
「借りる時の恵比寿顔、返す時の閻魔顔」|お金を借りる前に知っておきたい心構えの話
「借りる時の恵比寿顔、返す時の閻魔顔」ということわざがあります。お金を借りるときは笑顔で頼みやすくても、返すときは一変して厳しい顔つきになる、という意味です。借りることそのものは、特別なことではありませんが、「返すまでが借りること」だという前提を、借りる前にしっかり持っておく必要があります。今回は、お金を借りる前に知っておきたい心構えについて、一つずつ考えていきます。
借りることと、返す計画はセットである
お金を借りる場面では、必要な金額や使い道に意識が向きがちですが、同じくらい大事なのが、どうやって確実に返していくかという計画です。毎月いくら返済するのか、その返済額を事業の収支の中にどう組み込むのかを、借りる前の段階で具体的に考えておくことが、後々の負担を軽くします。計画のないまま借りてしまうと、返す時期になって初めて現実の重さに気づくことになります。
「恵比寿顔」が変わらないようにするには
借りるときの柔らかい雰囲気と、返済が始まったあとの関係が大きく変わらないようにするには、無理のない金額を借り、約束どおりに返していくことが基本になります。返済が計画どおりに進んでいれば、相手との関係もそれほど大きく変わりません。逆に、返済が苦しくなってくると、関係の雰囲気も少しずつ変わっていってしまいます。
返済が苦しくなったときの向き合い方
事業の状況によっては、計画どおりに返済が進まない時期が出てくることもあります。そのときに大事なのは、黙って状況を抱え込むのではなく、早めに相手へ事情を伝え、相談することです。事前に相談があるかどうかで、相手の受け止め方は大きく変わります。返済が苦しいと感じた時点で、早めに動くことが、関係を保つための何よりの工夫になります。
借りる前に自分に問いかけておきたいこと
借りる前に、「この金額を、毎月いくらずつ、何年かけて返していくのか」を、具体的な数字で自分に問いかけてみてください。漠然と「なんとかなるだろう」という気持ちで借りてしまうと、後から苦しくなる可能性が高くなります。借りる理由がはっきりしていて、返済の計画も具体的に描けているなら、借りることそのものを怖がる必要はありません。

💬 監修者の元日本政策金融公庫の支店長の多胡から一言
審査する側から見ていると、返済計画を数字で具体的に説明できる方は、借りた後の関係も安定しやすい印象があります。感覚的な見通しだけで借りようとする方は、後から返済について相談を受ける場面が多いように感じます。
借金は悪いことではない、という視点も持っておく
このことわざは、借りることの怖さを伝える側面がありますが、借りること自体を否定するものではありません。業種によっては、設備や準備のために融資を受けて始めるのが当たり前という、よくあるケースもあります。借りること自体を怖がりすぎるのではなく、返すまでをきちんと計画に織り込んでおくという姿勢が大切です。
「恵比寿顔」の裏にある、相手の立場
お金を借りるときに相手が笑顔で応じてくれるのは、単に親切だからというだけではなく、きちんと返してもらえると判断しているからでもあります。借りる側は、この笑顔の裏にある「返してもらえるという前提」を忘れずに意識しておく必要があります。相手の立場を想像しておくことで、借りた後の振る舞いも、より誠実なものに自然と変わっていきます。
一度でも遅れると、次の関係が変わる
返済が一度遅れただけでも、相手の受け止め方は変わることがあります。特に、何の連絡もないまま遅れた場合は、信用への影響がかなり大きくなります。逆に、事前に連絡をして事情を説明していれば、同じ遅れでも受け止め方は大きく変わります。遅れそうだと分かった時点で、できるだけ早く連絡するという姿勢こそが、関係を保つうえで何よりも欠かせません。
返済期間が長くなるほど、見通しの精度が重要になる
短期間で返済する計画であれば、見通しの誤差はそれほど大きな問題になりません。しかし、返済期間が長くなるほど、事業の環境が変化する可能性も増え、最初に立てた見通しと実際の状況がずれていくことがあります。長期の返済計画を立てる場合は、一度決めたら終わりにせず、半年や1年に一度、計画どおりに進んでいるかをきちんと見直す習慣を持っておくと、小さなずれにも早く気づけます。
よくある質問
Q. 借りることに抵抗があり、なかなか踏み出せません
A. 借りること自体を恐れる必要はありません。返済の計画を具体的に立てられているかどうかを、まず静かに確認してみてください。
Q. 返済期間はどう決めればいいですか
A. 事業の収支の見込みに応じて変わるため、具体的な期間は専門家や相談窓口に確認しながら、無理のない形で決めていってください。短すぎても長すぎても、負担が増えることがあります。
まとめ:今日からできること
借りることを考えているなら、まず返済計画を具体的な数字で書き出してみてください。この準備が、恵比寿顔を保ち続けるための確かな第一歩になります。数字で考える習慣そのものが、あなたを助けてくれます。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
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- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
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