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コラム

ものづくり補助金で口腔内スキャナーは対象になる?

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口腔内スキャナー導入にものづくり補助金は使えるか|歯科医院が対象になる条件と申請の落とし穴

口腔内スキャナーの導入を検討している歯科医院から、「ものづくり補助金は使えるのか」という相談が増えています。高額な設備だからこそ補助金で負担を抑えたいところですが、結論からいうと、使える補助金は「どの法人格か」「新しいサービスや事業のためか、それとも既存事業の省力化のためか」によって変わります。さらに、よく知られた「ものづくり補助金」は2026年に終了し、現在は名称も中身も変わっています。この記事では、数年経営している歯科医院がデジタル診療や自費メニューの強化を考える前提で、口腔内スキャナーに使える補助金の種類と対象になる条件、申請でつまずきやすいポイントを整理します。なお制度内容や補助上限は執筆時点(2025〜2026年)の情報であり、申請時は必ず公式の公募要領を確認してください。

結論:法人格と「新規事業か既存事業か」で使える補助金が変わる

口腔内スキャナーは、印象採得(型取り)をデジタル化し、患者の負担軽減や精度向上につながる設備です。同じ機器を入れる場合でも、目的が「新しいサービスの開発」なのか「既存業務の省力化」なのか、そして開設主体が医療法人なのか個人事業主なのかによって、検討すべき補助金が分かれます。

大きく整理すると、新しい製品・サービスの開発をともなうなら「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」、既存業務の省力化や人手不足の解消が主目的なら「中小企業省力化投資補助金(一般型)」が候補になります。前者は医療法人が対象外である一方、後者は歯科医業を営む医療法人も対象になるなど、対象者の範囲も異なります。まずはこの違いを押さえることが、補助金選びの出発点です。

まず押さえる:ものづくり補助金は終了し「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」になった

歯科医院がよく耳にする「ものづくり補助金」は、2026年度(令和8年度)に「新事業進出補助金」と統合され、正式名称は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」に変わりました。従来のものづくり補助金は終了しており、現在この名前で新たに公募されることはありません。口腔内スキャナーのような機械装置への投資を補助金で検討する場合は、この後継制度を前提に考える必要があります。

後継制度には複数の枠があり、機械装置やシステム投資をともなう新製品・新サービスの開発には「革新的新製品・サービス枠」、これまでと異なる事業領域へ本格的に進出する場合には「新事業進出枠」が用意されています。いずれも「既存業務の効率化そのもの」ではなく「新しい取り組み」を支援する性格の制度です。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金:医療法人は対象外、診療報酬の事業でも新規性があれば検討できる

「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠」は、新しい製品・サービスの開発に必要な機械装置やシステム投資を支援する制度です。補助上限は従業員規模によって異なり、革新的新製品・サービス枠の場合、従業員5人以下で750万円、6〜20人で1,000万円、21〜50人で1,500万円、51人以上で2,500万円が目安です。大幅な賃上げに取り組む特例を適用すると最大3,500万円まで広がりますが、これは最も大きな従業員規模で特例を適用したときの最大値であり、すべての医院が無条件にこの金額を受け取れるわけではありません。

対象者の面で注意したいのは、この補助金では医療法人が対象外である点です。一方で、公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬を得ている事業であること自体は、対象から外す直接の理由にはなりません。つまり、個人事業主として開業している歯科医院などが、口腔内スキャナーを中核に新しい自費サービスや新規事業を立ち上げる計画であれば、対象として検討できる余地があります。「何の設備を買うか」ではなく「その設備で何の新しいサービスを生み出すか」が判断の分かれ目です。逆に、医療法人が運営している場合や、既存の診療を少し便利にするだけの設備更新では、この制度は使いにくくなります。

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省力化が目的なら:中小企業省力化投資補助金(一般型)は歯科の医療法人も対象

「新しいサービスというより、まずは受付や会計、診療にかかる手間を減らしたい」という場合は、「中小企業省力化投資補助金(一般型)」のように、省力化・人手不足の解消を主目的とする制度のほうが計画になじみます。この制度は、人手不足の解消に向けて、オーダーメイド性のある設備の導入などを行う事業計画を対象とするものです。

歯科医院にとって重要なのは、対象者の範囲です。中小企業省力化投資補助金(一般型)では、公募回の改定により、歯科医業を営む医療法人も補助対象に追加されました(従業員300人以下などの要件があります)。あわせて、以前は対象外とされていた、公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬と重複する事業についても、対象として扱える方向に整理されています。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金では対象外だった医療法人でも、こちらでは歯科医業であれば検討できる、という違いがあります。補助上限は従業員規模によって異なり、大幅な賃上げ特例の適用時には最大1億円規模まで設定されています。

ただし、対象になるのはオーダーメイド性のある設備や、複数の機器を組み合わせて高い省力化効果を生む場合などで、汎用設備を単体で導入するだけでは対象になりません。医療法人の扱いや診療報酬まわりの規定は公募回によって変わってきた経緯があるため、申請前には必ず最新の公募要領とFAQで「補助対象者」と「補助対象外となる事業」の両方を確認してください。

口腔内スキャナーが対象になりやすいケース・なりにくいケース

同じ口腔内スキャナーの導入でも、計画の立て方によって対象になりやすさが変わります。判断の目安を整理します。

対象として検討しやすいケース

  • 口腔内スキャナーを中核に、これまで院内で提供していなかった新しい自費サービスを立ち上げる計画になっている(新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の方向)
  • 受付・会計・診療の工程を省力化し、人手不足の解消につながるオーダーメイド設備として位置づけられている(中小企業省力化投資補助金(一般型)の方向)
  • その取り組みによって、どの患者層にどんな価値を届けるか、または何の業務をどれだけ減らせるかが事業計画で具体的に説明できる

対象になりにくいケース

  • 既存の診療を少し便利にするためだけの設備更新になっている
  • すでに広く普及している使い方にとどまり、新規性も省力化効果も説明しにくい
  • 汎用設備を単体で導入するだけで、組み合わせによる効果が見えない

新規事業か既存事業かで制度を選ぶ

ここまでを踏まえると、制度選びの軸は「新規事業か既存事業か」と「法人格」の2つです。これまでの歯科診療とは異なる新しいサービスや事業領域へ進出するなら、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(革新的新製品・サービス枠または新事業進出枠)が候補です。既存業務の省力化や人手不足の解消が主目的なら、中小企業省力化投資補助金(一般型)が候補になります。

あわせて、医療法人か個人事業主かによっても選択肢が変わります。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は医療法人が対象外であるのに対し、中小企業省力化投資補助金(一般型)は歯科医業を営む医療法人も対象になります。「設備で何を実現したいのか」と「自院の法人格」を言語化すると、どの制度を軸に組み立てるべきかが見えてきます。

対象経費と、申請でつまずきやすい注意点

補助の中心になるのは、機械装置・システム構築費です。口腔内スキャナー本体や、それと一体で使う専用ソフト・システムなどがこれにあたり、補助対象経費の大半をこの区分が占めることが多くなります。技術導入費や外注費などが補助的な位置づけで対象になる場合もあります。特に注意したいのは、次のような点です。

  • 交付決定前の発注は対象外:交付決定を受ける前に発注・契約・支払をすると、原則として対象外になります。「先に発注してしまった」は取り返しがつかないため、スケジュール管理が重要です。
  • 他制度との二重取りは不可:他の補助金と同じ経費を重ねて計上することはできません。複数制度を併用したい場合は、経費の線引きを明確に分ける必要があります。
  • 目的外使用に注意:たとえば自由診療用として導入した機器を後から保険診療に流用するなど、申請内容と異なる使い方をすると、補助金の返還を求められるリスクがあります。
  • 賃上げ要件の確認:上限を引き上げる特例には賃上げの取り組みが前提になります。要件を満たせない見込みなら、無理に上限の最大値を前提にした計画にしないことが大切です。

よくある質問

Q. 口腔内スキャナーを買えば必ず補助金がもらえますか

いいえ。設備を購入することと、それ自体が補助金の対象になることは別です。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金なら新しい製品・サービスの開発に必要な投資であること、中小企業省力化投資補助金(一般型)なら人手不足の解消に資するオーダーメイド設備であることなど、制度ごとの要件を満たし、審査で採択されてはじめて対象になります。採択を保証するものではない点にご注意ください。

Q. 医療法人ですが、口腔内スキャナーに使える補助金はありますか

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は医療法人が対象外ですが、中小企業省力化投資補助金(一般型)は歯科医業を営む医療法人も対象に含まれます(従業員300人以下などの要件あり)。法人格によって使える制度が変わるため、自院の状況に合わせて検討してください。医療法人の扱いは公募回で変わってきた経緯があるため、最新の公募要領で必ず確認することをおすすめします。

Q. 申請から入金まではどのくらいかかりますか

公募のスケジュールや事業の実施期間によって異なりますが、補助金は原則として後払い(事業を実施し、経費を支払ったあとの精算)です。設備の支払い時には一度立て替えが必要になるため、資金繰りもあわせて計画しておくことが大切です。

Q. 補助金で受け取ったお金に税金はかかりますか

補助金は内容によって課税対象になる場合があります。具体的な税務上の取り扱いは個々の状況によって異なるため、税理士などの専門家に確認してください。

まとめ

口腔内スキャナーに使える補助金は、ひとつではありません。新しいサービスや事業の開発をともなうなら「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」、既存業務の省力化が目的なら「中小企業省力化投資補助金(一般型)」が候補になり、医療法人か個人事業主かという法人格によっても使える制度が変わります。よく知られた「ものづくり補助金」はすでに終了し、現在は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」に統合されている点にも注意が必要です。補助上限や対象者、診療報酬まわりの要件は公募回や年度の公募内容によって変わるため、自院の状況にあわせて制度選びの段階から検討することが、遠回りに見えて結局は近道になります。どの制度をどう活用できるか迷う場合は、早い段階で専門家に相談しながら計画を組み立てていきましょう。

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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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