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コラム

創業融資 返済シミュレーション|毎月の返済額を簡単に計算する方法

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創業融資を申し込む前に、必ずやっておきたいのが「返済シミュレーション」です。「いくら借りると、月いくら返すことになるのか」「自分の事業計画で本当に返せるのか」を、数字で確認しておかないと資金繰りで苦しむ原因になります。

本記事では、創業融資の返済シミュレーションを実務的に行う方法を整理します。日本政策金融公庫公式のシミュレーターの使い方、エクセルでの計算式、複数パターン試算の手順までを実例つきで解説します。

返済シミュレーションが必要な理由

「いくら借りるか」を決めるとき、希望融資額・希望期間・希望金利を組み合わせて、月額返済額と総返済額がいくらになるかを試算しておく必要があります。理由は次のとおりです。

  • 月額返済額の感覚を持たないと借入額を決められない:1,000万円借りても、月いくら返すかが感覚として分からないと、必要額の判断ができない
  • 事業計画の資金繰り表に反映するため:月額返済額を月次収支に組み込まないと、月末キャッシュが回るかが見えない
  • 金融機関の面談で答えられるようにするため:「月いくらの返済か」「総額いくら払うことになるか」は面談で聞かれる定番質問
  • 複数の返済期間・金利パターンを比較するため:返済期間5年・7年・10年の月額がどう違うかを把握して、最適なバランスを選ぶ

方法1:日本政策金融公庫の公式シミュレーター

公庫公式サイトには「事業資金用 返済シミュレーション」が用意されています。インターネット上で無料で使えて、ログイン不要です。

入力項目

  • 融資希望額:希望する借入額(円)
  • 利率:年利(%)。公庫公式の「金利情報」ページで最新利率を確認して入力
  • 融資期間:返済年数(うち据置期間も別途指定)
  • 据置期間:元金返済を猶予する期間
  • 返済方法:元金均等返済または元利均等返済

表示される結果

  • 初回返済額
  • 2回目以降の返済額(元金均等の場合は減っていく)
  • 総返済額
  • 総利息額

公庫の事業資金融資は元金均等返済が一般的です。元金均等を選んだ場合、初回の返済額が最も大きく、徐々に減っていきます。

方法2:エクセルで自作する

エクセル(または Google スプレッドシート)で、自分で計算式を組むこともできます。月別の収支計画と一体で管理したい場合に便利です。

元利均等返済の月額計算式

エクセル関数では「PMT」を使います。書式は次のとおり。

=PMT(月利, 返済回数, 元金)

例:1,000万円・年利3%・10年返済の場合
=PMT(3%/12, 10*12, 10000000) → 約-96,561円(月額返済額)

マイナス値で出るのは「支出」を表すためで、絶対値が月額返済額になります。

元金均等返済の月額計算式

元金均等の場合、毎回の元金は一定で、残元金に対する利息が乗ります。エクセルではPPMT(元金部分)とIPMT(利息部分)を組み合わせて月別の返済額を出します。あるいは次の式で月別の返済額を計算できます。

  • 毎月の元金返済額 = 元金 ÷ 返済回数
  • 毎月の利息額 = 残元金 × 月利
  • 毎月の返済額 = 元金返済額 + 利息額

初月の返済額が最大で、月を追うごとに利息分が減っていく形になります。

方法3:オンラインシミュレーター

公庫以外にも、各金融機関・専門家サイト・税理士事務所などがオンラインの返済シミュレーターを公開しています。基本的な入力項目は同じです。複数のサイトで試算して結果が整合しているかを確認するのも、計算ミスを防ぐ方法です。

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複数パターン試算の進め方

1パターンだけ試算しても、判断材料としては足りません。次の3〜5パターンを試算して、自社の事業計画に最も合う条件を見極めます。

パターン1:標準パターン

  • 希望融資額(事業計画から逆算)
  • 希望返済期間(資金使途の耐用年数に近い長さ)
  • 現在の基準利率
  • 据置期間6ヶ月程度

パターン2:楽観パターン(特別利率適用)

  • 同じ融資額・期間
  • 特別利率A(自社が該当する場合)
  • 同じ据置期間

パターン3:悲観パターン(金利上昇)

  • 同じ融資額・期間
  • 現在金利+1%(金利上昇シナリオ)
  • 同じ据置期間

パターン4:短期返済パターン

  • 同じ融資額
  • 返済期間を5年に短縮
  • 同じ金利・据置期間

パターン5:長期返済パターン

  • 同じ融資額
  • 返済期間を15年に延長
  • 同じ金利・据置期間

1,000万円借入の試算例(イメージ)

金利3.0%・元金均等返済の場合のおおよその目安。

  • 5年返済・据置なし:初月返済額約19.2万円、総利息約76万円
  • 7年返済・据置6ヶ月:初月返済額約14.4万円、総利息約108万円
  • 10年返済・据置6ヶ月:初月返済額約10.8万円、総利息約153万円
  • 15年返済・据置12ヶ月:初月返済額約8.0万円、総利息約230万円

長期返済ほど月額負担は軽くなりますが、総利息は大きく膨らみます。創業期は月額の軽さを優先することが多いものの、業績が安定したら繰り上げ返済する戦略も視野に入れます。

返済シミュレーションを資金繰り表に反映する

月額返済額を試算したら、月別の収支計画・資金繰り表に反映します。具体的には次の項目を追加します。

  • 毎月の元金返済:キャッシュアウト
  • 毎月の利息支払:キャッシュアウト+損益計算書の支払利息
  • 据置期間中の利息のみ:据置期間は利息のみ計上
  • 据置明けの返済開始:据置が終わるタイミングで元金返済を開始

これらを月別シートに反映すると、「いつ・どれだけのキャッシュアウトが発生するか」が見えます。月末キャッシュ残高が常にプラスになっているか、最低水準(例えば月商の1ヶ月分)を下回らないかを確認します。

返済シミュレーションでつまずきやすいポイント

  • 金利の入力単位を間違える:年利を入れるべき欄に月利を入れる、または逆。シミュレーターによって単位が違うため確認する
  • 据置期間中の利息を見落とす:「据置期間=完全に支払いゼロ」と誤解。実際は据置中も利息は発生する
  • 元金均等と元利均等を混同する:シミュレーターによってデフォルト方式が違う。事業融資は元金均等が一般的
  • 変動金利を固定として試算してしまう:変動金利の融資なら、将来の上昇シナリオも試算する
  • 1パターンだけで判断する:複数パターン比較で初めて、自社にとっての最適条件が見える

よくある質問

Q. 公庫の返済シミュレーターはどこにありますか?

公庫公式サイトの「事業資金用 返済シミュレーション」ページにあります。トップページから「お借入のシミュレーション」「返済シミュレーション」などのリンクで辿れます。ログイン不要・無料で使えます。

Q. シミュレーション結果と実際の返済額がズレることはありますか?

シミュレーションは概算ベースのため、実際の融資条件・端数処理で多少のズレが出ることがあります。最終的な月額返済額は、融資契約時の返済予定表で確定します。

Q. 据置期間ありとなしではどちらが得ですか?

「得」かどうかは事業計画次第です。創業初期に売上が立ちにくい計画なら、据置ありのほうが資金繰りが安定します。一方、据置中も利息は発生するため、総利息は据置ありのほうが大きくなる傾向です。

Q. 金利が変動した場合、シミュレーションの結果も変わりますか?

はい。公庫の事業融資は契約時の金利で固定されるケースが多いですが、変動金利型のメニューもあります。変動金利の場合、市場金利の変動に応じて適用利率が見直され、月額返済額が変わります。シミュレーションでは「金利上昇1%」「同2%」のストレステストを試算しておくと安全です。

まとめ

創業融資の返済シミュレーションは、申込前の必須プロセスです。重要なのは次の3点です。

  • 公庫公式シミュレーターまたはエクセルで月額返済額・総利息を試算する
  • 標準・楽観・悲観・短期・長期の複数パターンで試算し比較する
  • 試算結果を月別資金繰り表に反映し、月末キャッシュが回るか確認する

「返済シミュレーションの結果をどう資金繰り計画に反映すべきか」「自社の事業計画で無理のない返済条件は何か」と迷う場合は、一度専門家に相談すると、計画と試算結果を整合させやすくなります。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

中野裕哲紹介画像

この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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