
ものづくり補助金は、革新的な新製品・新サービス開発に必要な設備・システム投資を支えてきた制度ですが、申請すれば必ず採択されるわけではなく、不採択になる事業者も毎回一定数発生してきました。新事業進出・ものづくり補助金は第23次公募で新規受付が終了しているため、現在は新規申請の受付がない前提で確認が必要ですが、過去公募で不採択になった事業者にとっては、何が原因だったのか、後継制度や他の補助金で同じ過ちを繰り返さないためにどうするかが大きなテーマです。
後継制度「新事業・ものづくり補助金」とは
ものづくり補助金(新事業進出・ものづくり補助金)は第23次公募で終了しましたが、「新事業・ものづくり補助金」として後継制度が創設される方向で検討が進んでいます。現時点では公募開始時期や詳細要件は公式発表をご確認ください。
後継制度はものづくり補助金の内容や審査基準を引き継ぐ可能性が高く、本記事で解説した採択傾向・事業計画書の作り方はそのまま活用できます。新制度の公募開始に備える意味でも、本記事の内容はぜひ把握しておいてください。
新事業・ものづくり補助金は、ものづくり補助金の趣旨を引き継いだ制度となる見込みです。具体的な補助上限額・補助率・申請要件は公式情報が出次第確認が必要ですが、以下の点はものづくり補助金から継続される可能性が高いと考えられます。
- 「新製品・新サービス開発」を核とした事業計画の必要性
- 付加価値額・賃上げに関する数値要件の設定
- 機械装置・システム構築費を中心とした補助対象経費の構成
- 事業計画書による審査(書類審査+採点方式)
後継制度の公募開始に合わせて素早く動くためにも、自社の強み・投資目的・3〜5年の数値計画・賃上げ計画を今から整理しておくことが重要です。これらの準備はそのまま後継制度の事業計画書に転用できます。
ものづくり補助金が不採択になる主なパターン
ものづくり補助金は、効率化のみを目的とした申請は対象外で、新サービス・新商品の提供・開発が必須でした。設備投資が必要な事業であることも前提条件で、単価50万円(税抜)以上の機械装置等の取得が求められていました。
これらの前提に加えて、審査では「適格性」「経営力」「事業性」「実現可能性」「政策面」の5観点でスコアリングされていました。過去公募で不採択になった事業者の傾向を見ると、不採択の理由は次のいずれかに集約されます。
パターン1:新製品・新サービスの開発が事業計画の中心に据えられていない
ものづくり補助金で最も多い不採択理由は、申請内容が「新製品・新サービスの開発」ではなく「設備更新・効率化」に見えてしまうケースです。事業計画書の冒頭で「新商品の開発」と書かれていても、本文を読んでいくと既存ラインの増産や、現行サービスの提供スピードを上げるだけの内容になっていることが少なくありません。
同業他社に既に広く普及している取組では、革新性の説明が成立しにくい傾向もありました。自社にとって新しくても、業界全体ではすでに標準化されている設備の導入では、ものづくり補助金が求める「革新性」を満たしにくい構造になっていました。
パターン2:付加価値額と賃上げの数値計画の根拠が薄い
ものづくり補助金の基本要件には、補助事業終了後3〜5年の事業計画における付加価値額の年平均成長率3.0%以上、従業員1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上、事業所内最低賃金が地域別最低賃金プラス30円以上といった項目が含まれていました。
これらの要件を満たすには、要件と同じ数字を入れるだけでは足りず、「新製品の単価×想定数量」「稼働率の改善」「原価率の低下」など、数字の出どころまでが事業計画書の中で一貫している必要がありました。要件ぴったりの数字が並んでいるが、本文中の根拠と整合していない計画は、実現可能性が低いと判断されやすかった領域です。
パターン3:機械装置・システム構築費以外の経費構成が不自然
ものづくり補助金は、機械装置・システム構築費が経費の中心になることが期待されていました。専門家経費・外注費・クラウドサービス利用費・原材料費なども一定範囲で対象になっていましたが、「機械装置・システム構築費」以外の経費は枠ごとに上限が定められていました。第23次公募では通常枠で500万円(税抜)、グローバル枠で1,000万円(税抜)が上限です。
外注費や専門家経費が経費全体に占める比率が高すぎる、対象外の汎用品(PC・タブレット・スマートフォン・文書作成ソフトウェアなど)が混ざっている、見積書の取得方法が要件と合っていない、といった経費構成は、書類審査の段階で評価を下げる原因になっていました。
パターン4:実施体制・資金調達の説明不足
新製品・新サービス開発を進めるための実施体制、必要な人材・技術・外部協力先、補助金が出ない部分の自己負担や運転資金の見通しが薄い計画は、「採択しても完遂できない可能性が高い」と判断されやすい領域でした。少人数の組織で大型投資を計画する場合は特に、外部の専門家・協力会社の活用も含めて実施体制を組み立てる必要がありました。
番外編:交付決定前の発注・契約・購入による失敗
ものづくり補助金では、交付決定より前の発注・契約・購入は、理由に関係なく対象外として扱われていました。「採択が決まっていないが、設備を確保しておきたかった」「展示会のタイミングに間に合わせたかった」といった理由でも例外は認められません。
過去公募では、申請時点ですでに発注・契約してしまっていた経費を含めて申請してしまい、その経費分が対象外になる、あるいは申請全体の信頼性が下がる、というケースが見られました。
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不採択を回避するための対策
1. 「革新性の説明」を1段深くする
新製品・新サービスの開発であることを示すには、自社の従来製品との違い、業界内・地域内の既存解決策との違い、競合がまだ広く取り組んでいない理由を、ファクトや数値で具体的に書く必要があります。「業界初」「地域初」と書く場合は、その根拠(調査範囲・出典・自社での確認方法)まで示せると、審査側の納得感が大きく変わります。
同業他社に普及している設備を導入する場合でも、「同じ設備をどう使うか」「どんな新サービスにつなげるか」で差別化できるなら、その使い方の独自性を中心に据える書き方が有効でした。
2. 数値計画を「現状→投資→効果」の流れで書き直す
付加価値額・賃上げ・最低賃金の数値計画は、「現状の数字」「投資による変化」「効果」の3段階で構造化すると説得力が増します。現状の売上構造、新製品・新サービスの単価×想定数量、稼働率や原価率の改善、人件費の増加分、その結果としての付加価値額の伸び、そして賃上げにつながる原資といった流れで本文中の説明と数値計画を連動させると、要件を満たす根拠としてつながります。
3. 経費構成を「機械装置・システム構築費中心」に組み直す
対象経費の中で機械装置・システム構築費が大半を占める形に再構成し、外注費・専門家経費・クラウドサービス利用費などは必要最小限に絞ります。汎用性が高く対象外になりやすい経費(PC、タブレット、スマートフォン、文書作成ソフトウェア、家具、一般事務用品など)が混ざっていないかを、公募要領の「対象外経費」一覧と突き合わせて点検します。
4. スケジュールと交付決定タイミングを揃える
交付決定前の発注・契約・購入が対象外であることを前提に、機械装置の発注タイミング、業者との契約タイミング、入金タイミングを事業計画書のスケジュールに正しく落とし込みます。展示会や繁忙期との兼ね合いで前倒ししたい場合も、補助金対象経費としては交付決定後の発注に揃える必要があり、自社のキャッシュフローや業務スケジュールとの調整が必要になります。
5. 実施体制と資金計画を厚めに書く
事業計画書の中で、誰が何をいつまでに担当するのか、必要に応じてどの外部協力先・専門家を入れるのか、補助金が出ない部分の自己負担や運転資金をどう手当てするのかを、実施スケジュールとセットで書き込みます。少人数組織の場合は、外部リソースの組み合わせで実施体制を補完する形が現実的です。
不採択になった場合の対応
後継制度・他補助金への切替を検討する
ものづくり補助金は第23次公募で終了しているため、今後の設備投資・新サービス開発では、現在公募中の補助金や、国・自治体が実施する別制度を確認する必要があります。中小企業成長加速化補助金、中小企業省力化投資補助金(一般型・カタログ注文型)、小規模事業者持続化補助金など、自社の投資内容と相性のよい制度を、最新の公募要領で確認したうえで選び直すのが基本です。
制度ごとに対象者・対象経費・補助率・申請要件が大きく異なるため、「ものづくり補助金の代わりに必ずこれを使うべき」と断定できる制度はありません。自社の事業内容、投資の目的、規模に合わせて個別に判断する必要があります。
専門家のレビューを入れる
事業計画書の論理構造や数値計画に自信がない場合は、補助金の実務経験を持つ専門家のレビューを入れるのも有効です。元審査員・元事務局員の経験を持つメンバーが社内に在籍する事務所であれば、審査の観点に沿って事業計画書の弱点を指摘しやすく、再申請や他補助金への切替時の精度を上げられます。
よくある質問
Q. ものづくり補助金は今からでも申請できますか?
ものづくり補助金は第23次公募で終了しているため、現在は新規申請の受付がない前提で確認が必要です。設備投資や新サービス開発を検討している場合は、新事業進出・ものづくり補助金がお勧めです。他補助金と統合した制度のためものづくり補助金で対象になる計画であれば申請できる可能性があります。
後継制度「新事業・ものづくり補助金」とは
ものづくり補助金(新事業進出・ものづくり補助金)は第23次公募で終了しましたが、「新事業・ものづくり補助金」として後継制度が創設される方向で検討が進んでいます。現時点では公募開始時期や詳細要件は公式発表をご確認ください。
後継制度はものづくり補助金の内容や審査基準を引き継ぐ可能性が高く、本記事で解説した採択傾向・事業計画書の作り方はそのまま活用できます。新制度の公募開始に備える意味でも、本記事の内容はぜひ把握しておいてください。
新事業・ものづくり補助金は、ものづくり補助金の趣旨を引き継いだ制度となる見込みです。具体的な補助上限額・補助率・申請要件は公式情報が出次第確認が必要ですが、以下の点はものづくり補助金から継続される可能性が高いと考えられます。
- 「新製品・新サービス開発」を核とした事業計画の必要性
- 付加価値額・賃上げに関する数値要件の設定
- 機械装置・システム構築費を中心とした補助対象経費の構成
- 事業計画書による審査(書類審査+採点方式)
後継制度の公募開始に合わせて素早く動くためにも、自社の強み・投資目的・3〜5年の数値計画・賃上げ計画を今から整理しておくことが重要です。これらの準備はそのまま後継制度の事業計画書に転用できます。
Q. 不採択になった事業計画書は、後継制度や他補助金にそのまま使えますか?
事業計画書の骨組み(自社の強み・課題・投資内容・数値計画・実施体制)は流用できますが、補助金ごとに要件・対象経費・補助率・審査観点が異なるため、そのまま使い回すのは避けるべきです。新しい制度の公募要領を読み込み、要件に沿った形で書き直す必要があります。
Q. 同じ補助金に再申請するときの注意点は?
公募回ごとに採点項目や政策方針が変わることがあるため、前回と同じ事業計画書を出すのではなく、不採択通知の内容と最新の公募要領を踏まえて作り直すことが重要です。なお、ものづくり補助金は第23次で終了しているため、同制度への再申請という選択肢は前提として置けません。
まとめ
ものづくり補助金で不採択になりやすかったのは、革新性の説明が弱い、数値計画の根拠が薄い、経費構成が不自然、交付決定前に発注している、実施体制が説明不足、という5つのパターンです。再申請や他補助金への切替を考える場合は、不採択通知のスコアを一次資料に、事業計画書の論理構造と数値計画、対象経費の整合性、実施スケジュールを順番に作り直すのが基本です。
ものづくり補助金は第23次公募で終了しているため、設備投資や新サービス開発を続けるなら、後継制度や他の補助金を最新の公募状況で確認したうえで選び直す必要があります。自社のケースで何を直すべきか、どの補助金が相性がよいかを整理したい場合は、補助金支援の実務経験を持つ専門家への相談を検討してください。
後継制度「新事業・ものづくり補助金」とは
ものづくり補助金(新事業進出・ものづくり補助金)は第23次公募で終了しましたが、「新事業・ものづくり補助金」として後継制度が創設される方向で検討が進んでいます。現時点では公募開始時期や詳細要件は公式発表をご確認ください。
後継制度はものづくり補助金の内容や審査基準を引き継ぐ可能性が高く、本記事で解説した採択傾向・事業計画書の作り方はそのまま活用できます。新制度の公募開始に備える意味でも、本記事の内容はぜひ把握しておいてください。
新事業・ものづくり補助金は、ものづくり補助金の趣旨を引き継いだ制度となる見込みです。具体的な補助上限額・補助率・申請要件は公式情報が出次第確認が必要ですが、以下の点はものづくり補助金から継続される可能性が高いと考えられます。
- 「新製品・新サービス開発」を核とした事業計画の必要性
- 付加価値額・賃上げに関する数値要件の設定
- 機械装置・システム構築費を中心とした補助対象経費の構成
- 事業計画書による審査(書類審査+採点方式)
後継制度の公募開始に合わせて素早く動くためにも、自社の強み・投資目的・3〜5年の数値計画・賃上げ計画を今から整理しておくことが重要です。これらの準備はそのまま後継制度の事業計画書に転用できます。
Q. 不採択になった事業計画書は、後継制度や他補助金にそのまま使えますか?
事業計画書の骨組み(自社の強み・課題・投資内容・数値計画・実施体制)は流用できますが、補助金ごとに要件・対象経費・補助率・審査観点が異なるため、そのまま使い回すのは避けるべきです。新しい制度の公募要領を読み込み、要件に沿った形で書き直す必要があります。
Q. 同じ補助金に再申請するときの注意点は?
公募回ごとに採点項目や政策方針が変わることがあるため、前回と同じ事業計画書を出すのではなく、不採択通知の内容と最新の公募要領を踏まえて作り直すことが重要です。なお、ものづくり補助金は第23次で終了しているため、同制度への再申請という選択肢は前提として置けません。
まとめ
ものづくり補助金で不採択になりやすかったのは、革新性の説明が弱い、数値計画の根拠が薄い、経費構成が不自然、交付決定前に発注している、実施体制が説明不足、という5つのパターンです。再申請や他補助金への切替を考える場合は、不採択通知のスコアを一次資料に、事業計画書の論理構造と数値計画、対象経費の整合性、実施スケジュールを順番に作り直すのが基本です。
ものづくり補助金は第23次公募で終了しているため、設備投資や新サービス開発を続けるなら、後継制度や他の補助金を最新の公募状況で確認したうえで選び直す必要があります。自社のケースで何を直すべきか、どの補助金が相性がよいかを整理したい場合は、補助金支援の実務経験を持つ専門家への相談を検討してください。

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























