
飲食店の人手不足対策に効く省力化補助金|カタログ注文型と一般型の選び方
「求人を出しても応募が来ない」「今いる人数で仕込みからホールまで回すのが限界」——多くの飲食店経営者が抱えるこの悩みに対して、国が用意している制度の一つが中小企業省力化投資補助金です。券売機や配膳ロボットのような既製品を安く導入したいのか、それとも厨房・ホールの工程を自社の店舗に合わせて作り替えたいのかによって、選ぶべき枠が変わります。この記事では、飲食店が省力化補助金を使う際に押さえておきたい「カタログ注文型」と「一般型」の違い、対象になりやすい設備、申請の流れと注意点を整理します。なお、金額・要件は執筆時点(2026年)の制度内容であり、公募回によって変更されるため、実際の申請前には必ず最新の公募要領をご確認ください。
そもそも中小企業省力化投資補助金とは何か
中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業・小規模事業者が、設備投資によって「省力化」と「生産性向上」を同時に進めることを支援する制度です。飲食店の場合、注文・会計・配膳・仕込みといった業務のどこかを機械やシステムに任せることで、少ない人数でも売上を落とさずに営業を回せる状態を目指す投資が対象になります。この制度には性格の異なる2つの枠があり、どちらを選ぶかで申請の進め方が大きく変わります。
カタログ注文型と一般型|飲食店はどちらを選ぶべきか
結論から言うと、「もう欲しい機器が決まっている」なら中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)、「店舗ごとの工程に合わせてオーダーメイド機械または、複数機械を導入して省力化したい」なら中小企業省力化投資補助金(一般型)が選択の起点になります。
| 項目 | カタログ注文型 | 一般型 |
|---|---|---|
| 補助上限 | 1,500万円(大幅賃上げ計画時) | 1億円 |
| 対象設備 | 公的カタログに登録済みの省力化製品のみ | 単価50万円(税抜)以上の機械装置等を含む投資であれば比較的自由 |
| 申請方法 | 販売事業者と共同申請(単独申請は原則不可) | 事業者単独で事業計画を作成して申請 |
| 生産性向上の要件 | 労働生産性 年平均+3.0%以上 | 労働生産性 年平均+4.0%以上 |
| 賃上げ未達時 | 減額対象 | 返還が発生しうる |
特に注意したいのは、カタログ注文型は「決まった製品を選んで買う」制度であり、単独申請ができない点です。一方の一般型は自由度が高い分、3〜5年の事業計画を自分たちで組み立てる必要があり、書類作成の負荷は上がります。まずは「欲しい設備がカタログに載っているかどうか」を確認するのが、制度選びの最初の一歩です。
【カタログ注文型】飲食店で対象になりやすい省力化製品の例
カタログ注文型は即効性重視の制度です。飲食店では、次のような業務を担う登録製品が対象になりやすい傾向があります。
- 券売機・自動精算機(会計業務の省力化)
- モバイルオーダー・セルフオーダー端末(ホール業務の省力化)
- 配膳ロボット・搬送ロボット(下げ膳・配膳業務の省力化)
- 食器洗浄機・自動製氷機など、既製の省力化厨房機器
ただし「カタログに載っている型番かどうか」は個別に確認が必要で、同じジャンルの機器でもオーダーメイド性が強いものは対象外になることがあります。導入したい機器が決まっている場合は、販売事業者にカタログ登録の有無を先に確認しましょう。
【一般型】厨房・ホールの工程をまとめて組み替える投資
一般型は、既製品の組み合わせだけでなく、店舗のレイアウトや業務フローに合わせたオーダーメイド機械や複数機械の組み合わせの投資に向いています。例えば「セントラルキッチン化して複数店舗の仕込みを集約する」「調理工程の一部を自動化した上でホールの人員配置を見直す」といった、単一の機器導入では完結しない構成変更を計画に落とし込むケースです。対象経費は機械装置・システム構築費が必須で、運搬費や専門家経費なども対象になり得ます。ただし、みなし大企業に該当する場合や、直近3年の課税所得年平均が15億円を超える場合などは対象外となる点に注意してください。
申請の流れと注意すべきポイント
- 制度を選ぶ:導入したい設備がカタログ品か、オーダーメイドの投資かで枠を決める
- 事業計画を作る:労働生産性の向上目標(カタログ型3.0%/一般型4.0%)を数値で示す
- 賃上げ計画を検討する:上限額を引き上げたい場合は賃上げ目標を計画に盛り込む(未達時のリスクとセットで検討)
- 申請・交付決定:交付決定前に発注・契約をしてしまうと対象外になるため、着手のタイミングに注意
- 導入後の効果報告:複数年度にわたり生産性向上の実績を報告する義務がある
特に飲食店の経営者からよく聞かれる失敗が、「補助金が出ると思って先に機器を発注してしまった」というケースです。交付決定前の契約・発注は原則として補助対象外になるため、必ず制度の手続き順を守ってから動く必要があります。また、賃上げ目標を盛り込んで上限額を引き上げた場合、未達成だと減額や返還につながることがあるため、無理のない目標設定が重要です。
補助金だけで資金が足りない場合の考え方
省力化補助金は原則として「後払い」の制度で、設備費用をいったん自己資金や借入で立て替えてから、交付決定・実績報告を経て補助金が入金される流れになります。そのため、補助金の入金までのつなぎ資金や、補助対象外の諸費用(内装工事の一部など)をどう用意するかも、あわせて検討しておく必要があります。自己資金だけで賄いきれない場合は、日本政策金融公庫の融資などと組み合わせて資金計画を立てる飲食店も少なくありません。
よくある質問(FAQ)
Q. 個人事業主の飲食店でも申請できますか?
A. 中小企業・小規模事業者であれば、法人・個人事業主を問わず対象になり得ます。ただし従業員数や資本金などの要件を満たしているか、公募要領で確認が必要です。
Q. カタログ注文型と一般型を両方使うことはできますか?
A. 制度上、同一の投資目的で重複申請することは想定されていません。導入したい設備の性質に応じて、どちらか一方を選ぶのが基本です。
Q. 補助金の交付決定前に見積もりを取るのはNGですか?
A. 見積もり取得自体は問題ありませんが、契約・発注・支払いは交付決定後に行う必要があります。この順序を誤ると補助対象外になるため注意してください。
まとめ
飲食店の人手不足対策として省力化補助金を使う際は、「決まった製品を安く導入したいのか」「店舗の工程ごと作り替えたいのか」で、カタログ注文型と一般型のどちらを選ぶかが変わります。生産性向上の目標設定や賃上げ計画、交付決定前の契約禁止など、押さえるべきポイントは共通していますので、事業計画を作り込む前に制度の全体像を把握しておくことが、スムーズな採択への近道になります。数字・要件は執筆時点のものであり、公募回ごとに変更されることがあるため、申請前には必ず最新の公募要領をご確認ください。
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弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























