
飲食店がECサイトを開設するなら|小規模事業者持続化補助金とデジタル化・AI導入補助金の使い分け
実店舗中心でやってきた飲食店が、初めてECサイト(通販・お取り寄せ)を始めようとするとき、「補助金は使えるのか」「使えるとしたらどれが向いているのか」で迷う方は少なくありません。検索すると複数の補助金名が挙がりますが、中には制度が変わっていたり、当社で正式に扱い対象としていない補助金名が混ざっていたりすることもあります。この記事では、ECサイト開設で検討しやすい2つの補助金を比較し、EC未経験の飲食店オーナーが選びやすい形で整理します。なお補助金の制度内容・上限額は年度ごとに見直されるため、以下は執筆時点の情報として、最新の公募要領もあわせてご確認ください。
ECサイト開設で候補になる2つの補助金
小規模事業者持続化補助金:「販路開拓」としてのECサイト開設
小規模事業者の販路開拓・業務効率化を支援する制度で、補助上限は250万円です。ECサイトの構築費用、写真撮影・商品ページ制作費、Web広告など、新しい販売チャネルを開拓する取り組みとして申請しやすいのが特徴です。「実店舗だけだった売上の窓口を、通販という新しいチャネルに広げたい」という文脈で計画を組みやすく、EC未経験の飲食店が最初に検討しやすい制度です。
デジタル化・AI導入補助金:「ITツール導入」としてのECサイト構築
ECサイト構築を、カート機能・在庫管理・決済連携などを備えたITツールの導入として位置づける場合は、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)も候補になります。補助上限は枠によって異なり、単独事業者が申請する通常枠では450万円が目安です。ただし、事務局に登録されたIT導入支援事業者の支援を受けることが前提で、導入するECシステムが登録ツールに該当する必要があります。
どちらを選ぶか:2つの判断軸
1つ目の軸は「販路開拓の文脈で説明しやすいか、ITツール導入の文脈で説明しやすいか」です。ホームページ制作会社に一括で依頼してECサイトを作ってもらう場合は、小規模事業者持続化補助金のほうが計画を組みやすい傾向があります。一方、カート機能付きの登録済みECプラットフォームを、IT導入支援事業者を通じて契約する場合は、デジタル化・AI導入補助金が候補になります。2つ目の軸は「投資規模」です。250万円程度に収まる比較的小規模な投資なら持続化補助金、より大きな投資でITツールとしての性格が強いならデジタル化・AI導入補助金、という目安で考えるとわかりやすくなります。
ネット上の情報で見かける、ホワイトリスト外の補助金名に注意
「飲食店 ECサイト 補助金」で検索すると、複数の補助金名が紹介されている記事が見つかりますが、中には制度が終了していたり、当社で正式に対象として扱っていない補助金名(既に廃止・再編された制度など)が含まれていることがあります。本記事で紹介する小規模事業者持続化補助金とデジタル化・AI導入補助金は、いずれも執筆時点で継続して公募されている制度ですが、他の記事で見かけた補助金名をそのまま資金計画に組み込む前に、その制度が現在も存在し、自店の投資内容に本当に合っているかを確認することをおすすめします。
ECサイトが新業態への進出と言える規模なら、新事業進出枠も視野に
単なるECサイト開設にとどまらず、冷凍食品の通販事業など「新しい事業の柱」を立ち上げる規模の投資であれば、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(新事業進出枠)も選択肢になります。ただしこちらは補助下限額も大きく、事業計画の作り込みも重くなるため、まずは小規模事業者持続化補助金やデジタル化・AI導入補助金で始めて、事業が育ってから新事業進出枠を検討する、という段階的な考え方も現実的です。
申請前に押さえておきたい注意点
- 交付決定前の発注は対象外:「早くECサイトを立ち上げたい」という気持ちから、交付決定前に制作会社へ発注してしまう失敗が起きがちです。公募スケジュールを確認し、交付決定を待ってから契約してください。
- 後払いが原則:補助金は事業完了後の精算払いが基本のため、制作費用は一度自己資金や融資で立て替える必要があります。
- 食品通販特有の許可・表示ルール:ECサイトでの食品販売には、食品表示法に基づく表示や、必要に応じた許可が別途必要になる場合があります。これは補助金とは別の論点なので、あわせて確認しておきましょう。
まとめ
実店舗中心の飲食店がECサイトを開設する場合、販路開拓の文脈なら小規模事業者持続化補助金、ITツール導入の文脈ならデジタル化・AI導入補助金が主な候補になります。投資規模や制作の進め方に応じてどちらが自店に合うかを見極め、ネット上に混在する不正確な補助金情報に惑わされないことが大切です。制度選びや事業計画の作成に迷う場合は、補助金に詳しい専門家へ相談しながら準備を進めることをおすすめします。
【無料相談のご案内】
弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























