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コラム

返済条件の変更で下がるのは毎月の元金だけ|合意前に確かめる4つの数字と手順

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返済条件の変更で下がるのは毎月の元金だけ|合意前に確かめる4つの数字と手順

返済条件を変更すると何が下がり、何が残るのか|数字で確かめる手順

複数の店舗を運営していると、開業時の設備資金、2店舗目を出したときの借入、季節の谷を埋めた運転資金と、返済が何本も並びます。そのうちの1本が重く感じられたとき、返済条件の変更という選択肢が視野に入ってきます。

ここで「毎月の返済が下がる」という一点だけで判断すると、合意したあとに想定と違う、という展開になります。返済条件の変更は返済額を軽くする手続きではなく、契約を組み直す手続きだからです。下がるものと残るものがはっきり分かれます。この記事では、複数の借入を抱える加盟店オーナーの方に向けて、相談に入る前に自分の数字で確かめておく4つのことを、手順の形で整理します。

下がるのは毎月の元金で、残高は減りません

最初に整理しておきたいのが、何が変わって何が変わらないかです。返済条件の変更は、返済の期間や当面の元金の払い方を組み直すもので、借りている元金そのものが消える手続きではありません。免除や減額とは別のものです。

つまり、いま返している元金は、後ろの期間へ移ります。移った先で返す額が増えるか、返す期間が延びるか、そのどちらかになります。ここを数字で押さえないまま合意すると、当面の資金繰りは楽になっても、据置が明けた月に前より重い返済が始まる、という状態が起こります。

もうひとつ、利息は残っている元金に対してかかります。返済の期間が延びれば、支払う利息の総額は増える方向に働きます。毎月の負担と総額のどちらを軽くしたいのかは、あらかじめ自分の中で決めておきます。

手順1:いま並んでいる借入を1枚に書き出す

複数店舗を運営していると、借入は店舗ごと・時期ごとにばらばらに増えています。1本だけを見て相談に行くと、金融機関側からは他の借入と合わせた全体像を聞かれます。先に自分で並べておきます。

  • 借入先と借入年月
  • 当初の借入額と現在の残高
  • 残りの返済期間と、毎月の元金・利息の内訳
  • 資金使途(設備か運転か)
  • 担保・保証の有無

この一覧があると、どの1本を動かすと手元がいくら変わるのかが自分で計算できます。担保や保証が付いている借入は関係する当事者が増えるため、確認に時間がかかることがあります。その見込みも、この段階で持っておきます。

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手順2:「いくら下げたいか」ではなく「いつまでに何を戻すか」を決める

相談の場で最初に聞かれるのは、いくら下げたいかではなく、どういう状態に戻すつもりなのかです。日本政策金融公庫のよくあるご質問では、返済条件の見直しについて「まずは、お取引支店にご相談ください。税務申告書・決算書、資金繰り表、経営改善計画書等の資料をお願いしております」と案内されています。資金繰り表と経営改善計画書が並んでいるのは、先の見通しを一緒に見るための手続きだからです。

加盟店の場合、売上の谷が本部のキャンペーン周期や季節要因で読めていることがあります。谷がいつ来て、いつ抜けるのかを月単位で置けると、何か月分を後ろに寄せたいのかが数字で出ます。「当面楽にしたい」ではなく「◯月から◯月までの◯か月分」という形にします。

手順3:後ろに寄せた元金がどこへ行くかを計算する

据置や期間の延長を入れると、その分の元金は残りの期間に移ります。移った先で毎月いくらになるのかを、合意の前に自分で出しておきます。計算は難しくありません。動かしたい元金の合計を、変更後に残る返済月数で割るだけです。

ここで効いてくるのが、返済期間には制度上の枠があるという点です。日本政策金融公庫のよくあるご質問では、返済期間について「各貸付制度ごとに設定されています。制度により、最長で設備資金で20年、運転資金で20年の利用が可能なものもあります」と説明されています。社内で参照している新規開業・スタートアップ支援資金の例では、返済期間は設備20年以内・運転は10年以内、元金返済の据置は5年以内の範囲で認められることがあります。

枠に余裕があれば期間を延ばして毎月を薄くできますが、残期間が短い借入では、後ろに寄せた分が少ない月数に集中します。同じ「3か月据置」でも、残り8年の借入と残り2年の借入では、明けたあとの月額の上がり方が大きく違います。

計算の形だけ示します。残高600万円・残り60か月の借入で、毎月の元金が10万円だとします。ここで6か月の据置が認められ、返済期間は延びなかったとすると、据置中に払わずに済む元金は60万円、それが残り54か月に移ります。明けたあとの毎月の元金は、600万円を54か月で割って約11万1,000円です。6か月で60万円を確保する代わりに、そのあと54か月にわたって月1万1,000円ほど重くなる、という形になります。

同じ計算を残り24か月の借入でやると、6か月据置のあとに残るのは18か月です。毎月の元金が10万円なら、明けたあとは約13万3,000円まで上がります。どの1本を動かすかで結果が変わるのは、この割り算の分母が借入ごとに違うからです。手順1の一覧に残りの返済期間を入れておくのは、この分母をすぐ取り出すためでもあります。

小峰精公

💬 執筆者の小峰から一言

信用金庫で融資を出す側にいたころの感覚で、数字をひとつ。元金返済の据置は5年以内の範囲で認められることがあり、据置中は利息のみの支払いになります。ただし据置期間も返済期間も申込者が選ぶものではなく、審査のうえ金融機関が決めます。制度上の枠は返済期間が設備20年以内・運転は10年以内で、後ろに寄せた元金はその内側に収まる形になります。

手順4:条件は自分では決められない、という前提で資料をそろえる

適用される返済期間・据置期間・利率は、審査のうえ金融機関が決めるものです。申込者が選んで決められるものではありません。したがって、相談で持っていくのは「この条件にしてください」という希望ではなく、その条件で回るという説明の材料になります。

用意するのは、手順1で作った借入の一覧、資金繰り表、そして手順2で置いた回復の見通しです。公庫のよくあるご質問では、提出資料について「状況に応じて、ご提出いただく資料については、省略を含め柔軟に対応させていただきます」とも案内されています。全部そろうまで待つ理由はありません。

加盟店の場合、本部から届く月次の売上データや、同一ブランドの標準的な損益モデルを説明の材料に使えます。ただし本部の数値をそのまま出すのではなく、自店の実績と並べて、どこが標準どおりでどこがずれているのかを自分の言葉で説明できる形にしておきます。金融機関が見たいのは、経営者本人が自店の数字を把握しているかどうかです。

よくある質問

返済条件を変更すると、その後は借りられなくなりますか

今後の借入がどう扱われるかは、変更の経緯と、そのあとの実績で見られる部分が大きくなります。公庫のよくあるご質問でも、返済条件の見直し後について「資金繰りのご相談を承っております」と案内されています。窓口が閉じるという前提ではなく、変更後にどう戻していくかを示せるかどうかで話が変わります。

変更した条件を、あとで元に戻せますか

資金繰りが戻れば、条件を組み直す相談自体はできます。ただし、そのときも審査のうえ金融機関が判断します。最初の相談で「いつまでに何を戻すか」を置いておくと、戻すときの話も同じ土俵で進められます。

まとめ

返済条件の変更で下がるのは毎月の元金であって、残高そのものは減りません。後ろに寄せた元金は残りの期間に移り、返済期間という制度上の枠の内側で組み直されます。合意の前に確かめるのは、①借入の全体像、②いつまでに何を戻すか、③後ろに寄せた元金が明けたあと毎月いくらになるか、④条件は金融機関が決めるという前提、の4つです。

数字・制度の内容は執筆時点の情報で、貸付制度や個別の状況によって変わります。実際の手続きは取引先の金融機関に確認してください。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

多胡藤夫

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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中野裕哲

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】

税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1,000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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