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コラム

飲食店の人手不足対策に使える補助金

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飲食店の人手不足を補助金で解決する前に知るべき失敗と落とし穴

「求人を出しても応募が来ない」「ランチのピークが2人で回らない」「ベテランが辞めてから現場が崩れた」。数年お店を続けてきた飲食店オーナーほど、人手不足の深刻さを肌で感じているはずです。そんなとき頼りになるのが、券売機や配膳ロボット、モバイルオーダーといった省力化設備の導入を後押しする補助金です。

ただ、補助金は「申請すれば必ず通る」ものでも「設備を入れれば必ず人手不足が解決する」ものでもありません。むしろ、制度の仕組みを知らずに動いて、交付決定前に発注して全額自腹になったり、後から返還を求められたりする失敗が後を絶ちません。この記事では、飲食店が補助金で人手不足対策を進めるときに、つまずきやすい落とし穴を失敗事例ベースで具体的に整理します。

なぜ「補助金で省力化」がうまくいかない店があるのか

補助金を紹介する記事の多くは「対象になる設備」と「補助上限額」までは丁寧に書いています。しかし実務で本当に差がつくのは、その先の「交付の条件」と「お金が戻ってくるタイミング」です。補助金は原則として、事業が終わってから経費を精算して支払われる後払い制度であり、しかも採択後に課される要件を数年にわたって守り続ける必要があります。ここを軽く見ると、せっかく採択されても費用対効果がマイナスになりかねません。

つまり、補助金活用の成否は「どの設備を選ぶか」よりも「制度のルールに合わせて段取りを組めるか」で決まります。まずは飲食店で使える代表的な制度を押さえたうえで、落とし穴を一つずつ見ていきましょう。

飲食店の人手不足対策に使える主な補助金

人手不足対策、とくに省力化・自動化の設備投資で本命となるのは、次の制度です。金額や要件は年度ごとに変わるため、申請前に必ず公式の最新公募要領で確認してください。

中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)

あらかじめ登録された省力化製品のカタログから設備を選んで申請する、最も手軽なタイプです。券売機・セルフレジ・自動精算機・配膳ロボット・清掃ロボットなど、飲食店の人手不足に直結する製品が並びます。補助上限は1,500万円規模で、公募回ごとの締切がなく投資タイミングに合わせて申請しやすいのが特徴です。一方で「人手不足の状態にある中小企業」であることが前提条件になっており、誰でも対象になるわけではない点に注意が必要です。

中小企業省力化投資補助金(一般型)

カタログにない設備や、自社の業務に合わせたオーダーメイドの省力化を進めたい場合の選択肢で、補助上限は1億円規模まで拡大します。自由度が高い分、賃上げなどの基本要件や効果報告の義務が重く、計画づくりの難易度も上がります。厨房の大規模な自動化など、投資額が大きい店向けの制度と考えるとよいでしょう。

小規模事業者持続化補助金・デジタル化・AI導入補助金

従業員が少ない小規模店なら、販路開拓とあわせて設備や店舗改装に使える小規模事業者持続化補助金(上限250万円規模)も候補です。また、POSレジやモバイルオーダー、予約管理といったソフト・システム面の効率化には、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)が向いています。手作業の注文・会計を減らすことは、人手不足対策として地味に効果が大きい領域です。

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つまずきやすい5つの落とし穴(失敗事例)

ここからが本題です。採択された店でも、次の落とし穴で「思ったより得をしなかった」「むしろ損をした」というケースが起きています。

落とし穴1:交付決定前に発注して全額自腹

最も多い失敗が、これです。補助金は事務局から「交付決定通知」が届いた後に契約・発注したものだけが対象になります。「採択されそうだから」と先に券売機を発注したり、見積りだけのつもりが契約扱いになっていたりすると、その設備は一切補助対象外になります。展示会で気に入ったロボットをその場で契約、というのは特に危険です。発注・契約・支払いはすべて交付決定後、が鉄則です。

落とし穴2:後払い・立替の資金繰り

補助金は原則として精算払い、つまり一度自社で全額を支払い、後から補助分が振り込まれます。1,000万円の設備で補助率2分の1でも、まず1,000万円を用意し、数百万円が戻るのは事業完了後です。手元資金が薄いまま動くと、入金前に資金繰りが詰まります。設備のリースが対象になる制度もあるため、現金一括が難しい場合は支払い方法も含めて検討しておくと安心です。

落とし穴3:賃上げ要件の未達で返還

省力化投資補助金(一般型)などでは、採択後に給与支給総額や事業場内最低賃金の引き上げが基本要件として課され、毎年の効果報告でチェックされます。これが未達だと、補助金の返還を求められることがあります。「省力化で人件費を浮かせたい」という当初の発想と、「賃上げを続ける」という要件は方向が逆に感じられるため、ここを理解せず申請すると後で苦しくなります。ただし、付加価値額が増えておらず営業赤字の場合や天災など、事業者の責任によらない事情があるときは返還を求めないといった例外も定められています。要件と例外の詳細は必ず最新の公募要領で確認してください。

落とし穴4:配膳ロボットを入れても現場が回らない

「ロボットを入れれば人手不足が解決する」と考えるのは早計です。配膳ロボットは料理を席まで運ぶだけで、皿を載せる・テーブルへ移すのは結局人の手が必要で、下げ膳まで完全自動化はできません。店内に段差があったり通路幅が狭かったりすると、そもそも走行できないこともあります。レイアウトやオペレーションの見直しが前提で、導入したのに使われず「結局スタッフが運んでいる」状態になると、稼働率が下がり費用対効果は悪化します。設備は「入れて終わり」ではなく「使いこなして初めて効果が出る」と捉えるべきです。

落とし穴5:「人手不足の状態」要件と対象経費の誤解

省力化投資補助金は「人手不足の状態にある中小企業」が対象で、その状況を申請で示す必要があります。また、補助の対象になるのは原則として登録製品や指定された経費に限られ、内装の大規模改修や運転資金、汎用的な備品などは対象外になりがちです。「これも一緒に補助でまかなえるはず」という思い込みは、対象外経費の自己負担という形で跳ね返ってきます。

採用・定着の「助成金」と設備の「補助金」は別物

人手不足対策は、設備による「省力化」と、人を採用し辞めさせない「定着」の両輪です。ここで混同しやすいのが、補助金と助成金の違いです。本記事で扱ってきた省力化の設備投資は、主に経済産業省系の「補助金」です。一方、賃上げや雇用環境の整備、人材の採用・定着を支援する仕組みには、厚生労働省が所管する「助成金」もありますが、要件や手続きは制度ごとに大きく異なります。雇用や労務に関わる助成金の活用可否や、就業規則・労働条件の整備といった具体的な手続きは専門性が高いため、詳細は社会保険労務士に確認するのが確実です。設備の補助金だけに目を向けず、働く環境づくりとセットで考えると、人手不足対策はぐっと前に進みます。

失敗しないための進め方

落とし穴を避けるための基本動作はシンプルです。第一に、最新の公募要領を一次情報として読み、対象者・対象経費・スケジュールを確認すること。第二に、発注・契約は必ず交付決定後に行うこと。第三に、補助分が戻るまでの立替を含めた資金計画を立てること。第四に、賃上げや効果報告などの採択後の義務まで見据えて、続けられる計画にすること。そして、設備を入れた後のオペレーション変更まで具体的に描いておくこと。これらを押さえるだけで、「採択されたのに損をした」というよくある失敗の大半は防げます。

まとめ

飲食店の人手不足対策には、中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型・一般型)をはじめ、小規模事業者持続化補助金やデジタル化・AI導入補助金など、活用できる制度が複数あります。ただし、補助金は「申請すれば必ず通る」ものでも「設備を入れれば必ず解決する」ものでもなく、交付決定前の発注NG、後払いの資金繰り、賃上げ要件の未達による返還、稼働率の低い設備投資といった落とし穴がつきものです。制度のルールを理解し、自店の状況とオペレーションに合った計画を立てることが、補助金を本当の戦力に変える近道です。数字や要件は変動するため、必ず公式の最新公募要領で確認しながら進めてください。

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弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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