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コラム

成長加速化補助金で採択されやすい業種は何か|製造業中心の採択傾向と狙い目を解説

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成長加速化補助金で採択されやすい業種は何か|製造業中心の採択傾向と狙い目を解説

「成長加速化補助金は、どんな業種だと採択されやすいのか」「自社の業態でも申請して通るのか」――。中小企業成長加速化補助金(以下、成長加速化補助金)は、補助上限5億円・補助率1/2という大型補助金です。投資負担が大きいぶん、申請前に「自社の業種が採択傾向に合っているか」を見極めておきたい、という経営者の方は少なくありません。

本記事では、第1回公募の採択結果や第2回公募の動向をもとに、製造業を中心とした採択傾向、サービス業など製造業以外の採択パターン、業種を問わず採択を勝ち取る企業に共通する特徴を、2026年の最新情報をふまえて整理します。起業直後・中小規模の経営者の方にも判断しやすい形でご紹介します。

成長加速化補助金とは|まず制度の前提を押さえる

成長加速化補助金は、将来的に売上高100億円規模への成長を目指す中小企業が、大胆な設備投資や事業拡大を行うことを後押しする目的で創設された補助金です。原則として令和8年度末までに3回程度の公募を実施し、全体で約600社の採択を予定しています。

主な要件は次のとおりです。

  • 補助上限額:5億円
  • 補助率:1/2
  • 対象企業:売上高10億円以上100億円未満の中小企業(業種ごとの中小企業の定義に当てはまること)
  • 投資規模:1億円以上(税抜、外注費・専門家経費を除く)
  • 賃上げ要件:補助事業完了後3年間、従業員1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が4.5%以上
  • 「100億宣言」の公表(第2回公募からは申請前に認定取得が必須)
  • 補助対象経費:建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費

投資額1億円という下限と、給与の年4.5%引き上げを3年間続けるという賃上げ要件が、申請企業のハードルを大きく規定しています。「採択されやすい業種かどうか」の前に、この投資規模と賃上げ計画が描けるかが第一の入り口になる、と理解しておくのが現実的です。

第1回公募の採択業種|製造業が中心

第1回公募の結果は、1,270社の申請に対して211社が採択され、採択率は16.6%でした。10社中1〜2社が通る水準で、超大型補助金としては想定どおりの厳しい競争率です。

採択された211社の内訳を業種別に見ると、次の特徴がはっきり出ています。

製造業(部品加工・機械・金型・精密加工)が多数

採択企業の多くを占めたのが、製造業のなかでも以下の領域です。

  • 部品加工業(金属・樹脂)
  • 機械・金型関連
  • プラスチック・金属成形
  • 精密加工・光学部品

これらは「設備投資1億円以上」が事業計画上ごく自然に成立する業種です。新工場の建設、最新加工機の導入、増産ラインの構築など、補助対象経費(建物費・機械装置費)と相性がよく、しかも投資効果が売上高・付加価値に直結しやすいことから、計画書の根拠が組み立てやすいという強みがあります。

テーマ別では工場建設・増築が圧倒的多数

1次公募で採択された案件のうち、テーマ別の上位は次の構成でした。

  • 工場建設・増築:55件
  • 物流拠点・倉庫建設:10件
  • 生産性向上(自動化・省力化):8件

工場建設・増築だけで55件と突出しています。「100億円企業に向けて生産能力を一段引き上げる」という制度趣旨と、製造業の設備投資ニーズがそのまま噛み合った結果といえます。

製造業以外でも採択されている業種はある

「製造業中心」と聞くと、サービス業・小売業の経営者の方は申請を諦めがちですが、実際には製造業以外でも採択例があります。

採択された製造業以外の案件には、次のような共通点が見られます。

  • 体験価値・高付加価値化を打ち出している
  • 地域連携・地域経済への波及を計画書に組み込んでいる
  • 物流・倉庫など製造業の周辺機能を担う事業構造になっている
  • 明確な独自技術・独自ブランドが売上高100億円規模への成長根拠になっている

たとえば物流拠点・倉庫建設はサービス業に分類されるケースも多く、製造業のサプライチェーンを支える役割で採択につながっています。サービス業であっても「設備投資1億円以上」が成立し、かつ100億円規模の売上シナリオに合理性があれば、業種そのものが理由で落ちることはありません。

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採択企業に共通する3つの特徴

業種以上に重要なのが、採択企業に共通する数値特性です。第1回公募の採択企業(211社)と申請全体(1,270社)の中央値を比較すると、次のような差が浮かび上がります。

1. 売上成長率が年平均23.7%(申請全体15.7%)

採択企業は、補助事業を通じて年平均23%超の成長を計画しています。申請全体の中央値(15.7%)と比べて8ポイント以上高く、「100億円企業を目指す」という制度の目線と整合しています。逆に言えば、計画上の成長率が年10%台前半に留まる場合、書類審査の段階で見劣りしやすいといえます。

2. 付加価値増加率が25.7%(申請全体15.3%)

売上だけでなく、付加価値(営業利益+人件費+減価償却費など)の伸びも採択企業のほうがはるかに高くなっています。賃上げ要件(年4.5%)を3年継続するには、付加価値ベースで人件費の原資をしっかり生み出す必要があり、付加価値増加率の計画値は審査でも厳しく見られる項目です。

3. 売上高投資比率が44.0%(申請全体23.9%)

採択企業は「年間売上高の4割超を投資する」という大胆な計画を描いています。投資額1億円という下限はあくまで入口で、現実に採択されているのは「売上に対してかなり攻めた投資をする」企業群です。一方で、現在の売上は29.5億円(申請全体40.7億円)と、申請全体の中央値より低く、「100億円から遠い企業ほど採択されやすい」傾向も出ています。今の規模が大きくないからこそ、大胆な投資による成長余地が大きく評価されている、と読み解けます。

業種別に見た活用パターン

ここまでの傾向を踏まえ、業種ごとに「どんな活用パターンが採択につながりやすいか」を整理します。

機械・金型・部品加工

主力工場の建て替えや増築、最新NC機・マシニングセンタの大量導入で、加工能力と精度を一段引き上げる計画は採択との相性がよい領域です。受注先の業界(自動車・半導体・医療機器など)の成長性と、自社の独自技術を結びつけた事業計画が中心になります。

プラスチック・金属成形

EV化・省エネ部品需要・医療品需要などの成長市場を背景に、新工場・新ライン構築で内製化率と歩留まりを高める計画が王道です。生産性向上を「数値」で示しやすく、付加価値増加率の根拠を作りやすい点が強みです。

物流・倉庫

EC市場・3PL需要の拡大を背景に、新拠点建設で取扱量と運用効率を引き上げる計画が採択されています。倉庫管理システム(WMS)導入や自動倉庫の導入とセットで申請する案件は、ソフトウェア費・機械装置費も自然に組み込みやすい構成です。

サービス業(例外的に採択される業種)

高付加価値型のサービス(独自体験施設、専門特化型の宿泊・観光、地域連携モデルなど)であっても、設備投資1億円以上が合理的に説明できる事業構造であれば採択の対象です。ただし「設備の規模」「収益モデル」「100億円シナリオの説得力」を厳しく問われるため、製造業以上に綿密な事業計画書が必要になります。

採択率を上げるための3つのポイント

業種を問わず、採択を取りに行くうえで意識したいポイントを3点に絞ります。

1. 100億宣言と事業計画書の整合性を取る

第2回公募からは、申請前に「100億宣言」の認定取得が必須になりました。先に提出する100億宣言の内容と、補助金申請書の数値・戦略・投資計画が食い違うと、整合性の観点で大きく減点されます。両者は同じプロジェクトの「縦軸(中長期ビジョン)」と「横軸(足元の投資計画)」として、矛盾なく組み立てる必要があります。

2. 賃上げ要件を「人件費の原資」とセットで描く

賃上げ要件は、補助事業完了後3年間にわたり、従業員1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が4.5%以上です。役員報酬は計算対象から除外され、新入社員採用や定年退職による平均賃金低下のリスクも考慮する必要があります。単なる「上げる宣言」ではなく、付加価値増加率と連動した人件費原資の計画として落とし込むことが重要です。

3. 売上高投資比率を意識した「攻めた」計画にする

採択企業の売上高投資比率は中央値で44.0%。守りに入った投資計画では、制度趣旨である「成長加速」とのギャップが審査で目立ちます。投資規模・成長率・付加価値増加率を相互に説明できる、攻めた数値設計が前提になります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 製造業以外でも採択される可能性はありますか?

あります。物流・倉庫業や高付加価値サービス業など、設備投資1億円以上が合理的に成立し、100億円規模の売上シナリオを説明できる事業構造であれば、業種そのものが理由で外れることはありません。ただし採択件数全体に占めるシェアは製造業より低いため、計画書の作り込みが一段重要になります。

Q2. 売上高10億円未満の中小企業は対象外ですか?

成長加速化補助金は「売上高10億円以上100億円未満」が対象企業要件です。10億円未満の段階では本制度の対象外となるため、ものづくり補助金や新事業進出補助金など、別の制度を検討するのが現実的です。本制度の対象規模に到達してから、改めて検討するのが王道のステップになります。

Q3. 採択率はどれくらいですか?

第1回公募の採択率は16.6%(211社/1,270社)でした。超大型補助金としては想定範囲内の水準で、第2回以降も10〜15%前後の採択率が見込まれています。「業種が合っていれば通る」ではなく、「業種+計画の質+数値の整合性」が揃って初めて土俵に乗る制度と理解しておくとよいです。

Q4. ものづくり補助金との違いはどこですか?

ものづくり補助金は、補助上限が数千万円規模で、より幅広い中小企業が対象です。一方の成長加速化補助金は、補助上限5億円、投資額1億円以上、100億宣言・賃上げ要件と、申請ハードルが大きく異なります。自社の現在の売上規模・投資余力・成長計画の野心度に応じて、どちらの制度に乗せるかを早い段階で見極めることが大切です。

まとめ

成長加速化補助金で採択されやすい業種は、第1回公募の実績から見ると製造業(部品加工・機械・金型・プラスチック・金属成形・精密加工)が中心です。テーマ別でも工場建設・増築が圧倒的に多く、生産設備への大型投資と相性のよい制度であることが明確です。

一方で、製造業以外でも、物流・倉庫業や高付加価値サービス業など、「設備投資1億円以上が合理的に成立し、100億円規模の売上シナリオを描ける」業種・モデルであれば採択の対象になり得ます。重要なのは業種そのものよりも、売上成長率・付加価値増加率・売上高投資比率といった「数値の説得力」と、100億宣言・賃上げ要件との整合性です。

採択率は第1回で16.6%と高くはありませんが、業種別の傾向と採択企業の特徴を踏まえて計画書を組み立てれば、十分に勝負できる制度です。自社の業種・売上規模・成長戦略がこの補助金に合っているかを冷静に見極めたうえで、攻めた事業計画と緻密な数値設計で申請に臨んでみてください。

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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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