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コラム

IT企業の創業融資で事業計画書に書く売上予測の作り方

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IT企業の創業融資を通す売上予測の立て方|事業計画書で示すべき根拠と書き方

IT企業やWeb系で起業し、日本政策金融公庫などから創業融資を受けたい——そのとき審査の成否を大きく左右するのが、事業計画書に書く「売上予測」です。IT業は在庫を持たず、人の動きで売上が決まるため、製造業や飲食業に比べて「数字の根拠」を示しにくいという特有の難しさがあります。

この記事では、IT企業・Web制作・受託開発・SaaSなどの起業を想定し、創業融資の審査を通すための売上予測の立て方を、初めて事業計画書を書く方にもわかりやすく解説します。「どんぶり勘定に見えない」「実現できそうだと思ってもらえる」数字の作り方を押さえていきましょう。

なぜ創業融資で売上予測が重視されるのか

融資の審査では、「貸したお金がきちんと返ってくるか」が最大の関心事です。返済の原資になるのは事業の利益であり、その利益のもとになるのが売上です。つまり売上予測は、返済能力を示す出発点になります。

とくに創業時は過去の実績がないため、審査担当者は事業計画書の数字とその根拠から将来性を判断します。ここで売上予測が「ただの願望」に見えてしまうと、計画全体の信頼性が下がってしまいます。逆に、根拠のある現実的な数字を示せれば、それだけで他の創業者と差がつきます。

IT業の売上予測が難しい3つの理由

IT・Web系の事業には、売上予測を立てるうえで特有の難しさがあります。

  • 在庫や設備が少なく「目に見える根拠」が乏しい:飲食店の席数のように、規模から売上の上限を説明しづらい
  • 売上が人の稼働に依存する:受託開発やWeb制作は、自分や社員が何時間働けるかで売上の天井が決まる
  • 収益モデルによって伸び方が違う:受託型は受注ごと、SaaSなどのストック型は契約の積み上げで、増え方がまったく異なる

だからこそ、自社の収益モデルに合った「積み上げ方」で売上を組み立てることが重要になります。

売上予測の基本は「積み上げ方式」

創業融資の事業計画書では、「なんとなく月100万円」ではなく、要素を分解して積み上げる方法が説得力を持ちます。IT業でよく使うのは次の考え方です。

受託開発・Web制作などのフロー型

基本は「単価 × 件数」で考えます。さらに、自分や社員の稼働時間という上限を意識して現実性を担保します。

  • 1件あたりの平均単価(例:Web制作1サイト◯◯万円)
  • 月に対応できる件数(稼働時間 ÷ 1件あたりの作業時間)
  • 立ち上げ期は受注が少なく、徐々に増えるカーブを描く

「フル稼働で月◯件が上限。初月はその3割程度から始まり、半年かけて◯割まで埋まる」というように、稼働率の立ち上がりを織り込むと現実的な数字になります。

SaaS・月額サービスなどのストック型

月額課金のサービスは「契約社数(ID数) × 月額単価」で、契約が積み上がっていくモデルで考えます。

  • 毎月の新規獲得数
  • 解約率(チャーン)を差し引いた純増
  • 月を追うごとに積み上がる継続課金

ストック型は初期の売上は小さくても、継続課金が積み上がる形を示せると、将来の返済原資の見通しを説明しやすくなります。

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V-Spiritsでは年間1,000件以上の融資などの資金調達支援や起業・経営支援を行っております。専門チームが伴走支援を行います。

数字を裏づける「根拠資料」をそろえる

売上予測は、数字そのものより「なぜその数字になるのか」が問われます。IT業で根拠として有効なものを挙げます。

  • 受注見込み・商談中の案件リスト:すでに引き合いや内定している案件があれば最強の根拠になる
  • 前職での実績・取引先:独立前の経験や、続けて発注してくれそうな関係先
  • 単価の相場資料:自分の単価設定が市場とかけ離れていないことを示す
  • 見込み客リストや問い合わせ実績:集客の見通しを補強する

とくに「すでに受注が決まっている・見込みがある」という事実は、創業融資の審査で非常に強い材料になります。口約束でも構わないので、商談の状況は具体的に書きましょう。

日本政策金融公庫が見ているポイント

審査担当者は、売上予測について次のような視点でチェックしています。

  • 実現可能性:稼働時間や集客力から見て、無理のない数字か
  • 保守性:楽観的すぎず、むしろ控えめに見積もっているか
  • 経験との一致:その業界・職種の経験があり、計画に説得力があるか
  • 返済との整合:予測した利益で、借入の返済がきちんと回るか

ポイントは、売上を大きく見せることではありません。「控えめな売上でも返済できる」と示せるほうが、はるかに評価されます。背伸びした数字は、かえって信頼を損ないます。

やりがちな失敗例

  • 初月から満額の売上:立ち上げ期の集客の難しさを無視している
  • 根拠のない右肩上がり:「毎月10%成長」など、理由のない伸びは疑われる
  • 稼働の上限を超える受注数:1人で月100件など、物理的に不可能な数字
  • 経費・人件費の見積もりが甘い:売上だけ立派でも、利益が残らなければ返済できない

売上予測は、経費や利益、返済計画と一体で整合していることが大切です。売上の欄だけ立派でも、資金繰り表で破綻していれば意味がありません。

よくある質問(FAQ)

Q. 受注実績がまだない状態でも創業融資は受けられますか?

実績がなくても、前職の経験・商談の見込み・自己資金などで返済の見通しを示せれば可能性はあります。ゼロから始める場合は、なおさら根拠の積み上げと控えめな計画が重要になります。

Q. 売上予測は何か月分つくればよいですか?

創業計画書では当面の数字に加え、軌道に乗った後の月次の見通しを求められるのが一般的です。立ち上げから安定期までの変化が分かるように作ると説得力が増します。

Q. 数字を大きく見せたほうが融資は通りやすいですか?

逆効果になりがちです。過大な売上予測は「実現性が低い」「返済が滞るリスクが高い」と見なされます。控えめでも返済できる計画のほうが信頼されます。

まとめ

IT企業の創業融資では、売上予測の「根拠」が審査の鍵を握ります。在庫や設備が少ないIT業だからこそ、収益モデルに合わせて「単価×件数」や「契約の積み上げ」で要素分解し、稼働時間という上限や立ち上がりのカーブを織り込んだ、現実的な数字を組み立てましょう。そして、受注見込みや前職の実績といった裏づけをそろえることが大切です。

とはいえ、初めての事業計画書づくりは不安が多いもの。「この数字で通るのか」「根拠の示し方が分からない」というときは、融資支援の実績が豊富な専門家に早めに相談することで、計画の精度と通過率を大きく高められます。一人で抱え込まず、伴走してくれるプロを上手に活用してください。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

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