
信用金庫の進化:地域と企業の「知恵袋」へとシフトする動きとは
2025年7月13日付の日経電子版にて、「信金、地域と企業の知恵袋に」という記事が掲載されました。この記事では、信用金庫がこれまでの「融資中心の金融機関」から脱却し、地域経済の支援や企業のパートナーとしての役割を強めている現状が紹介されています。
筆者自身、信用金庫業界の出身として、数多くの中小企業や個人事業主の方々を支援してきました。現場での経験を踏まえると、信用金庫は今や「お金を貸す機関」から「地域の課題を共に解決する存在」へと確実に進化しています。特に、経営相談・事業承継・補助金情報の提供・SDGs推進など、従来の金融機能を超えた伴走支援が目立ちます。
しかし、外部の経営者や起業家の多くは、「信用金庫=融資先」という旧来のイメージを抱いたままで、こうした進化を知らないケースが少なくありません。実際には、信用金庫は地域企業にとって“知恵袋”としての価値を高めており、正しく理解し活用することで、事業成長の大きな味方となります。
本記事では、日経の記事内容を基に、信用金庫の役割の変化・背景・先進事例・活用のコツを徹底解説し、企業が今後どう付き合うべきかを明らかにします。
目次
信用金庫の従来の役割と現状
信用金庫は、戦後の地域経済の復興を目的に誕生し、「地域の発展」「相互扶助」「共存共栄」を理念として活動してきました。メガバンクや地方銀行に比べて全国規模ではないものの、地域とのつながりの深さは群を抜いています。
これまでの信用金庫の主な役割は次の通りです。
- ① 融資機能: 中小企業や個人事業主への運転資金・設備資金の提供
- ② 預金・金融サービス: 地域住民や企業の資産管理・運用のサポート
- ③ 経営支援: 経営相談、補助金案内、商工会との連携、専門家紹介など
従来は、個々の信用金庫が独自に地域支援やマッチング事業を展開してきました。しかし、単独での取組には限界があり、コロナ禍やSDGsの広がりを契機に、全国レベルで連携・共創する動きが活発化しています。
今や信用金庫は「資金の供給者」から「経営の伴走者」へと役割を広げ、企業の課題を総合的に支える存在となりつつあります。
信用金庫業界が変化した背景
信用金庫が「知恵袋」的役割へシフトしている背景には、いくつかの大きな社会的変化があります。
① コロナ禍による経営環境の激変
新型コロナウイルスの影響で、多くの中小企業が売上の急減・資金難に直面しました。この中で信用金庫は、緊急融資対応だけでなく、経営改善・業態転換のアドバイス、補助金活用支援など、従来以上に深い経営支援を行う必要に迫られました。単なる「融資」ではなく、「課題解決型の支援」が求められるようになったのです。
② SDGs・サステナブル経営への意識高まり
持続可能性を重視する社会において、企業には「環境・社会・ガバナンス(ESG)」への配慮が求められています。しかし、中小企業にとってSDGs導入はハードルが高く、リソースや知識が不足しています。そこで信用金庫が「SDGs支援のハブ」として専門家や自治体と連携し、経営計画への組み込みや補助金申請支援を行う動きが加速しました。
③ 地方の人口減少と産業構造の変化
少子高齢化や都市集中化により、地方経済は縮小傾向にあります。信用金庫は「地域経済の守り手」として、事業承継支援や地域資源活用型の新事業創出、異業種マッチングなど、地域活性の担い手としての責務を果たす方向に進化しています。
SDGsへの取り組みと先進事例
SDGsは「2030年までに持続可能な社会を実現する」という国際目標であり、全企業にとって避けて通れないテーマです。特に信用金庫は地域企業のSDGs導入を後押しする立場にあります。
代表的な支援事例は以下の通りです:
- 経営計画へのSDGs要素組み込みのアドバイス
- 環境配慮型設備投資への低金利融資
- 脱炭素経営に関する専門セミナーの開催
- ESG指標を活用した企業価値の可視化
城南信用金庫の先進事例
城南信用金庫は全国の信用金庫の中でもSDGs経営支援のリーダー的存在です。同金庫は「よい仕事おこしフェア」などを通じて、地域企業のマッチングや販路拡大を支援。また、再エネ投資・福祉事業・教育支援など社会的価値を高める分野にも積極的に関与しています。
こうした支援により、企業は単に社会貢献するだけでなく、補助金採択率向上・顧客からの信頼獲得・優秀人材の採用促進など、経営面での具体的メリットも得られます。
中小企業が信用金庫を活用するメリット
信用金庫を「資金調達先」ではなく「経営の伴走者」として活用することで、次のような価値を享受できます。
- ① 経営課題の可視化: 専門家とともに現状分析し、経営改善計画を策定できる
- ② 資金調達+経営支援: 融資だけでなく、補助金・助成金・ファンドなどの活用も提案
- ③ 信頼性の向上: 信用金庫との連携が企業信用力を高め、取引先からの評価アップにつながる
- ④ 地域ネットワーク活用: 他業種マッチング・販路開拓・人材紹介などの支援が受けられる
- ⑤ SDGs支援: 持続可能経営の導入により、長期的な成長基盤を構築できる
このように信用金庫は「お金を借りる場所」ではなく、「経営の相談相手」としての価値を持っています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 信用金庫と銀行の違いは何ですか?
A. 信用金庫は非営利の協同組織として地域発展を目的に活動しており、営利を追求する銀行とは異なります。会員(出資者)である地域企業・住民の利益を優先し、地元密着のきめ細かい支援が特徴です。
Q2. SDGs支援は誰でも受けられますか?
A. 多くの信用金庫で、取引関係がなくても無料相談が可能です。まずは最寄りの信用金庫に連絡し、現状や課題を共有することから始めましょう。
Q3. 融資以外の支援には何がありますか?
A. 経営相談、事業承継支援、補助金申請サポート、販路拡大支援、専門家紹介、ビジネスマッチングなど、多岐にわたります。信用金庫を「地域のプラットフォーム」として活用することで、経営全体を強化できます。
無料相談のお知らせ
弊社では、元信用金庫職員・元公庫支店長・税理士・中小企業診断士・社労士などの専門家が連携し、起業・経営・資金調達・SDGs導入をトータルサポートしています。
「どの信用金庫を選ぶべきか?」「SDGs経営をどう始めればよいか?」などの疑問にも丁寧に対応いたします。まずは無料相談にて、あなたの状況に合った最適な支援策をご提案します。
この記事のまとめ
- 信用金庫は融資中心から「地域の知恵袋」へ進化中
- SDGs・経営支援など非金融領域のサポートが拡大
- 城南信用金庫をはじめ先進事例が増加
- 中小企業は信用金庫を経営パートナーとして活用すべき
これからの信用金庫は、資金調達だけでなく、経営・人材・社会貢献を支えるパートナーです。地域との共創を通じて、持続可能な成長を実現しましょう。
【無料相談のご案内】
起業の手続きって何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!
この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。



























