
起業準備中に気づく「確定申告書の控えがない!」──そんなときの解決ガイド
こんにちは。起業コンサルタント(R)、税理士・社労士・行政書士・FPの中野裕哲です。
今回のテーマは、「確定申告書の控えの再発行」。これ、実は起業準備中の方からよくいただくご相談のひとつなんです。特に創業融資や助成金の申請をする際、「過去の確定申告書控え」が必要になる場面が多いんですよね。
でも、いざ探してみたら「どこにも見当たらない!」という方、多いのではないでしょうか?ご安心ください。この記事では、確定申告書の控えを再発行するための方法を、丁寧に、具体的にお伝えしていきます。
そもそも「確定申告書の控え」とは?
確定申告書の控えとは、あなたが税務署に提出した「確定申告書類」の写しのことです。申告後に税務署の受付印が押された書類であることが一般的で、これが金融機関や公的機関に対する「収入証明書」として機能します。
創業融資、補助金申請、物件の賃貸契約、子どもの奨学金申請など、実にさまざまな場面で必要となります。特に日本政策金融公庫などの金融機関では、「過去2~3年分の確定申告書控え」の提出を求められるのが一般的です。
よくある「なくしてしまった!」ケースと原因
- e-Taxで提出したが控えの保存を忘れた
- 書面提出後に受け取った控えをどこかにしまい忘れた
- そもそも控えをもらった記憶がない
これ、起業準備中の会社員さんにとって「あるある」です。会社員時代には確定申告をした経験が少ない方も多く、「いつの間にか提出して終わり」となってしまっているケースもよく見かけます。
控えは“再発行”できるのか?
ズバリ申し上げます。税務署では「再発行」という表現ではなく、「閲覧」もしくは「写しの交付請求」という形式で対応しています。
つまり、確定申告書の内容を確認したり、コピーをもらうことはできる、ということなんです。
具体的な取得方法(個人事業主・フリーランス向け)
① 税務署で閲覧申請
手順:
- 管轄の税務署に出向く
- 「申告書の閲覧申請」を行う
- その場で書類を見せてもらう(撮影可)
ポイント:
- その場でコピーはしてもらえません
- 撮影のためのスマホやカメラ持参がおすすめ
- 混雑時期を避けて、余裕を持って訪れることをおすすめします
② 写しの交付請求(正式な控えが必要な場合)
手順:
- 「申告書の写しの交付請求書」を記入
- 本人確認書類(運転免許証等)を提出
- 郵送または持参で申請
- 1~2週間程度で自宅に届く
添付書類:
- 印鑑(認印OK)
- 郵送の場合は返信用封筒と切手
- 法人の場合は登記事項証明書や委任状も必要になることがあります
e-Taxで申告した方の場合
e-Taxで提出された方は、以下の方法で控えを確認できます。
- e-TaxソフトからPDFで控えを再表示
- 確定申告書等作成コーナーからログインし、申告書を確認・再出力
※マイナンバーカードやID・パスワード方式でのログインが必要です。
※電子申告で受付日時が記載されているものは、正式な証明として通用するケースも多いですが、自治体や機関によって判断が異なるため、事前に確認しましょう。
再発行時の注意点
- 税務署では過去5年分までの申告書控えが保管されています
- e-Taxでも同様に、古いデータは確認できないことがあります
- 繁忙期(確定申告期間)は対応が遅れる場合があります
- 法人や共同申告者がいる場合には追加書類が必要なケースもあります
こんな場面で控えが必要です
- 創業融資(日本政策金融公庫など)
- 家賃補助や公営住宅の申請
- 子どもの奨学金申請
- 各種補助金・助成金の応募時
- 税務調査や過年度の収入確認
これらの場面で慌てないよう、事前に用意しておくことが大切です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 控えは税務署で即日でもらえますか?
→ 閲覧は即日可能ですが、写しの交付には通常1~2週間かかります。
Q2. 手数料はかかりますか?
→ 原則無料ですが、郵送対応の場合は返信用封筒と切手が必要です。
Q3. 他人の控えを請求できますか?
→ 原則不可です。委任状が必要です。
Q4. e-Taxの控えは正式書類として使えますか?
→ 受付番号・受付日時が記載されたものは、正式な証明として使えるケースが多いです。
Q5. 書類が見つからない場合、どうしたらいい?
→ 税務署での閲覧や交付請求が基本対応です。e-Taxのマイページにもデータが残っていることがあるので、まずはそこも確認しましょう。
まとめ──控えを手に入れて、万全の起業準備を!
確定申告書の控えは、いざという時の「信用力の源」です。特に起業を目指すあなたにとっては、融資や助成金の可否に関わる重要な書類になります。
「なくしたかも」と思ったら、早めに動いて手元に戻しておきましょう。
そして、将来に向けては「PDFで保管」「紙でも控えを印刷」など、バックアップの意識も忘れずに。
さらに、確定申告書と一緒に「収支内訳書」「青色申告決算書」なども揃えておくと、補助金や融資の書類準備がよりスムーズになります。
お気軽にご相談くださいね。一歩ずつ、一緒に夢を形にしていきましょう!
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。



























