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コラム

飲食店の創業計画書における売上予測の立て方と書き方

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飲食店の創業計画書|売上予測の立て方と日本政策金融公庫に伝わる根拠の書き方

飲食店を開業するために創業融資を申し込むとき、創業計画書のなかでもっとも審査担当者が注目するのが「売上予測」です。ここに根拠のない大きな数字を並べてしまうと、計画全体の信頼性が一気に下がります。逆に、現実的で筋の通った売上予測を示せれば、融資審査を有利に進められます。この記事では、これから飲食店を開業する方に向けて、売上予測の基本的な立て方と、日本政策金融公庫などの審査で伝わる根拠の書き方を、わかりやすく解説します。

※融資制度や審査の運用は変わることがあります。本記事は2026年6月時点の一般的な考え方の整理です。具体的な条件は日本政策金融公庫など各金融機関の最新情報をご確認ください。

なぜ売上予測が創業融資で重視されるのか

金融機関がお金を貸すときに見ているのは、「貸したお金がきちんと返ってくるか」です。返済の原資になるのは、開業後に得られる利益、つまり売上から経費を引いた残りです。売上予測が甘ければ「返済できないのでは」と判断され、過大であれば「計画が現実離れしている」と見られます。飲食店は開業数が多く、廃業率も決して低くないため、審査担当者は売上の根拠を特に丁寧に確認します。だからこそ、誰が見ても納得できる積み上げ方が重要になります。

飲食店の売上予測の基本式

飲食店の売上予測は、感覚で数字を置くのではなく、次の式で積み上げて計算します。

売上高 = 客数 × 客単価
客数 = 席数 × 満席率 × 回転数

この式に沿って一つずつ数字の根拠を決めていくと、説得力のある売上予測になります。

客単価の決め方

客単価は、提供するメニューの価格構成から見積もります。たとえばランチで主力メニューが1,000円前後、ドリンクやサイドを加えて平均1,200円、ディナーはコース・アルコールを含めて3,500円、といった形です。実際に提供するメニュー表をもとに、「お客様1人あたりいくら使うか」を時間帯ごとに設定すると現実的になります。

客数(席数×回転数)の出し方

客数は、店の席数を起点に計算します。たとえば20席の店で、ランチタイムの満席率を70%、回転数を1.5回転とすると、ランチの客数は「20席 × 70% × 1.5回転 = 21人」となります。ディナーは滞在時間が長いため回転数を1.0〜1.2回転程度に抑えるのが一般的です。開業直後は認知度が低く満席にはなりにくいため、初月から高い満席率を置かないことがポイントです。

営業日数・時間帯の分け方

1日の売上が出たら、月の営業日数を掛けて月商を算出します。定休日を考慮し、月22〜26日程度で計算するのが現実的です。ランチとディナーで客単価も回転数も大きく異なるため、必ず時間帯を分けて計算しましょう。さらに、開業1年目は「軌道に乗るまで」を見込み、最初の数カ月は低めに、徐々に売上が伸びていく形で月別に推移を描くと、計画の解像度が上がります。

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売上予測に根拠を持たせるコツ

同じ数字でも、「なぜその数字になるのか」を説明できるかどうかで評価は変わります。根拠として有効なのは次のような材料です。

  • 近隣の競合・類似店の状況:周辺の同業態の繁盛具合や価格帯を調べ、自店の想定が現実的であることを示す。
  • 立地の通行量・商圏人口:前面道路の人通りや近隣のオフィス・住宅の状況から、見込み客数の妥当性を裏づける。
  • 自身の経験:同業態での勤務経験があれば、その店の客単価・回転数を参考値として提示する。経験は審査で強い説得材料になります。

「希望」ではなく「事実と比較できる数字」を添えることが、売上予測の信頼性を高めるカギです。

日本政策金融公庫の審査で見られるポイント

審査担当者は、売上予測そのものの大きさよりも、「数字に一貫性があるか」「自己資金や経験と釣り合っているか」を見ています。売上予測と仕入れ・人件費・家賃などの経費計画がかみ合っているか、返済額を無理なくまかなえる利益が残るか、といった全体のバランスが重要です。売上だけが立派でも、経費計画が雑だと評価されません。創業計画書は、売上・経費・返済が一つのストーリーとしてつながっていることが理想です。

やりがちな失敗

  • 満席・高回転を前提にする:開業直後から毎日満席という前提は非現実的と見られます。
  • 根拠を書かない:「月商300万円を見込む」とだけ書いても、なぜその数字かが伝わりません。
  • 経費を低く見積もる:売上を高く、経費を低くして黒字を演出すると、かえって計画の甘さを疑われます。

背伸びをした計画より、堅実で根拠のある計画のほうが、結果的に審査では評価されやすくなります。

よくある質問(FAQ)

Q. 売上予測はどのくらいの期間分を作ればよいですか?
A. 創業計画書では当面の見通しに加え、軌道に乗った段階の数字を示すのが一般的です。月別の推移も用意できると、計画の現実味が増します。

Q. 開業前で実績がなくても予測は信用されますか?
A. 実績がないのは前提です。だからこそ、近隣相場・立地・自身の経験といった客観的な根拠で数字を裏づけることが重要になります。

Q. 売上予測の作成だけでも相談できますか?
A. 可能です。飲食店の創業融資に詳しい専門家に相談すれば、審査担当者の視点を踏まえた現実的な数字に整えられます。

まとめ

飲食店の創業計画書における売上予測は、「客数 × 客単価」、さらに「席数 × 満席率 × 回転数」で積み上げ、時間帯や月別に分けて現実的に組み立てるのが基本です。大切なのは数字の大きさではなく、近隣相場・立地・自身の経験といった根拠で裏づけられているか、そして経費・返済とのバランスが取れているかです。売上予測の精度は融資審査の結果を大きく左右します。書き方に迷う場合は、飲食店の創業融資に精通した専門家に一度相談し、客観的な視点で計画を整えることをおすすめします。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

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