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コラム

個人で学習塾を開業するときに日本政策金融公庫から融資は受けられるか

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「塾講師の経験を活かして自分の教室を持ちたい」「フランチャイズに加盟せず、個人で学習塾を始めたい」。そう考えたとき、最初の壁になるのが開業資金です。物件の契約や内装、机・椅子・教材、看板や広告費など、生徒が集まる前から一定のお金が出ていきます。手元資金だけでは不安なとき、頼りになるのが日本政策金融公庫(公庫)の創業融資です。

この記事では、個人事業主として学習塾を開業する方に向けて、公庫から融資を受けられるのか、いくらくらい借りられるのか、審査で何を見られるのかを、起業直後の方にもわかりやすく整理します。

結論:個人の学習塾開業でも公庫融資は受けられる

まず結論から言うと、個人事業主として学習塾を開業する場合でも、日本政策金融公庫の創業融資を利用できます。公庫は政府系の金融機関で、民間の銀行が貸しづらい「これから事業を始める人」「実績のない創業期の事業」への融資を主な役割としています。法人化していなくても、屋号で営む個人塾でも申し込みは可能です。

創業期に使える代表的な制度が「新規開業・スタートアップ支援資金」です。かつて創業者の入口だった「新創業融資制度」は2024年3月末で取り扱いを終え、その機能はこの制度に統合されました(2026年6月時点)。重要なのは、原則として自己資金要件が撤廃された点です。以前は「創業資金総額の10分の1以上の自己資金」が必須でしたが、現在は形式的な自己資金額そのものは要件から外れています。とはいえ、後述するように自己資金の有無は審査上の評価に影響するため、ゼロで問題ないという意味ではありません。

学習塾は創業融資と相性がよい業種

学習塾は、創業融資において比較的説明のしやすい業種です。理由は大きく3つあります。

  • 初期投資が飲食店などに比べて小さく抑えやすい(厨房設備のような大型投資が不要)
  • 売上が「生徒数 × 月謝」で計算でき、事業計画の根拠を示しやすい
  • 開業者自身に指導経験や塾勤務歴があるケースが多く、業種経験をアピールしやすい

公庫の審査では「この人がこの事業をやり切れるか」が大きなポイントになります。塾講師や教育関連の実務経験があれば、それ自体が強い説得材料になります。未経験から始める場合でも、指導方針や集客の具体策を計画書で丁寧に示せば十分に評価されます。

個人塾の開業で借りられる金額の目安

「新規開業・スタートアップ支援資金」の融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)と大きく設定されていますが、これは上限であり、誰もがこの額を借りられるわけではありません。実際の融資額は、必要資金の根拠と自己資金、返済能力のバランスで決まります。

個人で開業する小規模な学習塾であれば、開業資金の総額は数百万円規模に収まることが多く、融資希望額もその範囲が現実的です。一般に、自己資金の数倍程度が一つの目安になりやすく、自己資金が厚いほど希望額が通りやすくなります。返済期間は設備資金が最長20年、運転資金が最長10年で、いずれも最大5年の据置期間(元金を返さず利息のみ支払う期間)を設定できます。生徒が集まるまでの立ち上がり時期に据置期間を活用すると、資金繰りが安定します。

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弊社では、元日本政策金融公庫支店長の多胡や元信用金庫法人営業の小峰を中心とした専門家チームが、幅広い融資を含む資金調達支援・起業支援・経営支援を行っております。「何から始めればいいかわからない」という段階でもお気軽にご相談ください。

V-Spiritsでは年間1,000件以上の融資などの資金調達支援や起業・経営支援を行っております。専門チームが伴走支援を行います。

学習塾の創業融資で見られる審査ポイント

公庫の創業融資では、主に次の点が確認されます。個人塾でも基本は同じです。

1. 自己資金

自己資金要件は原則撤廃されましたが、コツコツ貯めてきた自己資金は「計画性」と「本気度」の証拠として評価されます。通帳でお金の流れを確認されるため、急に振り込まれた資金(いわゆる見せ金)はマイナスに働きます。開業を決めた時点から、計画的に準備しておくことが大切です。

2. 業種経験・指導経験

塾講師歴や教育業界での勤務経験は、学習塾開業では特に重視されます。何年どのような立場で指導してきたか、どの科目・学年を担当できるかを具体的に示しましょう。

3. 事業計画の現実性

「生徒が何人集まり、月謝いくらで、いつ黒字化するのか」を、地域の人口や競合塾の状況をふまえて説明できるかが問われます。希望的観測ではなく、根拠のある数字が求められます。

自宅開業と教室を借りる場合で融資はどう変わるか

個人塾には、自宅の一室で始める形と、テナントを借りて教室を構える形があります。融資の観点では、必要資金の規模が大きく違います。

自宅開業は、家賃や保証金がかからない分、開業資金を小さく抑えられます。その分、融資希望額も小さくなり、審査のハードルは下がりやすい傾向です。一方、テナントを借りる場合は保証金・前家賃・内装費などで初期費用がふくらむため、その分だけ資金計画と返済計画を丁寧に作る必要があります。どちらの場合も、見積書や物件資料で「お金の使い道」を裏づけられるようにしておくと、審査がスムーズです。

事業計画書で押さえるべきこと

創業融資の成否は、事業計画書の完成度で大きく変わります。学習塾の場合、最低限おさえたいのは次の通りです。

  • ターゲット(対象学年・科目・地域)と指導方針の明確化
  • 商圏の子どもの人数・競合塾の数・差別化ポイント
  • 生徒数の見込みと、その集客方法(チラシ・SNS・紹介など)
  • 月謝設定と、生徒数ごとの売上・利益のシミュレーション
  • 開業資金の内訳(設備資金と運転資金を分けて記載)
  • 黒字化までの期間と、それまでの運転資金の手当て

特に売上計画は「生徒数 × 月謝 × 月数」で根拠を示せると説得力が増します。立ち上げ期は生徒が一気には集まらないため、最初の数か月は赤字になる前提で運転資金を多めに見ておくと安心です。

よくある質問(FAQ)

Q. 自己資金がゼロでも申し込めますか?

制度上は自己資金要件が撤廃されているため、申し込み自体は可能です。ただし、自己資金が全くないと計画性や返済能力の面で評価が下がりやすく、希望額が満額通らないこともあります。可能な範囲で準備しておくことをおすすめします。

Q. 開業前と開業後、どちらで申し込むべきですか?

創業融資は開業前でも開業直後でも申し込めます。むしろ開業前のほうが、設備資金をまとめて調達しやすく、立ち上げ期の運転資金も確保できるため有利なケースが多いです。

Q. フランチャイズに加盟していなくても借りられますか?

個人で独立開業する学習塾でも問題なく申し込めます。加盟金がない分、資金計画はむしろシンプルになります。重要なのは、自分自身の経験と計画の現実性を示せるかどうかです。

まとめ

個人で学習塾を開業する場合でも、日本政策金融公庫の創業融資は十分に利用できます。学習塾は初期投資を抑えやすく、売上の根拠も示しやすいため、創業融資と相性のよい業種です。自己資金要件は原則撤廃されましたが、計画的に貯めた自己資金や指導経験、現実的な事業計画は、依然として審査で大きな評価材料になります。なお、融資制度の内容や金利・限度額は改定されることがあるため、申し込み前には必ず公庫の最新情報を確認してください。準備に不安がある場合は、創業融資にくわしい専門家に早めに相談することで、計画書づくりから申し込みまでスムーズに進められます。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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