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コラム

動物病院の予防医療強化に使える補助金4制度|検査機器・院内システム・告知の対象判定

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動物病院の予防医療を強化する補助金|投資を4区分に分けて対象を判定する

健康診断の受診率を上げたい、ワクチンや寄生虫予防の案内をもっと丁寧に届けたい、シニア期の検査メニューを整えたい。予防医療の強化は、多くの動物病院で「やりたいことは決まっているのに、どこから投資すればよいか決めきれない」テーマになりやすい領域です。

補助金の情報を探すと、出てくるのはCT・MRI・内視鏡といった高度医療機器の導入事例がほとんどです。ところが予防医療の強化に必要な投資は、機器だけではありません。案内・リマインドの仕組み、告知のためのチラシやページ、そして「予防医療プログラム」という新しいサービスの設計まで、性格の違うものが混ざります。そして性格が違うと、乗る制度も変わります

この記事では、予防医療の投資を4つの区分に分け、区分ごとにどの制度が候補になるのか、どこで対象から外れるのかを、2026年度時点の制度情報にもとづいて整理します。院長ご自身が「自院の計画はどの区分が主役か」を判定できる状態を目標にします。

まず投資を4区分に分ける(ここで制度がほぼ決まります)

予防医療の強化として検討されやすい投資を並べると、次の4つに分かれます。

  • 区分1:検査・診断の設備(健診用の血液検査機器、超音波診断装置、画像機器の更新など)
  • 区分2:院内の業務システム(電子カルテ、予約、Web問診、ワクチンや健診のリマインド、顧客管理など)
  • 区分3:告知・広報(健診キャンペーンのチラシ、院内掲示、ホームページの健診ページ、Web広告など)
  • 区分4:新サービスの開発(既存の枠に無い予防医療プログラムを設計し、新しいサービスとして提供する)

補助金は「動物病院向け」という単位では用意されていません。投資の規模と投資の目的で制度が決まるため、先に区分を決めたほうが早く進みます。逆に、制度名から探し始めると、区分の違う投資を1つの申請に混ぜてしまい、計画の筋が通らなくなります。

以下、区分ごとに「候補になる制度」と「外れる境界線」を、院長からよくいただく質問の形で見ていきます。

Q1.健診用の検査機器を1台導入するだけでは、補助金に乗らないのですか

区分1の投資でつまずきやすいのがここです。設備の省力化投資を支える制度として中小企業省力化投資補助金(一般型)があり、補助上限は1億円です。ただし対象になるのは「オーダーメイド性のある設備」で、判定基準は次のいずれかに該当することです。

  • 省力化に資する汎用設備を複数組み合わせることで、より高い省力化効果や付加価値を生み出す場合
  • 導入環境に応じて周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能等が変わる場合

裏を返すと、単に汎用設備を単体で導入する事業は対象外です。この制度には「単価50万円(税抜)以上の機械装置等を最低1つ入れる」という設備投資要件もありますが、金額の条件を満たしていても、それだけでは足りません。検査機器を1台入れ替える計画のままでは、要件の入口で外れます。

予防医療の文脈でこの要件に合わせるなら、「検査機器+検査結果を院内システムへ流す構成+院内の運用変更」をひとまとまりの省力化として設計する形になります。あわせて、3〜5年の事業計画で労働生産性を年平均4.0%以上伸ばす計画が必要で、賃上げ目標が未達の場合は達成率に応じて返還が発生しうる設計です。上限額の大きさだけを見て選ぶと、制度選択そのものがリスクになります。

なお、既製品をカタログから選んで導入するタイプであれば中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)が候補になります。こちらはカタログ登録製品が前提で、販売事業者との共同申請が原則、労働生産性を年平均3.0%以上向上させる計画が必要です。補助上限や賃上げ要件の扱いは改定が入るため、金額は必ず申請時点の公募要領で確認してください。

Q2.ワクチンや健診の案内・リマインドの仕組みは、どの制度が候補ですか

区分2はデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)が本命です。補助上限は通常枠450万円、インボイス枠350万円、複数者連携デジタル化・AI導入枠3,000万円です。3,000万円は複数の事業者が共同で基盤を入れる枠の数字なので、1院単独の導入でこの額を前提に考ないほうが安全です。

対象経費はソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、設定・研修・マニュアル作成・保守サポートなどの導入関連費です。予約管理、 elektronカルテ、顧客管理、会計といった業務は、この制度の想定に収まります。

注意点は2つあります。1つは、事務局に登録されたIT導入支援事業者の支援を受けて申請する前提であり、ツールも登録品が前提だということです。使いたいシステムが登録されていなければ、この制度では進みません。もう1つは、PC・タブレット等のハード単体購入は対象外で、対象ソフトとセットの類型で一部が対象になるという点です。「タブレットを何台か買って問診をデジタル化する」だけの計画は、想定から外れます。

三浦高

💬 執筆者の三浦から一言

制度名から探すと遠回りになります。先に「投資の規模」と「投資の目的」の2つを決めてしまうほうが早いです。ITツール中心ならデジタル化・AI導入、250万円までの販路開拓なら持続化、と目的で候補が絞れます。名前で探すと、目的の違う制度の要件を読み込む時間が増えてしまいます。

💬 無料相談のご案内

補助金専門行政書士法人は、V-Spirits元補助金審査員の三浦を中心とした専門家チームが補助金支援を行っております。「このケースは補助金の対象になるのか?」といった疑問にも、無料でお答えしております。お気軽にご相談ください。

Q3.健診キャンペーンのチラシやホームページの費用は対象になりますか

区分3の候補は小規模事業者持続化補助金です。補助率2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4)、補助上限は基本50万円で、インボイス特例で+50万円、賃金引上げ特例で+150万円、両特例の併用で最大250万円という構成です。対象経費には広報費(チラシ、広告掲載、看板、DM発送など)とウェブサイト関連費(ウェブ・ECサイト制作、ネット広告、SEO、商品画像・動画制作など)が含まれます。

ただし第20回公募では、この2区分に明確な制約が置かれています。

  • 広報費:補助金交付申請額の上限30万円(税込)。広報費のみの申請は不可
  • ウェブサイト関連費:補助金交付申請額の上限30万円(税込)。ウェブ関連費のみの申請は不可

つまり「健診の告知チラシを作りたい」「健診ページを作りたい」という単独の計画では申請が成立しません。機械装置等費や委託・外注費など他の区分と組み合わせた販路開拓の計画として立てる必要があります。

対象になる事業者の範囲も先に確認してください。商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は常時使用する従業員5人以下が上限です。役員・個人事業主本人・同居の親族従業員はカウントしません。加えて申請は電子申請のみでGビズIDプライムが必須、商工会・商工会議所の支援を受けて事業支援計画書(様式4)の発行を受ける前提です。第20回のスケジュールは、申請受付開始が2026年11月5日、様式4の発行受付締切が2026年12月4日、申請受付締切が2026年12月15日17:00です。様式4は受付締切以降の発行依頼が理由を問わず不可なので、窓口への依頼は逆算して動くことになります。

Q4.「予防医療プログラム」を新サービスとして立ち上げる場合はどうなりますか

区分4で候補になるのが新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠です。2026年度に「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」が統合され、公募要領上の正式名称がこの表記になりました。旧名称で検索して出てくる記事は、回次や要件が古い場合があります。

補助上限は従業員規模別で、1〜5人750万円/6〜20人1,000万円/21〜50人1,500万円/51人以上2,500万円(大幅賃上げ特例適用時は各850/1,250/2,500/3,500万円)です。よく見る「3,500万円」は最大規模+特例適用時の最大値です。補助下限は100万円、補助率は中小企業者1/2、小規模企業・小規模事業者・再生事業者は2/3です。

この枠でもっとも注意したいのは対象外の定義です。公募要領では、単なる設備・システム導入、既存製品・サービスの生産プロセス改善、同業で既に相当程度普及している開発は対象外とされています。「健診メニューを整えて受診率を上げる」という計画は、内容の作り方次第で既存サービスの改善と読まれる余地があります。新サービスとしての中身がどこにあるのかを、自院の言葉で説明できるかが分かれ目です。基本要件として付加価値額の年平均成長率+4.0%以上、一人当たり給与支給総額の年平均成長率+3.5%以上、事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上の水準も課されます。第1回公募は2026年6月29日開始、締切は2026年10月31日18:00、採択発表は2027年1月頃です。

Q5.人の医科・歯科で言われる「保険診療にかかる経費は対象外」は、動物病院にも当てはまりますか

ここは誤解が生じやすい部分です。経済産業省・中小企業庁系の補助金で保険診療にかかる経費・機器が原則対象外とされるのは、国が助成するほかの制度(公的医療保険=診療報酬)を利用している事業と重複する経費だからです。小規模事業者持続化補助金の第20回公募要領でも、対象外経費の具体例として「保険適用診療にかかる経費」が明記され、薬局・整骨院・鍼灸院等の保険診療で使用する機械、保険診療の宣伝も兼ねるチラシ等が挙げられています。

この規定は「公的医療保険との重複」を避けるためのものです。動物医療には人の医療と同じ公的医療保険の枠組みがないため、この重複を理由とした除外の考え方は、そのままの形では動物病院の診療機器・広報物に当てはまりません。人の歯科医院・薬局向けの記事にある注意書きを読んで、動物病院でも同じように諦めてしまう必要はないということです。

一方で、持続化補助金には対象外になりやすい形態の列挙があり、医師・歯科医師・助産師、医療法人、学校法人、社会福祉法人などが挙げられています。獣医師はこの列挙に含まれていません。とはいえ最終的な判定は、申請時点の公募要領と、様式4を発行する商工会・商工会議所の窓口で確認するのが確実です。

4区分の判定表と、共通してつまずく2つの落とし穴

ここまでを1枚に整理すると、次のようになります。

  • 区分1(検査・診断の設備):省力化投資補助金の一般型/カタログ注文型。一般型は単体購入では外れる(オーダーメイド性)
  • 区分2(院内の業務システム):デジタル化・AI導入補助金。登録ツール+登録支援事業者が前提、ハード単体は対象外
  • 区分3(告知・広報):小規模事業者持続化補助金。広報費・ウェブ関連費はそれぞれ30万円(税込)上限、単独申請は不可
  • 区分4(新サービス開発):新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠。既存プロセス改善は対象外、補助下限100万円

そのうえで、区分をまたいで共通する落とし穴が2つあります。

1つは交付決定前の契約・発注は対象外という原則です。採択の連絡だけでは事業を始められません。機器の納期や工事日程を先に押さえてしまうと、その支出が補助の対象から外れます。

もう1つは金額のレンジです。革新的新製品・サービス枠は補助下限100万円、持続化補助金は上限の構造が特例前提です。予防医療の投資は一件あたりの金額が中規模になりやすく、「上が届かない」ではなく「下に届かない」で外れるケースがあります。見積の税抜総額を先に置き、そのレンジに乗る制度から検討する順番にすると、読む要領の量が減ります。

三浦高

💬 執筆者の三浦から一言

呼び方のズレにも触れておきます。2026年度から「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」は統合され、正式名称は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の各枠になりました。この2つを別々の独立した制度として説明している情報がまだ残っています。相談の場でも旧称で話が進むことがありますので、どの枠の話をしているのかを最初に合わせておくと行き違いが減ります。

まとめ

予防医療の強化は、検査機器・院内システム・告知・新サービス開発という性格の違う投資が同時に立ち上がるテーマです。だからこそ、制度名から入るのではなく、投資を4区分に分けて、区分ごとに候補と境界線を確認する順番が向いています。

本文で挙げた数字・要件は、2026年8月時点で当社が確認している公募要領・社内資料にもとづくものです。補助金は回次ごとに要件が変わり、上限額や対象範囲の改定も入ります。実際に申請へ進む際は、必ず申請時点の最新の公募要領で確認してください。制度選択そのものが計画の通り方を左右しますので、区分の切り分けに迷う段階で一度専門家に相談していただくのが、遠回りを避ける近道です。

【無料相談のご案内】

弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

フリーダイヤル 0120-335-523
お問い合わせフォーム https://v-spirits.com/contacts

三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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