
飲食店の自動釣銭機・自動精算機は補助金の対象になる?3制度の使い分け
レジ締め作業の時間を減らしたい、レジの現金誤差をなくしたい――そんな理由から自動釣銭機・自動精算機の導入を検討する飲食店は増えています。ただし本体価格は数十万円から200万円前後になることも多く、初期費用の負担は軽くありません。実は自動釣銭機・自動精算機の導入は、条件を満たせば複数の補助金制度の対象になり得ます。この記事では、飲食店が使える可能性のある3つの補助金制度と、見落としやすい申請の注意点を整理します。
自動釣銭機・自動精算機は補助金の対象になるのか
結論として、自動釣銭機・自動精算機は補助金の対象に「なり得ます」。ただし無条件で対象になるわけではなく、どの補助金を使うかによって、対象となる条件や申請の進め方が大きく異なります。本記事執筆時点(2026年7月)で、飲食店が検討しやすい制度は主に次の3つです。
- 中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)
- デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
- 小規模事業者持続化補助金
3つの補助金制度の中身と対象になる条件
中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)
カタログ注文型は、事務局が公的に登録した省力化製品の中から選んで導入する、簡易・即効性を重視した制度です。自動釣銭機や自動精算機も、事務局のカタログに登録されている機種であれば対象になりやすい類型です。補助上限は大幅な賃上げ計画を盛り込んだ場合で1,500万円です。
ここで見落とされやすいのが、「カタログに登録されている製品」であることが前提という点です。カタログに载っていないオーダーメイド機種や、特殊なカスタマイズを加えた機種は対象外になり、その場合は中小企業省力化投資補助金(一般型)など別制度の検討が必要になります。導入を検討している機種がカタログに登録済みかどうかは、販売代理店に必ず確認しましょう。
さらに、カタログ注文型は販売事業者と共同で申請するのが前提で、飲食店単独では申請できません。加えて、労働生産性(付加価値÷従業員数)を年平均3.0%以上向上させる計画の提出が必要で、未達の場合は補助金の一部返還・減額対象になるリスクがある点も理解した上で申請することが大切です。
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
デジタル化・AI導入補助金は、事務局に登録されたITツール・ハードウェアを導入する投資を支援する制度です。通常枠の補助上限は450万円、インボイス枠は350万円、複数者連携デジタル化・AI導入枠は3,000万円です。
自動釣銭機・自動精算機そのものは、単体のハードウェアというより「レジ機能を持つ会計システムの一部」として、インボイス対応やクラウド連携などの目的とセットで導入する場合に対象になりやすい制度です。ハード単体の購入だけを目的にすると対象外になりやすいため、会計・受発注・決済のデジタル化という文脈の中に位置づけて申請することがポイントです。この点は、単に「レジを自動化したい」という理由だけでは、省力化投資補助金(カタログ注文型)の方が筋が通りやすいケースもあります。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、経営計画に基づく販路開拓とセットで行う業務効率化の取り組みを支援する制度です。補助上限は特例を使った場合で250万円。対象となるのは商業・サービス業で従業員5人以下などの小規模事業者で、商工会・商工会議所の支援を受けながら進める前提です。
自動釣銭機・自動精算機は「機械装置等費」として対象経費に含められる可能性がありますが、この補助金の主題はあくまで販路開拓です。レジの自動化だけを目的にした通常の業務効率化は対象外になりやすく、新メニューの開発や新規客層の獲得といった販路開拓の取り組みとセットで計画する必要があります。
3制度の選び方(比較の軸)
| 制度 | 補助上限 | 向いているケース | 申請のハードル |
|---|---|---|---|
| 省力化投資補助金(カタログ注文型) | 1,500万円※大幅賃上げ時 | カタログ登録済みの機種を、即効性重視で導入したい | 販売事業者との共同申請が必須。生産性向上計画の未達で減額リスク |
| デジタル化・AI導入補助金 | 通常枠450万円ほか | 会計・受発注・決済のデジタル化と一体で導入したい | 登録IT導入支援事業者経由での申請が前提。ハード単体だと対象外になりやすい |
| 小規模事業者持続化補助金 | 250万円※特例時 | 販路開拓の取り組みとセットで機器を入れ替えたい | 商工会・商工会議所の支援を受けるのが前提。販路開拓の主題が必須 |
どの制度も対象規模や補助上限が異なるため、金額そのものだけで選ぶと申請要件を満たせず不採択になることがあります。「即効性重視で機器だけ入れ替えたい」のか「デジタル化の一環として位置づけたい」のか「販路開拓と一緒に進めたい」のか、導入の目的から逆算して制度を選ぶことが重要です。
申請で見落としやすい注意点
- 交付決定前の発注・契約はNG:どの制度でも、採択・交付決定の通知を受け取る前に機器を発注・契約してしまうと、補助対象外になります。導入スケジュールは補助金の審査期間を見込んで組む必要があります。
- 新紙幣・新500円硬貨への対応:既存の自動釣銭機・自動精算機が新硬貨・新紙幣に対応していない場合、老朽化した機種の入れ替え理由として説明しやすくなります。ただし単なる買い替えだけでは「生産性向上」「販路開拓」といった各補助金の主題からズレやすいため、業務効率化の効果もあわせて説明する構成にしましょう。
- 複数制度の併願はできない:同一の投資に対して複数の補助金を重複して申請することは原則できません。どの制度で申請するかを事前に決めてから見積書を取得しましょう。
よくある質問
Q. 自動釣銭機を中古で購入する場合も補助金の対象になりますか
A. 制度や公募回によって中古品の扱いは異なり、対象外となる場合や条件付きで対象になる場合があります。中古品を検討する場合は、申請予定の制度の最新の公募要領で対象経費の条件を必ず確認してください。
Q. リースで導入する場合も補助金は使えますか
A. 補助金は原則として自己所有を前提とした購入費を対象とする制度が中心で、リース契約そのものは対象経費に含められない、あるいは制度によって扱いが異なります。リース導入を検討している場合も、事前に対象経費の範囲を確認しておくと安心です。
Q. どの補助金が自分の店舗に合うか分からない場合はどうすればよいですか
A. 導入したい機器がカタログ登録製品かどうか、デジタル化の一環として位置づけられるか、販路開拓の計画と一緒に進められるかを整理すると、候補が絞り込みやすくなります。判断に迷う場合は、専門家に無料相談するのも一つの方法です。
まとめ
飲食店の自動釣銭機・自動精算機導入は、中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)、デジタル化・AI導入補助金、小規模事業者持続化補助金のいずれかの対象になり得ます。ただし、それぞれ対象になる条件や申請のハードルが異なるため、「カタログ登録製品か」「デジタル化の文脈で説明できるか」「販路開拓とセットにできるか」という視点で、自店に合う制度を見極めることが採択への近道です。制度・数字は変更されることがあるため、申請前には必ず最新の公募要領を確認してください。
【無料相談のご案内】
弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























