
整骨院開業の自己資金はいくら必要?目安と公庫の創業融資で見られるポイント
整骨院・整体院の開業を考えるとき、多くの方が最初に悩むのが「自己資金はいくら用意すればよいのか」という点です。創業融資を使えば開業資金の多くを借入でまかなえますが、自己資金がまったくない状態では審査のハードルが上がります。本記事では、整骨院開業に必要な自己資金の目安と、日本政策金融公庫の創業融資で重視されるポイントを、これから開業する方向けにわかりやすく解説します。なお、融資制度や金利は変わりやすいため、本記事は執筆時点(2026年6月)の情報です。最新の条件は日本政策金融公庫の公式情報でご確認ください。
整骨院開業にかかる費用の内訳
自己資金を考える前に、まず開業に必要な総額をつかんでおきましょう。整骨院の開業では、主に次のような費用がかかります。
- 物件取得費(保証金・敷金・礼金・仲介手数料・前家賃など)
- 内装・設備工事費(施術スペース・受付・待合の造作)
- 施術ベッド・電気療法機器・ウォーターベッドなどの機器
- 看板・ホームページ・チラシなどの広告宣伝費
- 開業後しばらくの運転資金(家賃・人件費・自分の生活費)
立地や規模によって幅はありますが、整骨院の開業資金は数百万円から1,000万円超になることも珍しくありません。とくに見落としやすいのが、患者が定着するまでの運転資金です。開業直後から黒字になるとは限らないため、数か月分の固定費を別途見込んでおく必要があります。
整骨院開業の自己資金はいくら必要か
かつての「新創業融資制度」では自己資金要件が設けられていましたが、2024年3月に同制度が廃止され、現在の主力は日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。現行制度では一律の自己資金割合が必ずしも明示されているわけではありませんが、実務上は、開業に必要な資金の2〜3割程度を自己資金として用意できると、計画の説得力が高まり審査でも評価されやすくなります。
たとえば開業に900万円かかる計画であれば、200万〜300万円程度を自己資金として準備できると安心感があります。自己資金が多いほど借入額を抑えられ、返済負担も軽くなります。逆に自己資金がほとんどない状態での申し込みは、「計画性に乏しい」と見られやすく、審査で不利になりがちです。
みなし自己資金になる支出を整理する
創業前に自費で取得した資格・設備や備品の購入・テストマーケティング費用などは、「みなし自己資金」として一定範囲で評価されることがあります。領収書を必ず保管しておきましょう。
整骨院の場合、開業前に購入した施術機器や備品、研修・セミナー費用などが該当する可能性があります。通帳に残っている預金だけが自己資金ではない、という視点を持っておくとよいでしょう。
公庫の創業融資で見られるポイント
日本政策金融公庫の創業融資は、事業の実績がなくても、事業計画書と自己資金をもとに審査されます。整骨院開業で押さえておきたいポイントは次のとおりです。
自己資金は「見える化」しておく
自己資金は、申請時点で口座に確認できる形にしておくのが原則です。複数口座に分かれている場合は申請用のメイン口座に集約し、通帳ですぐ説明できる状態にしておくと審査がスムーズです。毎月コツコツ貯めてきた履歴が通帳に残っていると、計画性の裏づけとして評価されます。
事業計画書で資金使途を正しく組む
事業の実績がない創業時は、事業計画書の説得力がそのまま審査結果に直結します。とくに資金使途では、店舗にかかる費用のうち、敷金・礼金・仲介手数料は資金使途に含めません。保証会社費用も同様です。ビジネスにおいて敷金・礼金は一般的に資金使途として扱わないためです。整骨院では、施術ベッドや電療機器など事業に直接必要な設備を中心に資金使途を組み立てましょう。
制度の概要(限度額・金利・据置)
「新規開業・スタートアップ支援資金」の融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)です。税務申告2期を迎えていない企業が利用する場合は0.65%(雇用拡大を図る場合は0.9%)の金利引下げが適用される可能性があります。元金返済の据置期間は5年以内で設定でき、据置中は利息のみの支払いとなるため、患者が定着するまでの初期の資金繰りに余裕を持たせられます。
よくある質問
Q. 自己資金ゼロでも整骨院の創業融資は受けられますか
絶対に受けられないわけではありませんが、自己資金が極端に少ないと計画性の面で不利になりやすく、希望額の満額が出にくくなる傾向があります。可能な範囲で自己資金を準備し、みなし自己資金も含めて整理しておくことをおすすめします。
Q. 申請から融資実行までどのくらいかかりますか
書類提出後、おおむね3週間から1か月程度が目安です。創業計画書や見積書などの準備期間を含めると、合計で2か月程度を見ておくと安全です。物件契約や内装工事のスケジュールと逆算して、早めに動き出しましょう。
まとめ
整骨院開業の自己資金は、明確な決まりがあるわけではないものの、開業に必要な資金の2〜3割程度を一つの目安とすると、計画の説得力が高まります。みなし自己資金も含めて準備状況を整理し、通帳で説明できる形にしておくことが大切です。日本政策金融公庫の創業融資は無担保・無保証人での借入も可能で、据置期間を使えば開業初期の資金繰りにも配慮できます。自己資金の準備や事業計画書の作り込みに不安がある場合は、早めに専門家へ相談することで、申請をスムーズに進めやすくなります。
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この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
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- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。



























