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コラム

創業計画書 記入例 建設業の書き方|公庫書式テンプレート&ポイント解説

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創業計画書 記入例 建設業の書き方|公庫書式テンプレート&ポイント解説

建設業として独立・開業する際、日本政策金融公庫の創業融資を活用する方は少なくありません。一人親方として独立する大工・電気工事業者から、法人化して工務店を立ち上げる方まで、業態は幅広く存在します。

建設業の創業計画書には、ほかの業種にはない独特の論点があります。建設業許可の有無、元請・下請の関係、入金サイクルの長さ、職人の確保、工事ごとの粗利管理など、これらをきちんと整理した計画書になっているかが、融資審査の合否を左右します。

この記事では、日本政策金融公庫の創業計画書フォーマットに沿って、建設業の場合の具体的な記入例とポイントを項目別に解説します。これから建設業として開業して融資を申し込む方、再申請を検討している方の参考になれば幸いです。

なお、制度内容や書式は変更される可能性があるため、必ず日本政策金融公庫の最新公式情報も併せて確認してください。

建設業の創業計画書|他業種と違う特徴

建設業には、ほかの業種と比較して次のような特徴があります。

  • 建設業許可の有無で受注できる案件範囲が変わる(500万円未満は許可不要、それ以上は許可必須)
  • 元請・下請の取引関係により入金サイクルが長くなりがち(着工〜完了〜入金で2〜6か月)
  • 材料費・外注費・人件費が先行支出となり、運転資金の需要が大きい
  • 職人・協力会社の確保が事業継続のカギとなる
  • 工事1件ごとに粗利と工期管理が必要(プロジェクト型のビジネス)

これらの特性を理解した上で計画書を書くことで、審査担当者からの信頼度が格段に高まります。

日本政策金融公庫の創業計画書|9つの記入項目

公庫の創業計画書は、概ね次の項目で構成されています。本記事執筆時点の標準フォーマットを前提に解説しますが、最新の書式は公庫公式サイトでご確認ください。

  1. 創業の動機
  2. 経営者の略歴等
  3. 取扱商品・サービス
  4. 取引先・取引関係等
  5. 従業員
  6. お借入の状況
  7. 必要な資金と調達方法
  8. 事業の見通し(収支計画)
  9. 自由記述欄(参考事項)

順番に、建設業を想定した記入例とポイントを見ていきます。

項目1:創業の動機|建設業の記入例

記入例(内装工事業として独立する場合)

「内装工事会社で12年間現場職人として勤務し、うち5年間は現場代理人として工程管理・原価管理を担当してきました。前職時代に取引のあった工務店・ハウスメーカーから『独立したら継続発注したい』と複数社から声をかけられたこと、また下請から元請への転換にチャレンジしたいという思いから、独立を決意しました。一人親方として開業し、3年以内に職人を1〜2名雇用できる規模を目指して事業を立ち上げます。」

記入のポイント

  • 「なぜ独立か」「なぜいまのタイミングか」を、現場経験・取引先確約・規模拡大計画の3つで根拠づける
  • 建設業は経験と人脈が事業の生命線。具体的な取引先の見込みを必ず書く
  • 抽象的な動機(「人に喜んでもらいたい」など)だけでは弱い

項目2:経営者の略歴等|建設業の記入例

記入のポイント

建設業の場合、保有資格・現場経験・担当工事の規模感を必ず書きます。「○年勤務」だけでなく、担当現場の規模、工種、職人マネジメント経験を数字で書きます。

例:「20XX年4月〜20XX年3月 株式会社○○工務店 大工・現場代理人。新築戸建て・店舗内装の現場を年間20〜30件担当。1現場あたり工期1〜3か月、現場規模500〜2,000万円。職人3〜5名のシフト管理・原価管理を担当。」

保有資格:「二級建築士、内装仕上施工技能士1級、職長・安全衛生責任者教育修了」

建設業許可:「個人事業主として開業時は許可なし。500万円未満の工事を中心に受注。事業拡大に応じて建設業許可(内装仕上工事業)を取得予定。」

項目3:取扱商品・サービス|建設業の記入例

記入のポイント

取扱う工事種別、単価帯、粗利率を整理して書きます。複数の工事種別を扱う場合は、売上構成比とともに記入すると説得力が増します。

記入例:

  • 新築戸建ての内装工事(元請から下請受注):1案件80〜200万円 粗利率25% 売上構成比50%
  • 店舗内装リフォーム工事(直請):1案件150〜500万円 粗利率35% 売上構成比30%
  • マンション原状回復工事:1案件30〜80万円 粗利率30% 売上構成比20%

セールスポイント:「現場代理人経験を活かし、工期遅延ゼロの実績と、原価管理の精度の高さ(前職時代に粗利率を平均22%→28%へ改善)が強み。直請案件の比率を高めて元請ビジネスへ転換する計画」

項目4:取引先・取引関係等|建設業の記入例

記入のポイント

販売先(元請会社・直請の施主など)と仕入先(材料商社・専門工事会社など)を分けて記入します。建設業は入金サイクルが長いため、回収条件(出来高払い・完成時払いなど)を必ず書きます。

例:

販売先:「A工務店(新築内装、既存取引先、月締め翌々月末払い)/B建設(店舗内装、既存取引先、出来高40%着工時・残金完成時翌月末払い)/個人施主直接受注(月1〜2件、原則完成時即金)」

仕入先:「○○建材(建材全般、月末締め翌月末払い)/△△ホームセンター(小物・消耗品、その都度購入)/□□クロス(クロス材専門、月末締め翌月末払い)」

外注先:「電気工事△△設備(電気工事専門、案件ベース発注)/□□塗装店(塗装工事専門、案件ベース発注)」

項目5:従業員|建設業の記入例

開業時の人員構成と、繁忙期の体制を書きます。建設業は職人の確保が事業の柱なので、想定人員・外注体制を明確にします。

例:「事業主1名のみで開業(一人親方)。繁忙期は外注職人2〜3名を協力会社経由で確保(既存ネットワーク有)。事業拡大に応じて2年目以降に職人1〜2名の雇用を検討」

項目6:お借入の状況|建設業の記入例

個人の住宅ローン・自動車ローン・カードローン・教育ローンなど、すべて正確に申告します。記入漏れや虚偽は信用情報照会で必ず発覚するため絶対にしてはいけません。返済を遅延なく続けていれば、借入があっても致命的にはなりません。

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項目7:必要な資金と調達方法|建設業の記入例

建設業は、材料費・外注費・人件費が先行する立替型ビジネスで、運転資金の必要額が他業種より大きくなる傾向があります。

設備資金の記入例

  • 軽トラック・工具一式(中古車両150万円+電動工具30万円):180万円
  • 事務所兼倉庫の保証金・敷金(家賃の6か月分):72万円
  • 事務机・PC・プリンタ等備品:30万円
  • 合計:282万円

運転資金の記入例

  • 材料費の立替(3か月分):240万円
  • 外注費の立替(3か月分):150万円
  • 家賃・通信費・光熱費(3か月分):60万円
  • 燃料・車両維持費(3か月分):30万円
  • 事業主生活費補填(3か月分):90万円
  • 合計:570万円

調達方法

  • 自己資金:250万円
  • 日本政策金融公庫からの借入:650万円
  • 合計:900万円

建設業は入金サイクルが長く、材料費・外注費の立替負担が重いので、運転資金は他業種より多めに見積もるのが基本です。

項目8:事業の見通し(収支計画)|建設業の記入例

記入のポイント

「工事件数×平均単価×粗利率」で月商と粗利を組み立てます。月によって変動が大きいため、平均月の数字と繁忙期の数字を分けて書くと、より実態に近い計画書になります。

記入例(平均月の根拠):

  • 下請内装工事:1件120万円×月2件=240万円 粗利率25%=60万円
  • 直請リフォーム:1件250万円×月0.5件=125万円 粗利率35%=43万円
  • マンション原状回復:1件50万円×月1件=50万円 粗利率30%=15万円
  • 月商:約415万円 粗利合計:約118万円

経費面では、家賃12万円、車両維持費・燃料費10万円、通信費・光熱費5万円、減価償却・支払利息・税金等含めて約45〜55万円。月の事業所得は約65〜75万円の見込み。

軌道に乗るまでの3〜6か月は売上6〜7割からスタートし、入金サイクルが長いため運転資金がショートしない計画かを必ず確認します。

項目9:自由記述欄(参考事項)|建設業の記入例

ここで他の項目で書ききれなかった事業の強み・差別化要素・リスク対策を補足します。

記入例:

「既存取引先からの継続発注確約:A工務店・B建設の2社から、独立後も毎月2〜3件の発注確約を口頭で得ている(月商の50%以上に相当)。資格・許可の整備計画:開業1年以内に建設業許可(内装仕上工事業)の取得申請を行い、500万円以上の工事も受注できる体制を整える。リスク対策:受注変動に備え、マンション原状回復工事(小口・回転早い)の比率を売上の20%まで引き上げる計画。」

建設業の創業計画書|書く際の注意点

建設業許可の取扱いを明確にする

500万円未満の工事のみを行うのか、建設業許可を取得して大型案件も受注するのかで、事業計画が大きく変わります。許可取得の予定がある場合は、いつまでに・どの業種で取得するかを書きます。

入金サイクルを織り込んだ資金繰り計画

建設業は着工から完成・入金まで2〜6か月かかるため、月商と手元キャッシュが一致しません。資金繰り表(月次キャッシュフロー)を別途用意して、立替期間中に資金ショートしない計画になっているかを確認してください。

職人・協力会社のネットワークを書く

一人親方として開業しても、繁忙期は外注職人や協力会社が必要です。すでにネットワークがあるなら、人数・専門分野を具体的に書きましょう。職人確保の見通しが立っていない計画書は、審査でマイナス評価になりがちです。

原価管理の意識を伝える

建設業は「現場ごとの粗利管理」ができないと利益が残らない業種です。前職時代の原価率改善実績や、案件別の見積もり管理の手法など、原価管理に対する意識を伝えると審査担当者の評価が大きく上がります。

まとめ|建設業の創業計画書は許可・取引先・運転資金が鍵

建設業の創業計画書は、建設業許可の方針、既存取引先からの受注見込み、立替型ビジネスゆえの運転資金計画、この3つにどれだけ説得力を持たせられるかが審査の分かれ目です。

書式自体は決まっているため、各項目に何を書くか押さえれば、難易度はそれほど高くありません。重要なのは、現場経験を数字で語ること、入金サイクルを踏まえた資金繰りに納得感を持たせることです。

「自分の創業計画書で公庫の創業融資が通るか不安」「より説得力のある書き方を教えてほしい」といった疑問があれば、専門家への相談が近道です。融資・建設業特有の経営課題に精通した専門家チームが、最適な計画書ブラッシュアップをご提案します。

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弊社では、元日本政策金融公庫支店長の多胡や元信用金庫の法人営業の小峰を中心とした所属専門家チームが一丸となって、幅広い起業支援・経営支援を行っております。
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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

中野裕哲紹介画像

この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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