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コラム

【優越的地位の濫用について】 

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銀行との取引で知っておくべき「優越的地位の濫用」とは?金融機関も神経を尖らせるルール

前回の当コラムでは、
銀行との付き合い方について解説しました。

特に、
「期末で銀行が実績に困っているのであれば、無理のない範囲で付き合うのも一つの戦略」
というお話をしました。

銀行も営利企業ですから、

  • 期末

  • 半期

  • 決算期

にはどうしても数字に追われます。
そのタイミングで協力できれば、
「恩」を売るという意味で、後々プラスに働くこともあります。

ただし一方で、

  • 「銀行に言われたら、断れないの?」

  • 「うちはそんな余裕ないんだけど…」

  • 「断ったら融資に影響しない?」

と不安になる経営者の方が多いのも事実です。

そこで今回は、
経営者として“知識の武器”として持っておいてほしいルールを解説します。

それが、
**「優越的地位の濫用」**です。


目次

  1. なぜ「優越的地位の濫用」を知っておくべきなのか

  2. 「優越的地位の濫用」とは何か

  3. 金融機関がこの言葉に神経を尖らせる理由

  4. 融資取引における具体的なイメージ

  5. 過去に問題となった事例

  6. しつこい営業を受けた場合の対処法

  7. 使うときの注意点(重要)

  8. よくある質問(FAQ)

  9. 無料相談のご案内


なぜ「優越的地位の濫用」を知っておくべきなのか

銀行と企業は「心理的に」対等ではない

理屈の上では、
銀行と企業は「対等な取引関係」です。

しかし実務の現場では、

  • 融資を受けている

  • メインバンクがある

  • 資金繰りを銀行に依存している

こうした状況では、
企業側が心理的に弱い立場になりがちです。

経営者としては、

「ここで断ったら、次の融資に影響しないかな…」
「嫌な顔をされたら困るな…」

と考えてしまいますよね。

この心理的な力関係の偏りを是正するために設けられているのが、
「優越的地位の濫用」を禁止するルールです。


「優越的地位の濫用」とは何か

金融機関の内部では“最重要注意ワード”

「優越的地位の濫用」という言葉は、
一般のビジネスシーンではほとんど聞きません。

ところが金融機関の内部では、

  • 支店会議

  • コンプライアンス研修

  • 日常の営業指導

などで、繰り返し登場する言葉です。

それほど、銀行にとっては
**「絶対に踏み越えてはいけない一線」**なのです。


融資取引を前提にした基本構造

融資取引では、

  • お金を貸す側:金融機関

  • お金を借りる側:企業

という関係になります。

一般的に、
貸し手のほうが立場が強い(=優越的地位)
と考えられます。

そのため、

その立場を利用して
相手に不利益な取引を強要してはいけない

というのが、
「優越的地位の濫用」を禁止する趣旨です。


金融機関がこの言葉に神経を尖らせる理由

一度問題になるとダメージが大きい

銀行がこの言葉に過敏になる理由は、
非常に現実的です。

  • 金融庁からの指導・業務改善命令

  • 行政処分

  • マスコミ報道

  • 地域での信用低下

につながる可能性があるからです。

特に地方銀行や信用金庫の場合、
**「地域からの信頼」**は生命線です。

そのため、

  • 営業担当者

  • 支店長

  • 本部

すべてが「優越的地位の濫用」には
強い警戒心を持っています。


融資取引における具体的なイメージ

グレーになりやすい典型パターン

たとえば、次のような場面です。

「この前、かなり難しい融資を通しましたよね」
「なので、今回は目標未達の●●商品に協力してもらえませんか?」

このように、

  • 融資を通した事実

  • 融資を続けている立場

無言の圧力として使い
商品購入や取引拡大を求める行為は、
「優越的地位の濫用」に該当する可能性があります。

ポイントは、
明示的でなくても、圧力になっていればNG
という点です。


過去に問題となった事例

融資先への投資信託販売問題

数年前、
某地方銀行が融資先企業に対して投資信託を販売していた
という事例が問題になりました。

この件をきっかけに、

  • 融資と営業の線引き

  • 提案の仕方

  • 記録の残し方

について、
金融機関全体が一気に神経質になりました。

現在では、

  • 「お願い」という言い方

  • 提案書の表現

  • 面談記録の作成

まで、細かく管理されています。


しつこい営業を受けた場合の対処法

「優越的地位の濫用」は最終手段

もし、

  • 何度断っても続く

  • 経営に全くメリットがない

  • 明らかに圧を感じる

といった営業を受けた場合、
この言葉を出すこと自体が牽制になります。

「それは優越的地位の濫用にあたりませんか?」

この一言は、
金融機関側にとって非常に重い言葉です。

多くの場合、
担当者は一気にトーンダウンするでしょう。


使うときの注意点(重要)

「正式な融資条件」は別

ここは特に重要です。

その取引が、

  • 融資承認の条件として明示されている

  • 契約書や条件書に記載されている

場合は、
優越的地位の濫用には該当しません。

つまり、

  • 何でもかんでも使わない

  • 感情的に使わない

  • あくまで冷静に

が大切です。

伝家の宝刀は、抜く場面を間違えると逆効果
ということですね。


よくある質問(FAQ)

Q1. 銀行の提案は基本的に断ってもいいのですか?

A. 問題ありません。ただし、理由を簡潔に伝える配慮は必要です。

Q2. この言葉を使うと、関係が悪化しませんか?

A. 使い方次第です。冷静に伝えれば、無理な営業は止まることが多いです。

Q3. 融資条件かどうかはどう判断すれば?

A. 書面で明示されているかどうかが判断基準です。


【無料相談のご案内】

弊社では、中野裕哲を中心とした所属専門家チーム(起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、社会保険労務士、行政書士、司法書士、中小企業診断士、FP、元日本政策金融公庫支店長、元経済産業省系補助金審査員など)が一丸となって、幅広い起業支援・経営支援を行っております。
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この記事を書いた人

中野裕哲/Nakano Hiroaki

起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)

V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。

【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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