
省エネ補助金で古い空調・冷凍設備を更新する個人事業主向け申請ステップ
店舗の古い空調や冷凍設備を入れ替えたいとき、「省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)」が検討の軸になります。国内で事業活動を営む法人・個人事業主が対象に入っており、起業直後の個人事業主でも入口の対象から外れるわけではありません。ただし、この補助金は事業区分が複数あり、区分によって補助上限・補助率・対象経費が大きく変わります。さらに、見積の取り方や発注のタイミングを間違えると、せっかく条件に合う設備でも対象外になってしまいます。この記事では、設備を買う前に確認しておきたい順番と、対象外になりやすい動き方を具体的に整理します。
個人事業主でも対象になるのか
この補助金の対象は、国内で事業活動を営む法人・個人事業主です。店舗を構えて事業を行っている個人事業主であれば、規模の大小にかかわらず入口の対象には含まれます。「法人でないと使えない補助金」と思い込んで検討から外してしまうのはもったいない判断です。一方で、対象に入っていることと、実際に補助が受けられることは別の話です。次に説明する事業区分のどれに当たるか、そして申請の順番を守れるかどうかが、実際に補助を受けられるかの分かれ目になります。
自分の設備はどの事業区分に当たるか
この補助金には、設備単位型(従来枠)、GX設備単位型、電化・脱炭素燃転型、エネルギー需要最適化型(EMS)という4つの事業区分があります。どの区分に当たるかで補助上限・補助率・対象経費が変わるため、数字だけを見て判断するのではなく、まず自分の設備がどの区分に当たりそうかを確認してください。
設備単位型(従来枠)
今使っている空調や冷凍冷蔵設備を、より省エネ性能の高い設備に「更新」する場合に当てはまりやすい区分です。設備単位型(従来枠)の補助上限は1億円、補助率は1/3以内です。新規導入・増設・予備設備としての導入は対象になりにくく、更新前後で設備の用途が同じであることが前提になります。老朽化しているという理由だけでは弱く、省エネ効果を数字で説明できるかがポイントです。
GX設備単位型
メーカー側がGXの要件を満たした設備や、トップクラスの省エネ性能を持つ設備を導入する場合に当てはまる区分です。GX設備単位型メーカー強化枠の補助上限は3億円、補助率は1/3以内です。GX設備単位型トップ性能枠も補助上限は3億円で、補助率は更新が1/2以内・新設が1/5以内となっており、更新だけでなく新設も対象になり得る点が従来枠と異なります。
電化・脱炭素燃転型
化石燃料から電気への転換や、低炭素燃料への転換を伴う設備投資に当てはまる区分です。電化・脱炭素燃転型の補助上限は3億円(電化の場合は5億円)、補助率は更新・改造が1/2以内・新設が1/5以内です。単に「今より効率のいい設備に入れ替えたい」というだけであれば、設備単位型やGX設備単位型のほうが筋が通りやすく、燃料転換を伴わない入れ替えをこの区分だと思い込むと判断を誤りやすくなります。
エネルギー需要最適化型(EMS)
EMS(エネルギー管理システム)を導入する区分で、補助上限は1億円、補助率は中小企業等が1/2以内・大企業等が1/3以内です。ここで注意したいのは、エネルギー需要最適化型(EMS)は単独では申請できないという点です。設備単位型・GX設備単位型・電化脱炭素燃転型のいずれかと組み合わせて申請する前提の区分なので、「EMSだけ入れたい」という場合はこの補助金の対象外になります。

💬 執筆者の三浦から一言
この補助金は「省エネ補助金」とひとまとめに呼ばれがちですが、設備単位型(従来枠)、GX設備単位型、電化・脱炭素燃転型、エネルギー需要最適化型(EMS)のどれに当たるかで上限も補助率も対象経費も変わります。区分を決めずに数字だけ鵜呑みにすると、見積段階で前提がずれてしまうので気をつけてください。
買う前に確認する順番
設備を買う前に確認しておきたい順番は、見積取得、区分判断、交付決定、発注の4ステップです。まず原則として3者以上の価格競争・見積取得が必要で、補助対象経費はその価格競争の結果による最も低い価格が上限になります。見積を比較しながら、自分の設備更新がどの事業区分に当たりそうかを合わせて判断します。そして最も重要なのが、交付決定前の契約・発注は対象外になるという点です。事業開始日は交付決定日で、設備の契約や発注は必ず交付決定日より後に行う必要があります。見積を取ったあと、業者都合で先に発注してしまうと、その時点で補助の対象から外れてしまいます。
よくある対象外の動き方
実際につまずきやすいのが、見積と発注の順番です。古い空調や冷凍設備が故障しかけていると、「早く入れ替えたい」という事情から、交付決定を待たずに設備業者へ発注してしまうケースがあります。この場合、その設備投資は丸ごと補助の対象外になります。また、老朽化しているという理由だけで更新を考えるのも弱い説明です。省エネ効果を数字で示せるかどうかが問われる区分なので、単なる老朽化対応では判断材料が不足します。照明の入れ替えについても、一般的なLED照明への交換だと考えていると対象外になりやすく、対象になり得るのは制御機能付きのLED照明器具です。燃料の転換を伴わない単純な設備入れ替えを、電化・脱炭素燃転型だと思い込んで進めてしまうケースも同様に注意が必要です。

💬 執筆者の三浦から一言
見積を取ってから発注まで一気に進めたくなりますが、交付決定前に契約・発注してしまうと、その時点で補助の対象外になります。業者から急かされても、交付決定の通知が届くまでは契約書に判を押さないようにしてください。慌てて進めると後戻りできません。
対象経費の範囲を確認する
対象経費も区分によって範囲が変わります。設備単位型やGX設備単位型は、補助事業に必要な機械装置そのものの購入費である「設備費」が中心で、設計費・運搬費・撤去費・廃棄費・据付費や配線工事などは対象外になりやすい扱いです。一方、電化・脱炭素燃転型では工事費が対象になる場合があります。見積を依頼する段階で、どこまでが補助対象経費に含まれるのかを設備業者とすり合わせておかないと、想定より補助額が小さくなることがあります。
自治体の補助金との重複に注意する
省エネ設備の導入では、自治体が独自に行っている省エネ設備導入の補助と内容が重なる場面があります。同じ設備投資に対して複数の補助を同時に受けられるとは限らず、重複が認められない組み合わせもあります。どちらを使うべきかを決める前に、検討している補助金・助成の実施機関に、他の補助との併用可否を確認しておくことをおすすめします。
この先は専門家に確認する
事業区分の最終的な判断や、公募要領の細かい条件、見積の取り方については、本記事だけで判断を固めず、実施機関の最新の公募要領を確認するか、補助金申請に詳しい専門家に相談することをおすすめします。制度の内容は改定されることがあるため、申請前には必ず最新情報を確認してください。
まとめ
古い空調や冷凍設備の入れ替えを考える個人事業主にとって、省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)は入口の対象に入っている補助金です。ただし、設備単位型・GX設備単位型・電化・脱炭素燃転型・エネルギー需要最適化型のどの区分に当たるかで補助上限・補助率・対象経費が変わります。見積取得、区分判断、交付決定、発注という順番を守り、交付決定前に発注してしまわないことが、補助を受けられるかどうかの最大の分かれ目になります。
【無料相談のご案内】
弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























