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コラム

居酒屋開業で使える補助金と融資|小規模事業者要件のアルバイト人数の壁と資金調達の順番【2026年版】

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居酒屋は補助金の「小規模事業者」に当たるか|従業員の数え方と開業資金の組み立て方

居酒屋の開業を前に補助金を調べると、「飲食店で使える補助金一覧」のような記事がいくつも見つかります。ただ、そこに並んでいる制度の多くは、そもそも自分の店が対象になるかどうかの入口で結論が変わります。居酒屋の場合、その入口でいちばん効いてくるのが「小規模事業者に当たるか」という要件です。

居酒屋はホールとキッチンにアルバイトを多く置く業態です。売上規模は小さくても人数だけは膨らみやすく、いざ申請しようとした段階で対象から外れていた、というつまずき方をしがちです。この記事では、居酒屋のオーナーが最初に確認すべき従業員数の考え方を整理したうえで、開業資金をどう組み立てるかまで通しで解説します。記載している数字・要件は2026年8月時点で公開されている情報にもとづくものです。

居酒屋がまず確かめるべきは「小規模事業者かどうか」

商業・サービス業は常時使用する従業員5人以下

飲食店向けとして最もよく紹介される小規模事業者持続化補助金は、その名のとおり小規模事業者だけが対象です。従業員数の上限は業種によって次のように分かれています。

  • 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く):常時使用する従業員 5人以下
  • サービス業のうち宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員 20人以下
  • 製造業その他:常時使用する従業員 20人以下

居酒屋は通常、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)として扱われるため、目安になるのは5人以下という厳しめのラインです。20人以下だと思い込んで計画を立てていると、申請の直前に前提が崩れます。業種の判定に迷う場合は、後述する事業支援計画書を発行してもらう商工会・商工会議所の窓口で、早い段階で確認しておくと確実です。

数えなくてよい人が意外に多い

ここで重要なのが、全員を頭数で数えるわけではないという点です。会社役員、個人事業主本人、同居の親族従業員、日雇いなどはカウントに含めません。

つまり、夫婦2人で店に立ち、ほかに学生アルバイトが数名という体制であれば、オーナー本人と同居の家族は数に入らないため、見た目の人数より少なく判定される可能性があります。逆に、常時使用する形で雇っている社員・パートが5人を超えていれば、売上が小さくても小規模事業者からは外れます。

「常時使用する従業員」に当たるかどうかは雇用の実態で判断される部分があり、シフトの入り方によって微妙なケースも出てきます。自己判断で決めつけず、窓口で自店の体制を説明して確認するのが安全です。

5人を超えたら制度の組み合わせを変える

小規模事業者から外れたとしても、補助金の道が閉じるわけではありません。中小企業向けの制度であれば、従業員規模がもう少し大きくても対象になります。居酒屋であれば、ITツールを対象とするデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)や、省力化機器を対象とする中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)が候補になります。

大切なのは、「どの制度が有名か」ではなく「自店の規模と投資内容がどの制度の土俵に乗るか」で選ぶことです。この順番を逆にすると、要件を満たさない制度に合わせて計画を作り込んでしまうことになります。

開業前の申請でつまずきやすい2点

規模の話と並んで、開業前だからこそ引っかかるポイントが2つあります。

1つ目は、小規模事業者持続化補助金が「申請時点で未開業の創業予定者」を対象外になりやすい形態として挙げていることです。創業者向けには別枠として<創業型>が用意されていますが、通常枠との重複申請はできません。どちらか一方を選ぶ設計になっている点は押さえておきたいところです。

2つ目は、交付決定日より前に行った発注・契約・支払は補助の対象外という取り扱いです。採択の通知が届いただけでは事業を開始できず、その後の交付決定を待つ必要があります。開店日を動かせない状況で内装や厨房機器を先に発注すれば、その支出はあとから補助の対象にはなりません。

加えて、申請は電子申請のみでGビズIDプライムのアカウントが必須です。事業支援計画書(様式4)は商工会・商工会議所に発行してもらう書類で、受付締切以降の発行依頼はいかなる理由でも受け付けられません。開業準備と並行して進めるには、それなりの前倒しが要ります。

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補助金専門行政書士法人は、V-Spirits元補助金審査員の三浦を中心とした専門家チームが補助金支援を行っております。「このケースは補助金の対象になるのか?」といった疑問にも、無料でお答えしております。お気軽にご相談ください。

開業資金の主役は日本政策金融公庫の創業融資

主力制度は「新規開業・スタートアップ支援資金」

補助金は原則として後払いで、事業を実施して支払いを終え、実績報告を提出したあとに交付されます。そのため、開業時にまとまった資金を用意する役割は融資が担います。現在の主力制度は日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」で、2024年3月に「新創業融資制度」が廃止されたあと、創業期の資金調達を支える制度として位置づけられています。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)です。

創業期の方は、原則として無担保・無保証人で各種融資制度を利用できます。審査では、事業として創業した実績がなくても、事業計画書と自己資金などをもとに判断されます。自己資金については制度上の額や割合の要件は決まっていませんが、審査の重要な判断材料になるため、面談の時点で口座に確認できる形にしておきます。

金利・据置期間・返済期間

2026年6月1日現在の基準利率は、創業期(税務申告を2期終えていない時期)に利用する場合で年3.45〜5.15%です。創業期の方が利用する場合は、原則0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)の引下げが適用される可能性がありますが、適用可否は利用する制度や審査・条件により異なるため、必ず下がると考えず申請先で確認してください。元金返済の据置期間は5年以内で設定でき、据置中は利息のみの支払いとなります。

返済期間は、新規開業・スタートアップ支援資金を利用する場合の例として、設備資金が20年以内、運転資金が原則10年以内とされています。居酒屋は開店から客足が落ち着くまでに時間がかかりやすい業態なので、据置期間を使って初期の負担を抑えられる点は資金計画で意識しておきたいところです。

居酒屋ならではの段取りも資金計画に重ねる

書類を提出してから融資が実行されるまでは、おおむね3週間から1か月が目安です。創業計画書や自己資金のエビデンス、見積書などを整える時間を含めると、準備に1か月、審査・実行に1か月で、合計2か月程度を見込んでおくと安全です。

居酒屋の場合はここに許認可の段取りが重なります。飲食店営業許可に加えて、深夜0時を超えて酒類を提供する業態では別途の届出が必要になるなど、営業スタイルによって手続きが変わります。必要な手続きや要否は個別の状況で異なるため、行政書士などの専門家に早めに相談しておくと、開店日の後ろ倒しを避けやすくなります。

開業後、規模に合わせて狙える3つの制度

従業員5人以下なら小規模事業者持続化補助金

販路開拓と、それとセットで行う業務効率化の取組を支援する制度です。補助率は2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4)、補助上限は基本50万円で、インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円が上乗せされ、両特例の要件を満たす場合は最大250万円になります。

注意したいのが経費区分ごとの上限です。第20回では、広報費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)で広報費のみの申請は不可、ウェブサイト関連費も上限30万円(税込)でウェブ関連費のみの申請は不可と定められています。開店告知のチラシとホームページだけで満額まで使う組み立ては成立しないため、店舗備品や新メニューの開発なども含めて計画を練る必要があります。

ITツールならデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)

POSレジ、モバイルオーダー、予約管理、キャッシュレス決済といったITツールの導入を支援する制度で、補助上限は3,000万円とされています。人手をかけずに回転率や客単価を上げたい居酒屋とは相性がよく、アルバイトの人数が多くて小規模事業者から外れる店でも検討しやすい選択肢です。ツールの登録状況や対象要件は公募回ごとに変わるため、導入を検討する時点で最新の公募要領を確認してください。

省力化機器なら中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)

あらかじめ登録された省力化製品を導入する形式の制度で、補助上限は1,500万円(大幅賃上げ計画を盛る場合)です。配膳や洗浄といった負荷の高い作業を機器に置き換えたい場合の候補になります。

見落とされやすいのが、中小企業等が販売事業者と共同で申請することが前提で、単独申請は原則できないという点です。導入したい機器がカタログに登録されているか、その販売事業者が共同申請に対応しているかを、検討の初期段階で確認しておく必要があります。また、省力化投資による労働生産性を年平均成長率3.0%以上向上させる計画が求められ、計画未達時の減額規定もあります。

よくある質問

Q. アルバイトが10人いると、小規模事業者持続化補助金は使えませんか

頭数がそのまま従業員数になるわけではありません。会社役員、個人事業主本人、同居の親族従業員、日雇いなどはカウントに含めないため、実際の判定は体制によって変わります。ただし常時使用する形で雇っている人が5人を超えていれば、商業・サービス業では小規模事業者から外れます。判断が微妙な場合は、商工会・商工会議所の窓口で自店の体制を説明して確認してください。

Q. 開業前に補助金を申請しておくことはできますか

小規模事業者持続化補助金の通常枠については、申請時点で未開業の創業予定者は対象外になりやすい形態として挙げられています。創業者向けの<創業型>は通常枠との重複申請ができません。また自治体が独自に設ける創業支援の助成制度など、地域によって使えるものが用意されている場合もあるので、開業予定地の制度も合わせて確認するとよいでしょう。

Q. 自己資金がゼロでも創業融資は申し込めますか

制度上、自己資金の額や割合の要件は決まっていません。ただし自己資金の額は審査の重要な判断材料になるため、多いほど有利になりやすいのは事実です。創業前に自費で購入した設備や備品、テストマーケティングの費用などは、みなし自己資金として一定範囲で評価されることがあるので、領収書は必ず保管しておきましょう。

まとめ

居酒屋の開業で補助金を検討するときは、制度名を並べる前に「自分の店が小規模事業者に当たるか」を先に確かめてください。商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)では常時使用する従業員5人以下が目安で、役員・個人事業主本人・同居の親族従業員・日雇いなどはカウントに含めません。アルバイトを多く抱える居酒屋では、この判定で結論が変わります。

そのうえで、開業資金そのものは日本政策金融公庫の創業融資で確保し、補助金は開業後の販路開拓・IT導入・省力化投資に充てるという役割分担で考えると、計画が崩れにくくなります。5人以下なら小規模事業者持続化補助金、規模が大きい店ならデジタル化・AI導入補助金や中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)と、自店の規模に合った制度を選び直せば選択肢は残ります。

制度の要件・金額・日程は公募回ごとに見直されます。この記事の内容は2026年8月時点で公開されている情報にもとづくものですので、実際に申請する際は必ず最新の公募要領と日本政策金融公庫の公式情報をご確認ください。

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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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