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コラム

空調工事業が使える補助金は「施主向け」を探しても出てこない|自社投資で選ぶ2026年度の制度

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空調工事業が自社の投資に使える補助金|施主向けの省エネ補助金とは別物です

「空調工事業 補助金」で検索すると、出てくるのは業務用エアコンや高効率空調を導入する側の事業者向けにまとめられた省エネ補助金の記事ばかりです。空調設備を施工している会社の経営者からすると、「うちがお客様に案内する制度の話であって、自社が投資するときの話ではない」と感じるのではないでしょうか。

実際、空調工事業には「施主の設備更新を施工する立場」と「自社が設備・システムに投資する立場」の2つがあり、使える補助金はまったく別の制度になります。この記事では後者、つまり空調設備工事会社が自社の投資に使える補助金を、投資テーマ別に整理します。あわせて、2026年度の制度再編と、申請前に知らないと損をする「対象外になる境界線」も具体的に取り上げます。従業員10〜30名規模の空調設備工事会社の経営者を想定して書いています。

なお、補助金の要件・上限額・スケジュールは改定が頻繁です。本記事は2026年8月時点で確認できた情報をもとにしており、申請時は必ず最新の公募要領をご確認ください。

まず整理|空調工事業には「2つの立場」がある

ここを混同したまま調べ始めると、いつまでも自社に関係のない情報を読み続けることになります。最初に立場を分けておきましょう。

立場1:施主の設備更新を施工する側

お客様の工場や店舗の空調を高効率機に更新する工事を請け負う場面です。このとき省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)などの申請主体は、あくまで設備を導入する施主側です。空調工事会社は、見積書の作成や省エネ効果の算定資料、交付決定後の発注スケジュール調整などで施主を支える立場になります。

ここで自社が申請者になれるわけではありませんが、「補助金のスケジュールを理解している施工会社かどうか」は受注に直結します。交付決定前に発注してしまうと補助対象外になるため、着工時期の調整を誤ると施主に損害を与えてしまうからです。

立場2:自社が設備・システムに投資する側

職人不足への対応、現場管理や見積作成の効率化、新しい工事領域への進出といった、自社の経営課題を解決するための投資です。この記事で扱うのはこちらで、使える制度は省力化投資やIT導入、新事業進出の系統になります。

空調工事業は夏と冬に工事が集中しやすく、繁忙期に人手が足りない一方で閑散期には手が空くという構造的な波を抱えています。求人を出しても職人が採れない状況が続くなら、「人を増やす」以外の打ち手として省力化・省人化の投資を検討する価値があります。補助金はその後押しに使える制度です。

投資テーマ別|自社の課題に制度を割り当てる

補助金は「業種で選ぶ」ものではなく「投資の中身で選ぶ」ものです。空調工事業でよくある投資テーマを4つに分け、それぞれ筋の通る制度を当てはめます。

テーマ1:現場・工場の省力化 → 中小企業省力化投資補助金

加工場やプレハブ工場を持っていて、ダクトの加工・保温・搬送などに人手を取られている場合が該当します。制度は2つに分かれます。

  • 中小企業省力化投資補助金(一般型):補助上限1億円。自社の現場に合わせた設備・システムの構成を組む投資が対象です。3〜5年の事業計画で労働生産性を年平均4.0%以上伸ばす計画が必要で、単価50万円(税抜)以上の機械装置等を最低1つ入れることが求められます。
  • 中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型):カタログに登録された既製の省力化製品を、販売事業者と共同で申請して導入する形です。労働生産性は年平均3.0%以上の向上が要件になります。

注意したいのは、一般型が求めるオーダーメイド性です。汎用の機械を1台だけ買う投資は、単価要件を満たしていても対象になりません。複数の汎用設備を組み合わせてより高い省力化効果を出す、あるいは導入環境に応じて周辺機器や機能構成が変わる、といった形にして初めて対象設備とみなされます。

また、カタログ注文型の補助上限は従業員規模別に定められており、2026年3月19日以降に引き下げの改定が行われています(5人以下は200万円、6〜20人は500万円、21人以上は1,000万円が目安で、賃上げ要件を達成する場合はそれぞれ引き上げられます)。社内資料や古い解説記事には改定前の数字が残っていることがあるため、金額は必ず最新の公募要領で確認してください。

テーマ2:施工管理・見積・在庫のIT化 → デジタル化・AI導入補助金

現場写真の整理、日報、原価管理、材料の在庫把握といった事務作業が特定の社員に集中しているなら、デジタル化・ AI導入補助金(旧IT導入補助金)が候補になります。補助上限は通常枠450万円、インボイス枠350万円、複数者連携デジタル化・AI導入枠3,000万円です。

この制度は、事務局に登録されたITツールを、登録されたIT導入支援事業者の支援を受けて導入することが前提になります。自社で見つけてきたソフトを自由に入れて申請する形ではない点に注意してください。クラウド利用料は最大2年分が対象経費になります。

テーマ3:新しい工事領域・サービスへの進出 → 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金

2026年度(令和8年度)から、従来の「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」は統合され、正式名称は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金になりました。制度名で検索して古い記事にたどり着くと枠の名前がかみ合わないため、ここは押さえておきたいポイントです。枠は目的で選びます。

  • 新事業進出枠:既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出が対象。補助下限は750万円、補助上限は従業員規模別に1〜20人2,500万円/21〜50人4,000万円/51〜100人5,500万円/101人以上7,000万円で、大幅賃上げ特例を適用した場合は最大9,000万円です。補助率は中小企業者で2分の1(地域別最低賃金引上げ特例の適用時は3分の2)。
  • 革新的新製品・サービス枠:既存事業の延長で新しい製品・サービスを開発する場合。補助下限は100万円、補助上限は5人以下750万円/6〜20人1,000万円/21〜50人1,500万円/51人以上2,500万円で、大幅賃上げ特例の適用時は最大3,500万円です。

上限額の大きい数字だけが独り歩きしがちですが、9,000万円も3,500万円も最も大きい従業員規模かつ大幅賃上げ特例を適用したときの最大値です。従業員20人前後の会社が同じ枠を見込むことはできません。基本要件として付加価値額を年平均4.0%以上、一人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上伸ばす計画が必要で、未達の場合は返還が発生し得る点も踏まえて判断してください。なお、新規設立・創業後1年に満たない事業者は対象外です。

💬 無料相談のご案内

補助金専門行政書士法人は、V-Spirits元補助金審査員の三浦を中心とした専門家チームが補助金支援を行っております。「このケースは補助金の対象になるのか?」といった疑問にも、無料でお答えしております。お気軽にご相談ください。

テーマ4:小規模な販路開拓 → 小規模事業者持続化補助金

建設業は「製造業その他」の区分となり、常時使用する従業員が20人以下であれば小規模事業者に該当します(会社役員・個人事業主本人・同居の親族従業員・日雇い等はカウントしません)。この場合、小規模事業者持続化補助金で自社サイトの整備や広報の投資を進める道があります。

補助率は3分の2、補助上限は基本50万円で、インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円が上乗せされ、両方の要件を満たす場合は最大250万円です。ただし広報費とウェブサイト関連費はそれぞれ30万円(税込)の上限があり、どちらも単独での申請はできません。「ホームページを作りたいから持続化補助金」と考えていると、想定した額が出ないことになります。申請にはGビズIDプライムと、商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)が必要です。

自社の事務所・倉庫の空調を更新する場合

自社の事務所や倉庫、加工場の空調が古く電気代が重い、というケースでは、空調工事会社自身が省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)の申請者になり得ます。設備単位型(従来枠)の補助上限は1億円、補助率は3分の1以内、補助下限は30万円です。

ただし要件は数値で判定されます。設備単位型では、現在使用している設備を指定設備へ更新したうえで、省エネ率10%以上、省エネ量1キロリットル(原油換算)以上、または経費当たり省エネ量1キロリットル/千万円以上のいずれかを満たす必要があります。加えて原則3者以上の相見積が求められ、導入後には実測データ等による省エネ効果の報告義務もあります。

自社で施工できるからといって手続きが軽くなるわけではありません。むしろ「工事は自分たちでできるので気軽に申請できる」と考えて発注時期を誤ると、後述の境界線に引っかかります。

対象外になりやすい5つの境界線

制度選び以前に、次の5点で外れる申請が少なくありません。着手前に確認してください。

  1. 交付決定前の契約・発注・購入:ほぼすべての制度に共通します。採択の通知が届いただけでは事業を始められません。交付決定日より前に発注した設備は対象外になります。設備の納期が長い場合ほど、この順序で計画が崩れやすくなります。
  2. 汎用設備の単体導入:省力化投資補助金(一般型)は、汎用設備を1台導入するだけの事業を対象外としています。単価50万円以上という要件をクリアしていても、オーダーメイド性を示せなければ通りません。
  3. 据付費・工事費・配線配管:省エネ・非化石転換補助金の設備単位型・GX設備単位型は、設備費が中心です。設計費、運搬費、撤去費、廃棄費、据付費・工事費、配線・配管などは対象外になりやすく、工事一式の総額で補助額を見込むと大きくずれます。
  4. 車両:小規模事業者持続化補助金では、自動車・フォークリフト等の車両は原則として対象外です。作業車やサービスカーの更新を補助金で賄う前提を置かないでください。
  5. ハード単体の購入:デジタル化・AI導入補助金は登録ITツールが軸で、PC・タブレット等のハード単体購入は対象外です(対象ソフトとセットになる類型で一部が対象になります)。

申請までの段取り

公募締切から逆算して動きます。目安は次のとおりです。

  1. GビズIDプライムを取得する:電子申請の前提です。取得に時間がかかるため、制度を決める前に着手しておくと安全です。
  2. 投資テーマを1つに絞る:省力化なのか、IT化なのか、新領域への進出なのか。ここが曖昧なまま複数制度を並行検討すると、どの計画も浅くなります。
  3. 公募要領で自社の従業員規模の上限額と補助下限を確認する:とくに新事業進出枠は補助下限750万円のため、投資額が小さいと土俵に乗りません。
  4. 見積を取り、対象経費と対象外経費を分ける:本体・付帯工事・保守を分けた見積を依頼しておくと、後の申請書作成が楽になります。
  5. 交付決定を待ってから発注する:ここだけは前倒しできません。

なお、2026年度の新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は第1回公募が2026年6月29日開始、申請締切が2026年9月30日18時、採択発表は2026年12月頃の予定です。小規模事業者持続化補助金の第20回公募は申請受付開始が2026年11月5日、様式4の発行受付締切が2026年12月4日、申請締切が2026年12月15日17時です。回次ごとに日程は変わりますので、必ず最新の公募要領で確認してください。

よくある質問

Q. 施主が使う省エネ補助金を、施工会社の名前で申請できますか

できません。省エネ・非化石転換補助金の申請主体は、その設備を自社の事業活動で使用する事業者です。施工会社が申請者になれるのは、自社の事務所・工場等の設備を更新する場合に限られます。施主案件では、見積や省エネ効果の資料作成、発注時期の調整といった支援の役割を担うことになります。

Q. 従業員15名ですが、上限9,000万円の枠は狙えますか

狙えません。新事業進出枠の9,000万円は、従業員101人以上かつ大幅賃上げ特例を適用した場合の最大値です。従業員1〜20人の区分では2,500万円(大幅賃上げ特例の適用時で3,000万円)が上限になります。

Q. 補助金の入金はいつになりますか。資金の準備は必要ですか

補助金は原則として精算払いです。設備の代金は先に自社で支払い、実績報告と確定検査を経てから入金されます。そのため、補助金が採択されていても投資額の全額をいったん立て替える資金が必要です。手元資金が薄い場合は、融資と組み合わせて資金繰りを設計しておくと安心です。

Q. 補助金を受け取ったときの税務処理はどうなりますか

補助金は原則として収益に計上され、課税の対象になり得ます。ただし個別の処理は事業年度や設備の取得時期、適用できる制度によって結論が変わりますので、詳細は税理士にご相談ください。

まとめ

空調工事業の補助金の情報が探しにくいのは、検索結果の大半が「空調を導入する側」向けに書かれているからです。自社の投資として補助金を考えるなら、まず立場を切り分け、次に投資テーマ(現場の省力化/施工管理のIT化/新領域への進出/販路開拓)を1つに定めるところから始めてください。

そのうえで、従業員規模別の上限額と補助下限、そして交付決定前発注やオーダーメイド性といった境界線を確認すれば、検討の精度は大きく上がります。制度の統合や上限額の改定が続いている時期でもありますので、判断に迷う場面では公募要領の原文と専門家の確認を組み合わせて進めることをおすすめします。

【無料相談のご案内】

弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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