
補助金は創業融資と併用できる?起業前に知っておきたい資金計画の考え方
創業を検討する中で、補助金と創業融資のどちらを使うべきか、あるいは両方を使ってよいのか迷う方は多いです。結論を先に言うと、補助金と創業融資は別の性質を持つ資金であり、組み合わせて資金計画を立てることができます。ここでは、創業前の方に向けて、両方をどう位置づけて考えればよいかを基礎から整理します。
結論:補助金と創業融資は組み合わせて考えられる
補助金と創業融資は、どちらか一方を選ぶものではなく、役割が異なる資金として併せて検討できます。補助金を使うからといって創業融資を申し込めなくなるわけではなく、逆に創業融資を利用したことで補助金の対象から外れるという仕組みでもありません。ただし、二つを同時に申し込めば資金の悩みがすべて解決するという話でもなく、それぞれの性質を理解したうえで、いつどちらを使うかという順序を考える必要があります。
創業前の検討段階では、具体的な申込手順よりも先に、補助金と創業融資をそもそも同じ資金計画の中で考えてよいのかを理解しておくことが出発点になります。この記事では、その考え方の基礎に絞って説明します。
補助金と創業融資、そもそも役割が違う
創業融資は事業を始める前後に手元資金を作るためのお金
創業融資は、主に日本政策金融公庫が提供する、起業時の資金調達を目的とした制度です。無担保・無保証人での借入が原則として可能で、審査では同じ業種での勤務経験、自己資金、事業計画の具体性、資金使途と調達額の整合、信用情報などをもとに判断されます。融資限度額は最大7,200万円程度(制度による)で、申込みから実行まではおおむね1〜2か月程度かかります。創業融資の特徴は、審査を通れば事業を始める前後の段階で手元に資金を用意できることです。
補助金は事業計画に沿った支出の一部を後から補うお金
補助金は、申請した事業計画が採択され、実際に支出をしたことを確認されたうえで、その一部が支給される仕組みです。先に資金を用意してくれる制度ではなく、使った後に戻ってくるお金という位置づけになります。この「先に使う資金が必要になる」という性質が、創業融資と組み合わせて考える必要が出てくる理由です。
ここまでの内容を、資金が手元に入るタイミングという観点で比較すると、次のようになります。
| 観点 | 創業融資 | 補助金 |
|---|---|---|
| 資金が手元に入るタイミング | 審査を通れば事業を始める前後の段階で入る | 支出をしたあと、実績報告を経て入る |
| 使えるかどうかの条件 | 事業計画や自己資金などをもとに審査で判断される | 申請した事業計画が採択される必要がある |
なぜ補助金だけでは開業資金が足りなくなりやすいのか
補助金は後払いという基本構造
補助金の多くは、申請して採択された後、事業を実施し、支出の内容を実績として報告してから、審査を経て支給される流れになっています。つまり、設備の購入や広告の出稿などにかかる費用は、支給より先に自分で立て替えて支払う必要があります。この順番を理解せずに「補助金が出るから大丈夫」と考えてしまうと、実際の支出のタイミングで資金が足りなくなることがあります。
開業のタイミングと支給のタイミングのズレ
創業前後は、物件取得や設備導入など、まとまった支出が発生しやすい時期です。一方で補助金の支給は、事業計画の採択から実際の入金まで一定の期間を要します。開業のタイミングと補助金が手元に入るタイミングにはズレが生じやすく、このズレをどう乗り越えるかが資金計画の論点になります。
💬 執筆者の三浦から一言
審査する側にいたころは、交付決定の前に設備を発注してしまい、せっかく採択されても補助が受けられないというケースをよく見ました。資金の順番を考えるときは、先に動くタイミングと交付決定のタイミングのどちらが先になるかを、分かれ目として意識しておくとよいです。
両方を考えるときの順序の基本
まず創業融資で当面の資金を確保する発想を持つ
資金計画を立てる際は、まず創業融資によって当面必要な資金を確保しておく、という発想が基本になります。創業融資は審査を通れば事業を始める前後の段階で資金を用意できるため、開業時にまとまった支出が発生するタイミングに対応しやすい手段です。
補助金は「使う予定の支出」に対して後から申請するものと考える
補助金については、最初から資金の穴を埋める手段として期待するのではなく、計画している支出のうち、対象になる部分を後から補うものとして位置づけると考えやすくなります。自己資金の額や割合について制度上の決まりはありませんが、自己資金が多いほど審査で有利になりやすいとされており、創業融資を検討する段階から自己資金の準備も並行して進めておくと、資金計画全体に無理が生じにくくなります。
「つなぎ」の発想があることだけ知っておく
補助金の交付までの期間を、短期的な借入で乗り切るという考え方自体は一般的に知られています。ただし、こうした借入の組み方や申込先の選定は、事業ごとの状況によって適否が変わる個別性の高い判断になります。本記事では考え方の基礎までを扱い、具体的な申込手順には立ち入りません。
補助金の例で考える基礎イメージ
補助金の仕組みをイメージしやすくするために、小規模事業者向けの例を一つ挙げます。小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者を対象に、上限250万円の範囲で支援を行う制度です。この補助金も、申請の採択後に事業を実施し、実績を報告してから支給される仕組みであることに変わりはありません。創業前の段階でこうした制度の名前を知っておくと、資金計画の中でどのタイミングにお金が必要になるかを具体的に想像しやすくなります。なお、補助金は制度ごとに対象者や対象経費の範囲が異なるため、本記事で触れた内容を超える詳細は、各制度の公募要領で確認してください。
創業前の段階では、こうした補助金の制度名や仕組みを知っているだけでも、創業融資の申込みをどのタイミングで進めておくべきかを考える材料になります。補助金の採択・支給を待つ前提で開業準備を進めてしまうと、支出が先に発生する時期に手元資金が不足しやすくなるため、両方の存在を前提に、資金計画の順序をあらかじめ考えておくことが、創業前の基礎になります。
💬 執筆者の三浦から一言
事務局で申請書を見ていた立場から言うと、制度名で検索して探すよりも、必要な投資の規模と目的から絞り込むほうが早く見つかります。小規模な支出なら小規模事業者持続化補助金のように上限が小さい制度、大きな投資ならより上限の大きい制度、という整理の仕方があり、名前だけで探していると見落としやすい視点です。
創業前に確認しておきたいこと(まとめ)
補助金と創業融資は、どちらを選ぶかではなく、性質の違う二つの資金として組み合わせて考えるものです。創業融資は事業を始める前後の段階で資金を用意できる手段であり、補助金は計画した支出の一部を後から補う仕組みです。この二つの順序を踏まえて資金計画を立てることが、創業前の検討段階で最初に理解しておきたい考え方です。具体的な組み方や申込先の選定は事業ごとの事情によって変わるため、税理士や中小企業診断士といった専門家、創業融資の相談先となる金融機関に、早い段階で相談することを検討してください。
【無料相談のご案内】
弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























