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コラム

飲食店の独立に必要な経営知識とは?料理人が開業前に押さえる4つの数字【元信用金庫担当者が回答】

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料理人が飲食店を独立開業する前に身につけたい経営の数字と知識

料理人として独立を考え始めた方から、こんなご相談をよくいただきます。

💬 料理人の方からのご相談

料理には自信があり、お客様に出したいメニューのイメージもあります。ただ、原価計算は現場で多少やってきた程度で、人件費や家賃、税金、借入返済まで含めた経営は経験がありません。料理人としての腕があっても、数字が苦手だと独立は難しいでしょうか?開業前に最低限どこまで分かっておく必要がありますか?

小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

小峰からの回答

結論から言うと、数字が得意でなくても独立を目指すことはできます。ただし、数字を見ないで済ませることはできません。開業前に必要なのは会計の専門知識ではなく、自分のお店のお金の流れを、自分の言葉で説明できる状態です。

私は信用金庫で法人営業として、融資を出す側にいました。金融機関側から見ると、気になるのは料理の腕そのものよりも、その腕がお店の数字にどう結びついているかが計画書から伝わるかどうかでした。腕がある方ほど、この部分を後回しにしがちです。逆に言えば、ここを押さえれば、料理人としての経験がそのまま計画の説得力になります。

料理の経験は、経営の土台になります

まず、現場で原価計算をしてきた経験は、決して小さくありません。日本政策金融公庫の創業計画書には、同じ業種での勤務経験や勤務年数、役職を書く欄があります。厨房で積み上げてきた年数や、任されてきた役割は、そのまま書ける材料です。

また、メニュー単位で原価を見てきた感覚は、店全体の数字を考えるときの出発点になります。足りないのは才能ではなく、視点を「一皿」から「一か月のお店全体」へ広げる作業です。

開業前に押さえたい四つの数字

最低限どこまで分かっておくべきか、という点については、次の四つを目安にしてください。

  • 原価と粗利:一皿ごとの原価ではなく、店全体の食材費が売上のどれくらいを占めるかを見ます。
  • 固定費:家賃、人件費、光熱費、借入がある場合の返済など、お客様が来なくても毎月出ていくお金です。
  • 損益分岐点:固定費をまかなうために、最低でも毎月いくらの売上が必要かという線です。
  • 資金繰り:利益とは別に、手元の現金が足りているかという見方です。

この四つは、どれも電卓と表計算ソフトがあれば扱える内容です。難しい財務用語を覚えるより、自分のお店に当てはめて数字を置いてみる方が、理解は早く進みます。特に固定費は、開業後に自分の意思では動かしにくい部分ですので、物件や人員の規模を決める段階で、慎重に見ておく必要があります。

損益分岐点は、固定費から逆算して考えます

損益分岐点は、難しい計算ではありません。毎月の固定費を、売上から食材費などの変動費を引いた粗利の割合で割ると、必要な月商の目安が出ます。たとえば固定費が重いお店は、その分だけ毎月の必要売上が高くなります。

ここで大事なのは、その必要売上が現実的かどうかを、席数や営業日数、客単価から確かめることです。席数と回転数、客単価を掛け合わせて一日の売上を見積もり、営業日数を掛けます。その数字が損益分岐点を大きく下回るなら、家賃の水準やメニュー構成、人員の配置を見直すことになります。開業前にこの見直しができるのが、シミュレーションの一番の価値です。

黒字でも、現金が足りなくなることがあります

料理人の方が特につまずきやすいのが、資金繰りです。仕入れや家賃、人件費の支払いは開業直後から始まりますが、お客様が定着するまでは売上が読みにくい時期が続きます。帳簿の上で利益が出ていても、手元の現金が先に尽きてしまうことがあります。

借入の返済も同じです。返済は利益の中から払うものではなく、毎月、手元の現金から出ていきます。ですから、返済が始まる時期と金額を、月ごとの現金の出入りの表に組み込んでおく必要があります。人件費は運転資金の対象になりますので、スタッフを雇う予定があるなら、雇う時期と人数を計画に入れて、開業後しばらくの運転資金を見込んでおくと安心です。

税金については、全体像をつかむところまでで足ります

税金まで含めた経営に不安を感じる方は多いですが、開業前の段階では、どんな税金が、どのタイミングで発生するのかという全体像をつかんでおけば十分です。具体的な計算や申告の方法は、税理士に相談する分野です。無理に自分で抱え込まず、専門家に任せる部分と、自分で判断する部分を分けて考えてください。

任せられない部分は、売上、食材費、人件費、家賃のバランスをどう組むかという判断です。これは経営者自身が決めるところで、料理人としての経験が生きる領域でもあります。

融資の場面でも、数字の説明力が見られます

創業時に融資を申し込む場合、審査では、業務経験、自己資金、事業計画の具体性、資金使途と調達額の整合、信用情報などをもとに判断されます。ここで数字の話がつながってくるのが、事業計画の具体性と、資金使途と調達額の整合です。

売上、原価、人件費のそれぞれに根拠があり、返済の原資をどこから出すのかが説明できているか。借りたい金額と、設備や運転資金の使い道が食い違っていないか。面談では、こうした点を自分の言葉で話せることが大切になります。信用金庫で融資を担当していたころも、数字の細かさより、根拠を持って説明できているかどうかが印象に残りました。なお、制度の内容や運用は変わることがありますので、申込の前には、必ず申込先で最新の情報をご確認ください。

数字が苦手な方の、現実的な進め方

数字に苦手意識がある方には、次の順番をおすすめしています。

  • 勤務先での実感を、月ごとの数字に置き換えてみる(一日の客数、客単価、食材費、人件費のおおよその感覚を書き出す)
  • 自分のお店の売上を、良い場合、普通の場合、思いしくない場合の三通りで見積もる
  • それぞれの場合に、毎月の手元の現金がどう動くかを一枚の表にまとめる
  • 表を見ながら、家賃の水準や人員配置、メニュー構成を調整する

この作業を一度やっておくと、開業後に数字が動いたときも、何が原因かを自分で追えるようになります。最初から完璧な表は要りません。粗い表を作り、直しながら精度を上げていく方が、実務では役に立ちます。

まとめ

料理の腕がある方が経営で苦労するのは、数字が苦手だからではなく、数字の見方を教わる機会がなかったからだと、私は見ています。損益分岐点、固定費、資金繰りの三つを、自分の言葉で説明できるようになれば、開業前の準備としては大きな一歩です。

数字の組み立て方に不安がある方には、開業前の資金計画や事業計画を専門家と一緒に作り込み、開業後の月々の売上や支出を事前にシミュレーションしながら、数字の見方まで相談できる窓口があります。まずは今のお考えをお伝えいただき、ご自身の店の数字を一緒に整理するところから始めてみてください。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

多胡藤夫

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

中野裕哲紹介画像


中野裕哲

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】

税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1,000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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