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コラム

飲食店の加工場整備に補助金は使える?建物費が対象になる枠は1つだけ|目的別の選び方【2026年度】

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飲食店が加工場を整備するときに使える補助金と、工事費で分かれる制度の境界線

テイクアウトや冷凍販売、卸への出荷を増やそうとすると、店舗の厨房だけでは手が足りなくなります。そこで検討に上がるのが加工場の整備です。ところが補助金を調べ始めると、制度の一覧記事ばかりが出てきて、肝心の「工事費や建物の費用は補助対象になるのか」という点がはっきりしません。

加工場の整備は、機械を1台入れる投資とは性格が違います。区画を仕切り、給排水と電気を引き直し、床や壁の仕様を変えるところまで含めて、はじめて使える設備になります。この記事では、2026年度の制度をもとに、工事費・建物費がどこまで補助対象に乗るのか、そして「何のために加工場をつくるか」で候補の枠がどう入れ替わるのかを整理します。数年経営の飲食店で、店内提供以外の売り先を広げたい方を想定しています。

加工場整備の投資は3つに分けてから制度を探す

制度選びの前に、加工場整備でかかる費用を次の3つに分けてください。分けておくと、どの費用がどの制度に乗るのかを機械的に突き合わせられます。

  • 工事・建物にかかる費用:区画の仕切り、給排水・電気の敷設、床壁天井の仕様変更、増築や別棟の取得
  • 機械・設備にかかる費用:急速冷凍機、真空包装機、加熱調理機器、業務用冷蔵設備、計量・包装機器
  • 運用・販路にかかる費用:パッケージの試作、ECサイトの整備、販促物の制作

補助金の多くは2つ目の「機械・設備」を前提に設計されています。加工場整備でつまずきやすいのは、金額の比重が大きい1つ目の工事・建物が、制度によっては最初から対象経費の枠外に置かれている点です。ここを先に確認すると、候補は一気に絞り込めます。

建物費が対象経費になるのは新事業進出枠だけです

2026年度から、従来の「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」は統合され、公募要領上の正式名称は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金になりました。検索上位の記事には統合前の制度名や、すでに終了した制度の名前が残っているものがあるため、名称と年度を必ず確認してください。この補助金は複数の枠に分かれていて、加工場整備との相性は枠ごとにはっきり差があります。

新事業進出枠は建物費を必須経費として認めている

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 新事業進出枠は、対象経費の必須項目が「機械装置・システム構筑費または建物費」となっており、3枠のなかで唯一、建物費が正面から対象になります(単価10万円税抜以上)。ただし建物の単なる購入や賃貸、不動産の購入費は対象外です。あくまで補助事業のために建てる・改修する部分が対象という整理です。

金額の条件は次のとおりです(公募要領1.0版・令和8年6月)。

  • 補助下限:750万円
  • 補助上限:従業員1〜20人 2,500万円/21〜50人 4,000万円/51〜100人 5,500万円/101人以上 7,000万円。大幅賃上げ特例を適用した場合は各3,000万円/5,000万円/7,000万円/9,000万円。よく見かける「9,000万円」は最大の従業員規模と特例を組み合わせたときの最大値で、無条件の上限ではありません
  • 補助率:中小企業者 1/2(地域別最低賃金引上げ特例の適用時は2/3)

注目したいのは上限より下限です。補助下限750万円は、補助率1/2で計算すると補助対象経費で1,500万円規模の投資がないと届きません。店舗の一角を仕切って小さな加工室をつくる程度の計画では、金額の面で入口に届かないことがあります。また新規設立・創業後1年に満たない事業者は対象外で、最低1期分の決算書が必要です。

革新的新製品・サービス枠では建物・基礎工事が外れる

同じ補助金でも、革新的新製品・サービス枠は機械装置・システム構築費が必須かつ主軸で、建物・基礎工事・家賃といった周辺コストは対象外です。補助下限は100万円と入りやすい一方、工事の比重が大きい加工場整備では、対象経費として計上できる部分がそのまま痩せます。この枠を使うなら、投資の中心を機械側に置ける計画かどうかを先に確かめてください。

「何のために加工場をつくるか」で乗る枠が入れ替わる

加工場という言葉が同じでも、目的が違えば審査で見られる観点はまったく別物になります。目的別に3パターンで整理します。

新しい市場に出るための加工場

冷凍食品の小売、卸売への参入、通販での商品販売など、これまでと違う売り先を開く投資であれば、新事業進出枠が候補になります。この枠は、新たに提供する製品等が申請者にとって新規性を持ち、かつその市場が申請者にとって新たな市場であることが前提です。日本初・世界初である必要はありません。

一方で、既存事業と同一市場、既存製品の増産・再製造、単なる製法変更、単なるメニュー追加、単に商圏が違うだけ、といったものは新事業進出に該当せず対象外とされています。店で出している料理をそのまま冷凍して同じ客層に売る計画は、この対象外の記述に当たると読まれる可能性があります。審査では「新市場性」か「高付加価値性」のいずれかで筋を通せるかが山場になります。

既存メニューの仕込みを集約したい加工場

複数店舗の仕込みを1か所に集めたい、ピーク時の厨房負荷を下げたいという目的であれば、それは新市場への進出ではなく既存事業の効率化です。この場合、新事業進出枠の対象外規定に当たりやすく、革新的新製品・サービス枠も「既存製品・サービスの生産等プロセス改善は対象外」としています。両方から落ちるという点が、目的の置き方でつまずく典型例です。この方向で進めるなら、後述する中小企業省力化投資補助金(一般型)が筋になります。

店舗内の一角を改装する小規模な整備

数十万円から百万円台の改装であれば、小規模事業者持続化補助金が現実的な選択肢です。ただし工事の中身によって扱いが分かれるため、線引きを次の章で見ていきます。

💬 無料相談のご案内

補助金専門行政書士法人は、V-Spirits元補助金審査員の三浦を中心とした専門家チームが補助金支援を行っております。「このケースは補助金の対象になるのか?」といった疑問にも、無料でお答えしております。お気軽にご相談ください。

小規模事業者持続化補助金で改装費を出すときの2つの線引き

小規模事業者持続化補助金は、対象経費の「委託・外注費」に店舗改装・バリアフリー化工事等が含まれています。加工スペースの改装費をここに乗せられる可能性はありますが、2つの線引きがあります。

1つ目は工事の性質です。建物の増築・増床や「不動産の取得」扱いになる工事は対象外になりやすく、外気分断性・土地への定着性・用途性の3要件で判定されます。既存の店舗内を仕切って加工スペースをつくるのか、敷地内に別棟を建てるのかで、結論が変わります。

2つ目は事業者の規模です。飲食店は商業・サービス業に区分され、常時使用する従業員が5人以下であることが条件です。会社役員・個人事業主本人・同居の親族従業員・日雇い等はカウントしません。

金額と手続きの条件は次のとおりです(第20回公募・公募要領第7版)。

  • 補助率2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4)、補助上限は基本50万円。インボイス特例で+50万円、賃金引上げ特例で+150万円、両方を満たすと最大250万円
  • 特例部分だけでなく、要件を1つでも満たさないと全体が交付対象外になります
  • 申請受付開始は2026年11月5日、締切は2026年12月15日17:00。事業支援計画書(様式4)の発行受付締切は2026年12月4日で、それ以降の発行依頼はいかなる理由でも受け付けられません
  • 電子申請のみで、GビズIDプライムの事前取得が必要です
  • 単価50万円(税抜)超の機械装置等は2者以上の相見積が必要。1取引10万円超(税抜)の現金払いは不可

なお、広報費とウェブサイト関連費はそれぞれ交付申請額30万円(税込)が上限で、どちらも単独申請はできません。パッケージや通販サイトの費用を大きく見込んでいる場合は、この上限に収まるかを確認してください。

三浦高

💬 執筆者の三浦から一言

事務局で申請書を見ていたころ、加工場の計画で抜けやすかったのが、工事や機械の外側にある備品でした。パソコンなどの汎用品は基本的に補助金の対象になりません。総投資額をひとまとめにして資金計画を立てると、あとから自己負担だけが膨らみます。補助対象に乗る費目と自前で用意する費目を、見積の段階で二列に分けておくと計画が崩れにくくなります。

中小企業省力化投資補助金(一般型)に寄せるときの条件

仕込みの集約や人手不足への対応が主目的なら、中小企業省力化投資補助金(一般型)が候補になります。補助上限は1億円で、現場の人手不足や工程のムダを減らす設備・システム導入を支援する制度です。ただし、加工場整備でこの制度に乗せるには条件があります。

まず単価50万円(税抜)以上の機械装置等を最低1つという要件がありますが、これは入口にすぎません。判定の本体はオーダーメイド性です。省力化に資する汎用設備を複数組み合わせてより高い省力化効果を生む場合、または導入環境に応じて周辺機器・構成する機器の数・搭載する機能等が変わる場合であれば、汎用設備でも対象とみなされます。逆に、汎用設備を単体で導入するだけの計画は対象外です。

加工場でいえば、急速冷凍機を1台入れるという書き方では単体導入と読まれます。下処理から加熱、冷却、包装、計量までを一連の工程として設計し、自社の作業動線に合わせて機器構成を決めたという説明が要ります。

あわせて次の点を確認してください。

  • 3〜5年の事業計画で労働生産性を年平均+4.0%以上伸ばす計画が必要です
  • 賃上げ目標が要件で、未達の場合は達成率に応じて返還が発生しうる制度設計です
  • 対象外になりやすい例として、みなし大企業に該当する、直近3年の課税所得年平均が15億円超、実態が確認できない、従業員0名、外部任せで主体性がない、といったケースが挙げられています

従業員0名が対象外という条件は、店主ひとりで営む店が加工場を持とうとする場面で効いてきます。この場合は持続化補助金側で組み立てるほうが現実的です。

工事の段取りと交付決定のタイミングがぶつかる

制度が決まっても、進め方を間違えると補助が受けられません。どの制度にも共通して、交付決定日前に行った発注・契約・支払は対象外という規定があります。採択の通知が届いただけでは事業を開始できない点にも触れておきます。

加工場整備がやっかいなのは、この規定と工事の段取りが正面からぶつかることです。加工場は、必要な設備と動線を決める設計が固まらないと工事見積が出ません。見積が出なければ申請書の経費内訳が書けません。そのため、申請の準備期間の手前に「仕様を固める」区間が乗ります。物件を押さえてから交付決定まで待つ時間も、家賃や既存店舗の稼働と重ねて考える必要があります。

もう1点、加工した食品を店外へ出す場合は、飲食店営業許可とは別の営業許可が必要になることがあります。許可の区分や施設基準は自治体によって運用差があるため、管轄の保健所や行政書士に早い段階で確認し、設計に反映してください。補助金の交付決定を待つ期間と、許可のための施設検査の期間は別々に動きます。

なお、事業計画は申請者自身が作成することが前提で、外部への丸投げは不採択・取消の対象と明記されています。専門家の支援を受ける場合も、事業の中身を説明できる状態にしておいてください。

まとめ

飲食店の加工場整備で補助金を検討するときは、制度名から入らず、投資を「工事・建物」「機械・設備」「運用・販路」の3つに分けるところから始めると迷いません。そのうえで、次の順で候補を絞ります。

  • 工事・建物の比重が大きく、新しい売り先を開く投資 → 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 新事業進出枠(建物費が対象。補助下限750万円、創業1年未満は対象外)
  • 既存メニューの仕込み集約や人手不足対策 → 中小企業省力化投資補助金(一般型)(オーダーメイド性が判定の本体。従業員0名は対象外)
  • 店舗内の一角を改装する小規模な整備 → 小規模事業者持続化補助金(委託・外注費。増築・増床は対象外。商業・サービス業は従業員5人以下)

本記事の数字と要件は2026年8月時点で公表されている公募要領に基づいています。補助金は公募回ごとに要件が変わるため、申請の際は必ず最新の公募要領で確認してください。設備投資の税務上の取扱いについては税理士にご相談ください。

【無料相談のご案内】

弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

フリーダイヤル 0120-335-523
お問い合わせフォーム https://v-spirits.com/contacts

三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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中野裕哲

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】

税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1,000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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