
ものづくり補助金で農業機械は購入できる?2026年度の対象経費と判断のポイント
「ものづくり補助金を使って農業機械を購入したい」「トラクターやコンバイン、選別機などの設備投資に補助金は使えるのか」——農業や農産加工に取り組む個人事業主・中小企業の方から、こうしたご相談をよくいただきます。結論から言うと、農業機械もものづくり補助金の対象になり得ますが、「機械を買えば必ず通る」わけではなく、いくつかの条件を満たす必要があります。この記事では、農業機械が対象になるケース・ならないケースと、申請でつまずきやすいポイントを、起業直後の方にもわかりやすく整理します。なお制度は年度ごとに見直されるため、最終的な可否は必ず最新の公募要領でご確認ください(本記事は執筆時点の情報です)。
結論:農業機械も「機械装置・システム構築費」として対象になり得る
ものづくり補助金の中心となる経費区分は「機械装置・システム構築費」です。生産性の向上や新しい製品・サービスづくりに必要な機械であれば、農業機械もこの区分で対象になり得ます。たとえば、新たな品質・規格の農産物を生産するための高性能な選別機や、加工・パッケージングを自社で行うための加工機械などが典型例です。
一方で、ものづくり補助金は「設備を買うための補助金」ではなく、「設備投資を通じて生産プロセスやサービス提供方法を革新する取り組み」を支援する制度です。そのため、同じ農業機械でも、何のために導入し、それによって事業がどう変わるのかという計画の中身が問われます。
そもそもものづくり補助金とは(2026年度の位置づけ)
ものづくり補助金(正式名称は年度により異なります)は、中小企業・小規模事業者が革新的な製品・サービス開発や生産プロセスの改善に取り組む際の設備投資などを支援する、経済産業省・中小企業庁系の補助金です。
2026年度(令和の補正予算以降)は、これまでの「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」が整理・統合され、「新事業進出・ものづくり補助金」として運用される方向で見直しが進んでいます。大きく分けると、既存事業の生産性を高める方向性(従来のものづくり補助金的な使い方)と、新しい分野へ進出する方向性の2つの考え方で整理されています。名称や枠組み・要件は変更されることがあるため、申請前に必ず公募要領の最新版を確認してください。
補助上限額・補助率・賃上げなどの要件は、年度や申請枠によって異なります。この記事では具体的な金額は示しませんが、いずれの枠でも「対象経費の考え方」と「計画の作り込み」が採否を分ける点は共通しています。
農業機械が対象になるケース・ならないケース
対象になりやすい例
- これまで外注していた選別・加工・乾燥などの工程を、新しい機械の導入によって自社で内製化し、付加価値の高い農産物・加工品を生産する
- 高精度なセンサーや自動制御を備えた機械を導入し、品質のばらつきを抑えた新規格の商品を安定生産できるようにする
- 新たな加工ラインを構築して、これまで販売していなかった商品(カット野菜、冷凍品、加工食品など)を生産・出荷できるようにする
いずれも「機械を入れることで、生産プロセスや提供する商品・サービスが従来から明確に変わる」点が共通しています。
対象外・対象になりにくい例
- 老朽化した機械を、同等の機能の新型に置き換えるだけの「単なる買い替え」
- 事業内容に直結しない汎用性の高い設備(一般的な乗用車、パソコン、汎用工具など、目的外でも使えてしまうもの)
- 導入後に事業がどう変わるかが説明できず、生産能力の増強だけが目的になっているもの
とくに「単なる更新・買い替え」と「生産性向上に資する革新的な投資」の線引きは、申請者がつまずきやすいポイントです。同じトラクターや農機具でも、それを使って何を新しく実現するのかを計画書で具体的に示せるかどうかが分かれ目になります。
申請でつまずきやすいポイント
1. 「革新性」を説明できているか
ものづくり補助金は、地域や業種の中で見て新しい取り組みであることが求められます。「最新の機械だから」ではなく、「その機械を導入することで、これまでできなかった何が実現するのか」を、自社の現状と比べて具体的に書くことが重要です。
2. 単なる買い替え・能力増強になっていないか
前述のとおり、同等品への置き換えや、単純な生産量の増加だけを目的とした投資は評価されにくい傾向があります。生産プロセスの改善や新商品の開発といった「変化」とセットで計画を組み立てましょう。
3. 汎用品・対象外経費が混ざっていないか
パソコンや一般的な車両など、事業以外にも転用できる汎用品は、原則として対象外になりやすい経費です。見積りの段階で、補助対象になる経費とならない経費を切り分けておく必要があります。
4. 賃上げなどの要件を満たせるか
近年のものづくり補助金では、給与支給総額や事業場内最低賃金の引き上げなどが要件として設けられることがあります。要件の内容や水準は年度・枠によって変わるため、自社が達成できる現実的な計画かどうかを事前に確認しておきましょう。
5. 交付決定前に発注・契約しない
補助金は、原則として交付決定の前に発注・契約・支払いをした経費は対象になりません。「先に機械を買ってしまった」ケースは補助の対象外になりがちなので、スケジュールには十分注意してください。
よくある質問(FAQ)
Q. 中古の農業機械でも対象になりますか
枠や年度によって扱いが異なりますが、中古品は見積りの取り方や価格の妥当性の証明など、新品より要件が厳しくなる場合があります。検討する際は最新の公募要領と事務局の取り扱いを確認しましょう。
Q. 補助金はいつ入金されますか
ものづくり補助金は原則として「後払い(精算払い)」です。まず自己資金や融資で設備を購入・支払いし、実績報告の後に補助金が交付されます。導入時の資金繰りは、融資と組み合わせて計画しておくと安心です。
Q. 農業者でも申請できますか
中小企業・小規模事業者の要件を満たせば、農業を営む法人・個人事業主も対象になり得ます。事業形態や規模によって判断が分かれるため、不安な場合は専門家に確認することをおすすめします。
まとめ
ものづくり補助金で農業機械を購入することは可能ですが、ポイントは「機械を買うこと」ではなく「その機械でどんな新しい価値を生み出すか」です。単なる買い替えや汎用品の購入は対象外になりやすく、革新的な生産プロセスの改善や新商品の開発と結びついた計画であることが採択への近道になります。補助率・上限額・賃上げ要件などは年度や枠で変わるため、申請前に必ず最新の公募要領を確認しましょう。「自社のこの機械は対象になるのか」と迷ったら、早めに専門家へ相談することで、対象経費の切り分けや計画の作り込みをスムーズに進められます。
【無料相談のご案内】
弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























