれます。一方で、現場に配る端末そのものを単体で買う費用は対象になりません。

Q5. 賃上げの要件を満たせなかったらどうなりますか

未達だったときの扱いは制度ごとに違います。省力化投資補助金の一般型は賃上げ目標が要件で、未達の場合は達成率に応じて返還が発生しうる設計です。カタログ注文型は賃上げ目標を盛り込むと上限枠が広がる一方、未達は減額の対象になります。

安全のための投資は、売上の増加に直接つながる性格のものではありません。賃上げ計画を検知AI単体の効果から組み立てると、後から苦しくなります。会社全体の受注と人員の見通しの中で成立するかどうかを見たうえで、どの制度で申請するかを決める順番になります。

Q6. 投資額が小さいときはどう考えますか

数十万円規模で既存のカメラに検知機能だけを足すような場合、省力化投資補助金の一般型は単価50万円以上の機械装置等が要件のため、そのままでは形になりません。小規模事業者持続化補助金は補助率3分の2・上限50万円(特例の併用で最大250万円)ですが、こちらは販路開拓が主題の制度で、従業員数の上限もあります。製造業その他は20人以下、商業・サービス業は5人以下が対象です。

社内の制度以外に、自治体や業界団体が独自に用意している助成のしくみが存在する場合もあります。金額や条件は地域と年度で変わるため、施工エリアの窓口で確認する形になります。

申請前に決めておく4項目

  1. 導入するのは既存カメラへのソフト追加か、カメラを含む一式かを確定する
  2. 検知AIに渡す人の作業を1つ以上特定し、月あたりの工数を数える
  3. 省力化として組むのか、記録と共有のデジタル化として組むのかを決める
  4. 賃上げ目標を会社全体の見通しの中で置けるかを確かめる

省力化投資補助金の一般型には、対象設備にオーダーメイド性を求める要件もあります。汎用の設備を単体で導入するだけでは対象外で、複数の設備を組み合わせて高い省力化効果を出す場合や、導入環境に応じて周辺機器の数や搭載する機能が変わる場合に対象と判断されます。カメラ1台と検知ソフトという構成でこの要件をどう説明するかは、見積を取る前に整理しておく部分です。

まとめ

危険検知AIの補助金は、制度を探すところではなく、現場の何が変わるのかを数字にするところから決まります。安全という言葉のままでは制度の物差しに乗らないため、人の作業がどれだけ機械に移るのかを工数で示すか、記録と共有のしくみが整うという形に置き換えるか、そのどちらかを先に選ぶ流れになります。判断に迷う段階で見積を取ると、制度の枠に合わせて投資の中身を削ることになりかねません。制度の要件は公募回ごとに変わるため、最新の公募要領で確認しながら進めてください。

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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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中野裕哲

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】

税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1,000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

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