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コラム

動物病院はデジタル化・AI導入補助金の対象になる?電子カルテ・予約システム導入の申請ガイド

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電子カルテは補助金対象になる?動物病院向けデジタル化・AI導入補助金の判断ポイント

「電子カルテや予約システムを入れ替えたいが、費用が重い」「補助金の情報はクリニック(人間の医療機関)向けばかりで、動物病院が対象になるのか分からない」——数年経営を続ける動物病院の院長・経営者から、こうした相談をよく受けます。

結論から言うと、動物病院は自由診療の事業者であっても「デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)」の対象になり得ます。本記事では、動物病院が実際にこの補助金を検討するときに迷いやすい「対象になるかどうか」「3つの枠のどれを選ぶか」「導入したいベンダーが支援対象になるかの確認方法」を中心に、制度の使い方を整理します。

動物病院はデジタル化・AI導入補助金の対象になる?

デジタル化・AI導入補助金は、事務局に登録されたITツール(ソフト・クラウド等)を導入し、業務効率化やDXを進める中小企業・小規模事業者を支援する制度です。対象は業種で限定されておらず、動物病院のように保険診療ではなく自由診療で運営している事業者でも、法人・個人事業主を問わず対象になり得ます。

ポイントは「保険点数の有無」ではなく、「導入目的が生産性向上(業務効率化・DX)に結びついているか」です。電子カルテによる紙カルテからの脱却、Web予約・LINE予約による電話対応の削減、顧客管理システムによるワクチン案内の自動化などは、いずれも生産性向上の説明がしやすいテーマです。逆に「新しい診療サービスを立ち上げるための投資」のような文脈では、この補助金は主役になりにくく、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金など他の制度の方が筋が通ることもあります。

3つの枠の違いと、動物病院が選びやすい枠

デジタル化・AI導入補助金には次の3つの枠があります(本記事は執筆時点の情報のため、申請前に必ず公式サイトで最新の公募要領を確認してください)。

  • 通常枠:補助上限450万円。会計・受発注・決済・顧客管理などの基幹業務ツールを幅広くカバーする、最も利用しやすい枠
  • インボイス枠:補助上限350万円。インボイス対応の会計・受発注ツールや、対応レジ・券売機などのハードウェアも対象になりやすい枠(類型により上限設定あり)
  • 複数者連携デジタル化・AI導入枠:補助上限3,000万円。複数の事業者が連携して共通基盤を導入する場合の枠で、単独の動物病院1院での導入では通常使わない

1院で電子カルテ・予約システム・顧客管理システムをまとめて刷新したい動物病院の多くは、通常枠が検討の起点になります。会計ソフトのインボイス対応が導入のきっかけになっている場合は、インボイス枠も合わせて確認するとよいでしょう。多店舗・分院展開をしていて、複数院で共通のシステム基盤を入れる計画がある場合のみ、複数者連携枠が選択肢に入ります。

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動物病院で対象になりやすい経費

対象経費は大きく次のように整理できます。

  • 電子カルテ・予約システム・顧客管理システムなどのソフトウェア購入費
  • クラウド型システムの利用料(最大2年分がまとめて対象になる)
  • 導入時の初期設定・スタッフ研修・マニュアル作成・保守サポート費用
  • セキュリティ対策関連の費用(枠により対象範囲が異なる)
  • インボイス対応に必要なハードウェア(レジ・券売機等。類型により上限あり)

動物病院向けの電子カルテ・予約管理システムはクラウド型で提供されているものが多く、初期導入費用だけでなく月額利用料も補助対象に含められる点は、資金繰りの負担を考えるうえで見落とせないポイントです。ただし、対象になるのは「事務局に登録されたITツール」に限られるため、導入したいシステムがそもそも登録対象かどうかは、申請の前提として必ず確認が必要です。

導入したいベンダーが「IT導入支援事業者」かどうかの確認方法

デジタル化・AI導入補助金は、単独でツールを買って終わりではなく、事務局に登録された「IT導入支援事業者」の支援を受けて申請することが前提になっています。動物病院向けの電子カルテ・予約システムを提供している会社であっても、この支援事業者として登録されていなければ、その製品は補助対象にできません。

確認の進め方はシンプルです。導入を検討しているベンダーに「デジタル化・AI導入補助金のIT導入支援事業者として登録されているか」「自社の製品は登録ツールとして掲載されているか」を直接問い合わせるのが最も確実です。動物病院向けシステムは専門性が高く導入実績のあるベンダーが限られるため、比較検討の初期段階でこの確認を済ませておくと、後から「使いたいシステムが対象外だった」という手戻りを避けられます。

申請の流れと、動物病院がつまずきやすいポイント

申請の大まかな流れは、(1) 導入したいITツールとIT導入支援事業者を選定、(2) 事業者と共同で申請書類・生産性向上の計画を作成、(3) 事務局へ電子申請、(4) 交付決定後に契約・導入、(5) 実績報告という順序です。動物病院特有のつまずきポイントとして、次の点が挙げられます。

  • 交付決定前に契約・発注してしまうと対象外になる。院内稟議や資金繰りの都合で急いで発注しがちだが、必ず交付決定を待つ
  • 「生産性向上計画」は数値目標を伴う書類のため、来院数や会計・受付にかかる時間など、自院の業務データを事前に整理しておく必要がある
  • 通常枠の高額な区分では賃上げ計画の策定・表明が実質的な前提になることがあるため、スタッフの給与体系も含めて早めに方針を固めておく

よくある質問

Q. 動物病院は自由診療なので、保険診療のクリニックより不利になりますか。
A. 補助金の審査は保険点数の有無ではなく「生産性向上に資するIT投資かどうか」で判断されます。自由診療であることを理由に不利になる制度設計ではありません。

Q. 開業したばかりでも申請できますか。
A. 中小企業・小規模事業者であれば開業年数による一律の制限はありませんが、事業実態や決算内容の確認を求められる場合があります。個別の可否は必ずIT導入支援事業者・事務局に確認してください。

Q. 電子カルテと予約システムを別々のベンダーで導入する場合はどうなりますか。
A. それぞれが登録ツールであれば、同一申請の中で複数ツールをまとめて計画することも可能です。ただし枠ごとの上限額の範囲内で収める必要があるため、IT導入支援事業者と事前にすり合わせておきましょう。

まとめ

動物病院がデジタル化・AI導入補助金を検討する際は、①保険診療でなくても対象になり得ること、②通常枠・インボイス枠・複数者連携枠のうち自院に合う枠を見極めること、③導入したいベンダーがIT導入支援事業者として登録されているかを早めに確認すること、の3点が判断の軸になります。制度の数字・要件は変更されることがあるため、申請前には必ず事務局の最新の公募要領を確認したうえで、IT導入支援事業者と相談しながら進めてください。

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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

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