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コラム

造園・庭師が独立するときの創業融資と必要資金

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造園・庭師の独立に必要な資金と創業融資|2026年の金利・据置期間から考える

親方のもとで何年も現場を経験し、そろそろ自分で仕事を取っていきたい。造園・庭師として独立を考えるとき、腕とは別に立ちはだかるのがお金の問題です。軽トラック1台と道具があれば始められるように見えて、実際に見積もりを取ると想像より膨らむのがこの仕事の特徴でもあります。

この記事では、造園・庭師が独立するときに必要になる資金の内訳と、日本政策金融公庫の創業融資でどこまで手当てできるのかを、数字で整理します。あわせて、造園ならではの季節変動を資金計画にどう織り込むかもお伝えします。

なお、融資制度や金利は改定されることがあります。本記事は執筆時点(2026年7月)の情報にもとづくものですので、申請前には日本政策金融公庫など公式の最新情報を必ずご確認ください。

造園・庭師の独立で必要になる資金の内訳

造園業の開業資金は、どこまで自分で機械を持つかで大きく変わります。まずは設備資金と運転資金に分けて考えます。

設備資金|車両と機械が中心になる

造園の設備資金は、車両と機械が大半を占めます。剪定や伐採の現場では、道具を運ぶ手段そのものが商売道具になるためです。

  • 車両:軽トラック、ダンプ、荷台の大きい2トン車など。中古で揃えるか新車かで幅が出ます
  • 機械:チェーンソー、刈払機、ヘッジトリマー、高所作業に使う機材。伐採木を細かくするチッパー(粉砕機)や、荷を吊るユニック車まで持つかどうかで金額が変わります
  • 道具類:脚立、三脚、剪定鋏、梯子、ロープ類、安全帯。1つひとつは小さくても、揃えると相応の金額になります

ここで判断が要るのが、チッパーやユニック車のような高額な機械を最初から持つかどうかです。持てば処分や搬出を自社で完結でき、外注費が下がります。一方で、初期の借入額は膨らみます。開業直後の受注量が読めないうちは、まず必要最小限に絞り、需要が固まってから追加投資を検討する組み立ても現実的です。

運転資金|見落としやすいのが処分費

造園で見落とされやすいのが、剪定枝・伐採木・抜根した根の処分費です。作業そのものより、出たものを処分場へ持ち込む費用と手間が重くのしかかることがあります。この費用は工事のたびに先に出ていき、入金は後から回収する形になります。

加えて、燃料費、機械の刃や部品の消耗、保険料、外注の応援を頼んだときの人工代なども運転資金です。資金使途は事業に必要な支出であることが前提になりますので、何にいくら必要かを積み上げて説明できる形にしておくことが大切です。

創業融資の主制度と借りられる金額

独立時の資金調達で中心になるのが、日本政策金融公庫の創業融資です。政府系金融機関のため、民間金融機関では対応が難しい創業期でも積極的に取り組むのが特徴で、原則として無担保・無保証人での借入が可能です。

ここで注意したいのが制度名です。かつての「新創業融資制度は2024年3月に廃止されており、現在の主力は「新規開業・スタートアップ支援資金」です(〜2024年3月の名称は「新規開業資金」で、2024年4月から現在の名称に改称・拡充されました)。古い解説記事では廃止済みの制度名がそのまま使われていることがあるため、情報の日付にご注意ください。

執筆時点での主な数字は次のとおりです。

  • 融資限度額:7,200万円(うち運転資金4,800万円)
  • 基準利率:2026年6月1日現在、無担保で創業期(税務申告を2期終えていない場合)に利用するとき年3.45〜5.15%
  • 利率引下げ:創業期の方が無担保で利用する場合、原則0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)の引下げが適用される可能性があります。適用可否は利用する制度・審査・条件により異なる可能性があるため、詳細は申請先でご確認ください
  • 返済期間:設備資金は20年以内、運転資金は原則10年以内
  • 据置期間:5年以内(据置中は利息のみの支払い)

金利について、「創業融資は年2〜3%台」と紹介している情報を見かけますが、これは古い、または概算の目安です。数字を使うときは、いつ時点のものかを必ず確認してください。

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造園の季節性・入金サイトと据置期間の使いどころ

造園業には、資金繰りの面で他業種と違う事情があります。

1つ目は季節変動です。剪定の需要は春と秋に偏りやすく、真夏や真冬は仕事量が落ち込むことがあります。年間の売上をならすと成り立っていても、月単位で見ると谷が生まれます。

2つ目は入金サイトです。ハウスメーカー、造園会社、マンション管理会社などから元請けを介して仕事を受ける場合、工事完了から入金までに時間がかかることがあります。個人のお客様から直接受注する場合と比べ、材料費・処分費・人工代の立替期間が長くなりがちです。

この2つが重なると、「仕事はあるのに手元の現金が薄い」という状態が起きます。ここで効いてくるのが据置期間です。据置期間は元金の返済を待ってもらい、利息のみを支払う期間で、新規開業・スタートアップ支援資金では5年以内で設定できます。開業直後の受注が固まりきらない時期や、季節の谷を越える局面で、月々の負担を軽くしておく余地があります。

ただし据置期間中も利息は発生し、元金の返済が先送りされるだけである点は押さえておく必要があります。どの程度の期間を設定するかは、受注の見通しと合わせて考えるところです。

自己資金はいくら必要か

よくいただくご質問ですが、ここは誤解の多いところです。

現行の制度上、自己資金の額や割合の要件は決まっていません。旧「新創業融資制度」にあった自己資金10分の1要件のような固定要件は、現行制度にはありません。「10分の1が必須」と書かれた情報は、廃止済みの制度の要件を引きずっている可能性があります。

とはいえ、自己資金の額は審査の重要な判断材料です。要件ではないが見られる、という整理になります。多いほど有利になりやすいと考えておくのが実際のところです。自己資金は、面談の時点で口座に確認できる形にしておきます。

造園で独立する方に知っておいていただきたいのが「みなし自己資金」です。創業前に自費で取得した資格や、先に購入した設備・備品などは、一定の範囲で自己資金として評価されることがあります。造園の場合、独立を見据えて買い揃えたチェーンソーや刈払機、取得した造園技能士や車両系建設機械の資格などが、これに当たる可能性があります。領収書を必ず保管しておいてください。手元の現金が少なくても、準備を積み上げてきた事実を示せる材料になります。

なお審査では、事業として創業した実績がなくても、事業計画書と自己資金などをもとに判断されます。職人としての経験年数、保有資格、独立後の受注の見込み(元請けとの関係や引合の状況など)を具体的に示せると、返済の裏付けとして評価につながります。

申請から実行までのスケジュール

創業融資は、思い立ってすぐ資金が入るものではありません。目安は次のとおりです。

  • 書類提出後、融資実行まで:おおむね3週間〜1か月
  • 準備期間を含めた合計:約2か月を見ておくと安全です

準備には、創業計画書、自己資金を確認できる資料、車両や機械の見積書などが必要になります。車両や機械の発注、独立の時期から逆算して動き始めることをおすすめします。

よくある質問

Q. 中古の軽トラックや機械の購入費も融資の対象になりますか。
A. 事業に必要な設備資金として、車両・機械の購入費は融資対象に含められるのが一般的です。中古の場合も見積書を揃え、なぜその車両・機械が必要かを説明できるようにしておきましょう。

Q. 造園工事業の建設業許可は、融資の前に取っておくべきですか。
A. 500万円以上の造園工事を請け負う場合は建設業許可が必要になります。許可の要否は請け負う工事の規模によって変わりますので、事業計画で想定している受注内容と合わせて整理し、判断に迷う場合は専門家にご相談ください。

Q. 造園会社での経験しかなく、経営は未経験です。不利になりますか。
A. 現場経験は評価される材料です。一方で経営面に不安がある場合、事業経験者を役員に迎えるなど、事業運営に直接関わる体制を整えることで補う考え方があります。

まとめ

造園・庭師の独立は、車両と機械をどこまで持つかで必要資金が大きく動きます。要点を整理します。

  • 設備資金は車両・機械が中心。チッパーやユニック車まで持つかで金額と借入額が変わる
  • 運転資金では剪定枝・伐採木の処分費を見落とさない
  • 主制度は「新規開業・スタートアップ支援資金」。「新創業融資制度」は2024年3月に廃止済み
  • 基準利率は2026年6月1日現在、無担保・創業期で年3.45〜5.15%。「年2〜3%台」は古い目安
  • 自己資金は制度上の要件こそないが、重要な判断材料。みなし自己資金の領収書は保管しておく
  • 季節変動と入金サイトの長さには、据置期間5年以内の設定が選択肢になる

資金計画は、独立の時期と受注の見通しから逆算して組み立てるものです。必要資金の見積もりや事業計画書の作り込みに不安がある場合は、創業融資に詳しい専門家へ早めにご相談ください。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

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