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コラム

歯科技工所のCAD/CAM導入に補助金は使える?独立ラボと院内技工室で変わる制度の選び方

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歯科技工所のCAD/CAM設備投資で使える補助金|独立ラボと院内技工室で対象が変わる理由

口腔内スキャナーの普及とジルコニア需要の伸びを受けて、歯科技工所でもCAD/CAM設備の導入を検討する場面が増えています。ただ、いざ補助金を調べ始めると「歯科は補助金が使えない」という説明と「製造業なら使える」という説明が入り混じっていて、自分の技工所がどちらなのか判断しづらいのではないでしょうか。

結論から言うと、歯科技工所のCAD/CAM投資では、機器の種類を比べる前に誰の名義で申請するのかを先に決める必要があります。同じミリングマシンでも、独立した技工所が買う場合と、歯科医院の院内技工室として買う場合では、候補に残る制度が入れ替わるからです。この記事では、その分かれ道を整理したうえで、投資の中身別に候補になる制度と、申請が外れやすい境界線を実務目線で解説します。なお本文の制度内容は2026年7月時点の公募要領等に基づくもので、申請時には必ず最新の公式情報をご確認ください。

まず確認すべきは「誰が申請するか」

歯科技工所は歯科技工物を製造する事業所であり、患者から診療報酬を受け取る立場にはありません。診療報酬を受け取るのは、技工物を委託した歯科医院です。この違いが、補助金の対象判定にそのまま効いてきます。

独立した技工所として申請する場合

株式会社や個人事業として独立開業している技工所は、制度上は製造業に近い中小企業者・小規模事業者として扱われる余地があります。たとえば小規模事業者持続化補助金の小規模事業者の範囲は、製造業その他であれば常時使用する従業員20人以下です。従業員数名の技工所であれば、この枠に収まるケースが多いはずです。

歯科医院の院内技工室として申請する場合

一方、歯科医院が院内技工室の設備として購入する場合は、申請者が歯科医師個人または医療法人になります。ここで効いてくるのが、制度側に置かれた事業者属性の制限です。

小規模事業者持続化補助金では、対象外になりやすい形態として医師・歯科医師・助産師、および医療法人が挙げられています。つまり、独立ラボなら候補に入る制度が、院内技工室では入口で外れることがあります。

逆の動きをする制度もあります。中小企業省力化投資補助金(一般型)では、第6回公募要領の改訂で「診療報酬・介護報酬との重複がある事業は補助対象外」という規定が撤廃され、診療報酬を受けていること自体は申請の障壁ではなくなりました。さらに第7回公募からは歯科医業を営む医療法人が補助対象に追加されています(従業員300人以下等の要件あり)。歯科医業以外の医療法人は引き続き対象外である点にはご注意ください。

このように、事業者属性の扱いは制度ごとにばらついています。「歯科だから使えない」「製造業だから使える」と一括りにせず、申請主体を確定させてから制度を当てにいくのが実務の順番です。

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投資の中身別に見る、候補になる補助金

申請主体が決まったら、次は投資の中身で制度を選び分けます。CAD/CAM設備といっても、口腔内スキャナーとの連携、CADソフト、ミリングマシン、歯科用3Dプリンター、シンタリング炉では、性格が異なるためです。

工程まるごとの省力化なら省力化投資補助金

中小企業省力化投資補助金(一般型)は補助上限1億円で、人手不足や工程のムダを減らすための設備・システム導入を支援する制度です。設備投資が必須で、単価50万円(税抜)以上の機械装置等を最低1つ入れる必要があります。技工工程の一部を機械に置き換えて、限られた技工士の手を仕上げ工程に回す、といった投資と相性があります。

すでに登録済みの省力化製品を選んで導入するのであれば、中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)も選択肢です。上限は1,500万円(大幅賃上げ計画を盛る場合)で、販売事業者と共同で申請する点、労働生産性を年平均成長率3.0%以上向上させる計画が必要な点が特徴です。

新しい技工サービスを立ち上げるなら革新的新製品・サービス枠

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠は、自社の技術力等を活かして新製品・新サービスを開発する取組を支援する枠です。補助上限は従業員規模で変わり、1〜5人は750万円、6〜20人は1,000万円、21〜50人は1,500万円、51人以上は2,500万円です。大幅賃上げ特例を適用すると各850万円・1,250万円・2,500万円・3,500万円まで広がります。よく見かける3,500万円という数字は、最大の従業員規模と特例を組み合わせたときの最大値である点にご注意ください。補助下限は100万円、補助率は中小企業者が2分の1、小規模企業・小規模事業者・再生事業者は3分の2です。

ソフトやシステムが主役ならデジタル化・AI導入補助金

CADソフト、技工物の受発注管理、歯科医院との症例データのやり取りなど、ソフトウェア側の整備が投資の中心になるなら、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)が向きます。補助上限は通常枠450万円、インボイス枠350万円、複数者連携デジタル化・AI導入枠3,000万円です。事務局に登録されたIT導入支援事業者の支援を受けて申請する前提で、対象はソフトウェア購入費やクラウド利用料(最大2年分)が中心になります。パソコンやタブレット等のハード単体購入は対象外です。

販路開拓とセットなら持続化補助金

技工物の直販や新規歯科医院への営業を強化したい場合は、小規模事業者持続化補助金が候補になります。補助率は3分の2、補助上限は基本50万円で、インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円が上乗せされ、両方の要件を満たすと最大250万円です。ただし広報費とウェブサイト関連費はそれぞれ交付申請額の上限が30万円(税込)で、いずれも単独での申請はできません。

申請が外れやすい3つの境界線

制度の一覧を見るだけでは判断できないのが、対象から外れる条件です。歯科技工所のCAD/CAM投資で特につまずきやすい3点を挙げます。

境界線1:ミリングマシン1台では省力化一般型に乗らない

省力化投資補助金(一般型)で対象になるのは、オーダーメイド性のある設備です。単に汎用設備を単体で導入する事業は対象外とされており、単価50万円以上という要件を満たしていても、それだけでは足りません。

ただし、省力化に資する汎用設備を複数組み合わせることでより高い省力化効果や付加価値を生み出す場合や、導入環境に応じて周辺機器や構成する機器の数・搭載する機能等が変わる場合は、汎用設備でもオーダーメイド設備とみなされます。スキャナー、CADソフト、ミリングマシン、シンタリング炉を自社の工程に合わせて組み合わせ、どこの手作業がどれだけ減るのかを示す設計が必要です。

境界線2:内製化・効率化と書くと革新枠は崩れる

革新的新製品・サービス枠では、単なる設備・システム導入、既存製品・サービスの生産プロセス改善、同業で既に相当程度普及している開発は対象外とされています。CAD/CAMの導入を「外注していた工程を内製化して効率を上げる」と書いてしまうと、まさに生産プロセス改善に読めてしまいます。

この枠を狙うなら、新しい材料への対応、これまで受けられなかった補綴物の受託、歯科医院に対する新しい提供形態など、顧客に対する新たな価値がどこにあるのかを設計の中心に置く必要があります。同業で普及済みの取組と見なされないかという観点でも、自院の計画を点検しておくと安全です。

境界線3:保険診療にかかる経費の扱い

小規模事業者持続化補助金では、国が助成するほかの制度を利用している事業と重複する経費は補助対象外と定められており、その具体例として保険適用診療にかかる経費が明記されています。挙げられている例は、薬局・整骨院や鍼灸院等の保険診療で使用する機械や、保険診療の宣伝も兼ねるチラシ等です。

院内技工室として設備を購入する場合は、この考え方が直接効いてくる可能性があります。独立した技工所であっても、委託元が保険診療で使う技工物を作る以上、経費の切り分けについては公募要領と事務局への確認を怠らないほうが無難です。制度側の判断は公募回や解釈で差が出るため、断定せずに確認する姿勢が結果的に近道になります。

投資額と補助下限のミスマッチを先に確かめる

制度の上限額ばかりに目が向きがちですが、実務でつまずくのはむしろ下限側です。

  • 革新的新製品・サービス枠は補助下限100万円。補助率2分の1なら、少なくとも200万円規模の投資でなければ土俵に乗りません
  • 省力化投資補助金(一般型)は単価50万円(税抜)以上の機械装置等が最低1つ必要です
  • 革新枠の機械装置・システム構築費は単価10万円(税抜)以上が対象です
  • 持続化補助金は基本の補助上限が50万円。ミリングマシン本体の価格帯とは規模が合わないことが多く、周辺の販路開拓費用に充てる制度と考えるほうが実態に合います

見積書を先に揃え、どの経費がどの制度の枠に収まるのかを金額ベースで並べてみると、候補は自然に2つ程度まで絞れます。

申請の順番とスケジュール

制度が絞れたら、段取りの順番を間違えないことが次の関門です。

  1. 電子申請に必要なGビズIDプライムのアカウントを先に取得する
  2. 技工所の課題と、CAD/CAM導入で減る工数・増える受託量を数字で整理する
  3. 販売事業者やIT導入支援事業者と相談し、見積を揃える
  4. 公募要領で対象経費と自社の属性要件を照合する
  5. 申請し、交付決定を待ってから発注する

特に注意したいのが最後の順番です。交付決定前に行った発注・契約・支払は対象外になります。採択の通知が来ただけでは事業を開始できない制度もあるため、機器の納期から逆算して発注したくなる場面ほど慎重に進めてください。

スケジュールの目安として、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の第1回公募は2026年6月29日に開始し、締切は2026年9月30日18時、採択発表は2026年12月頃とされています。小規模事業者持続化補助金の第20回公募は、申請受付開始が2026年11月5日、締切が2026年12月15日17時です。持続化補助金では事業支援計画書(様式4)の発行受付締切が2026年12月4日に設定されており、この締切を過ぎるといかなる理由でも発行されません。商工会・商工会議所への依頼は余裕を持って動く必要があります。

よくある質問

歯科技工所は補助金の対象になりますか

独立した技工所であれば、中小企業者・小規模事業者として対象になる制度があります。ただし歯科医院の院内技工室として申請する場合は、医師・歯科医師や医療法人が対象外とされる制度があるため、申請主体によって結論が変わります。

ミリングマシンだけを買う計画でも申請できますか

省力化投資補助金(一般型)については、汎用設備を単体で導入するだけでは対象外です。複数設備の組み合わせや、導入環境に応じた構成の違いなど、オーダーメイド性を示せる計画に組み直す必要があります。

補助金と設備リースは併用できますか

制度ごとに対象経費の扱いが異なり、購入を前提とする制度もあります。リースを前提に検討している場合は、公募要領の対象経費の記載を必ず確認し、必要であれば購入との比較を含めて資金計画を作り直してください。

複数の補助金を同時に使えますか

国の制度どうしで同じ事業・同じ経費を重複して計上することはできません。設備は省力化、ソフトはデジタル化・AI導入といった形で経費を明確に切り分ける必要があり、切り分けが曖昧なまま申請すると採択後の取消につながるおそれがあります。

まとめ

歯科技工所のCAD/CAM投資で補助金を検討するときは、次の順番で考えると迷いません。

  • 独立ラボか院内技工室かで申請主体を確定させる
  • 投資の中身が設備の省力化か、新サービスの開発か、ソフト整備かで制度を絞る
  • オーダーメイド性・プロセス改善の扱い・保険診療にかかる経費という3つの境界線で自社の計画を点検する
  • 補助下限と投資額のミスマッチを金額ベースで確認する
  • 交付決定前に発注しない順番でスケジュールを組む

制度の要件や公募回ごとの改訂は頻繁に行われます。本文の内容は2026年7月時点の情報であり、実際の申請にあたっては必ず最新の公募要領で最終確認を行ってください。制度の選び分けや事業計画の組み立てに迷う場合は、早い段階で専門家に相談するほうが、結果として設備の導入時期を後ろにずらさずに済みます。

【無料相談のご案内】

弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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