
東京都「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業」とは?|都内の中小企業・個人事業主向け助成金(補助金)をわかりやすく解説
東京都が、都内の中小企業・個人事業主に向けて用意した助成金(補助金)として注目されているのが「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業」です。物価高や人件費高騰などの環境変化に対応しながら、設備投資による業務改善、新市場・新分野進出、そして賃上げ促進まで含めて“攻めの経営”を後押しする点が特徴です。
この制度を理解する近道は、前身となる令和6年度の「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業」の流れ(=既存事業の見直し・改善を助成金+専門家支援で後押し)を押さえたうえで、令和8年度に大幅増強・再編された後継スキームとして位置付けること。
本記事では、対象・要件/公募・申請/3コース/補助率・上限/対象経費/採択のコツ までまとめます。
制度の位置付け|「救済型」から「成長・賃上げ促進型」へ
東京都の中小企業支援は、ポストコロナ以降、環境変化に対応しながらも「事業を伸ばす」方向に比重が移っています。
- 令和6年度:新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業(新規)
└ 既存事業の「深化・発展」を、助成金+専門家派遣で支援 - 令和7年度以降:名称を変えつつ同様の路線が継続
- 令和8年度:経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業(新規計上・増強)
└ 3コース制で、業務改善・新市場進出・賃上げをより明確に後押し。
対象者は?|都内の中小企業・個人事業主(対象・要件の考え方)
本制度の主な対象は、都内で事業を行う中小企業・個人事業主です。
最終的な対象・要件は公募要領で確定しますが、前身制度では「環境変化の影響を受けた事業者」を想定し、たとえば次のような条件が示されていました。
- 直近決算期の売上高が、2019年以降のいずれかの決算期と比べて減少
- 直近決算期で損失を計上
現在公表されている資料によると
直近決算期の営業利益が前々期と比較して減少、又は、直近決算期において損失を計上した企業との変更が確認できます。

ここで大切なのは、「困っている会社を救済する」だけではなく、創意工夫に基づく改善・投資の計画を作り、経営基盤を強化することが前提になっている点です。
3コースの概要|業務改善/新市場・新分野進出/賃上げ促進
「創意工夫チャレンジ促進事業」は、取り組み内容を3つの型に整理した制度として理解するとスムーズです。
1)設備投資による業務改善コース
設備投資やシステム導入で現場の課題を解決し、生産性向上・省力化・品質安定・原価低減を狙うコース。
「まず既存事業を強くして利益体質にしたい」企業に向きます。
2)新市場・新分野進出コース
既存の技術・顧客基盤を活かし、新商品・新サービス開発、提供方法の変更、販路開拓などで収益の柱を増やすコース。
審査で問われやすいのは、前身制度同様に「既存事業との関連性(深化・発展)」です。
3)賃上げ促進コース
投資による業務改善とセットで賃上げを実現するコース。
賃上げは“意思”だけでなく、原資(粗利改善・価格戦略・生産性向上)まで計画に落とすほど強くなります。
補助率・上限の目安
※詳細は必ず最新の募集要項・公募資料で確認してください。
| コース | 補助率 | 上限(最大) | ポイント |
| 業務改善 | 2/3 | 600万円 | 設備投資・システム導入で生産性向上 |
| 新市場・新分野進出 | 2/3(賃上げ計画で3/4の設計が示唆) | 1,000万円 | 新商品/新サービス開発・販路開拓。関連性が鍵 |
| 賃上げ促進 | 3/4 | 600万円 | 賃上げの原資ロジックが重要 |
| 小規模事業者 | 優遇(例:補助率上乗せが示唆) | — | 該当要件は要項で確認 |
対象経費の考え方|「投資→改善・展開」につながるかで決まる
助成金(補助金)は、運転資金を埋めるものではなく、経営力強化につながる“投資”が中心になります。前身制度の考え方から見ても、次の整理がわかりやすいです。
対象経費になりやすい例(方向性)
- 設備投資:機械装置、工具・器具、機器、IT・システム導入 など
- 改修・工事:導線改善、生産ライン最適化、店舗改装(目的が明確なもの)
- 開発・試作・外注/委託:新市場進出に必要な工程や制作
- 販売促進:展示会出展、広告、Webサイト改善、販路開拓(計画の筋が重要)
- 人材育成:新工程・新サービス運用に必要な研修
対象外になりやすい例(方向性)
- 日常的な運転資金の穴埋め、既存借入金の返済
- 計画との関連性が弱い支出、目的が曖昧な購入
- 交付決定前に発注・契約したもの(※多くの助成金で注意点になりやすい)
コツ:対象経費は「項目」ではなく「理由」で通します。
なぜその経費が必要で、何が改善され、どの数字が変わるかまでセットで書くのが基本です。
前身制度の骨格|「既存事業の深化・発展」と専門家支援(旧制度の強み)
新制度が新語でも、前身制度の設計思想を押さえると申請計画の質が上がります。
既存事業の「深化」とは
- 既存事業の品質・生産性・付加価値を高める取り組み
例:自動化導入、工程改善、サービス高度化、リードタイム短縮 など
既存事業の「発展」とは
- 既存の技術・顧客基盤を活かし、新商品・新サービス、新たな提供方法、新市場へ展開する取り組み
例:既存顧客向け新ライン、EC化、別業界への横展開 など
また、前身制度の特徴として、採択後に専門家派遣(中小企業診断士等)がセットで付く設計がありました。新制度でも、計画のブラッシュアップや実行支援の枠が用意される場合、専門家を“申請前から”想定して計画を組むと整合性が取りやすくなります。
採択される申請の型|審査で評価されやすい計画策定テンプレ
制度名が新しくても、審査の評価軸は「計画の筋」と「実現可能性」に集約されます。採択を狙うなら、次のテンプレで組み立てるのが堅いです。
1)課題を定量化する
- 粗利率の低下、材料費高騰の影響、残業時間増
- 不良率・クレーム率、リードタイム、在庫回転
- 顧客依存度、リピート率 など
2)投資と成果の因果関係を一本化する
- 導入する設備/システム → 工程がどう変わる → KPIがどう変わる → 利益・キャッシュがどう増える
3)新市場・新分野進出は「関連性」を最優先
- 既存技術の転用、既存顧客のニーズ、現体制で提供可能な根拠
ここが弱いと「別事業」に見えて落ちやすいです。
4)賃上げ促進は「原資」を数字で示す
- 生産性向上(時間当たり付加価値)
- 価格戦略(値上げの根拠・提供価値)
- コスト構造の改善(外注費・歩留まり・稼働率)
賃上げの実現性が高いほど評価されやすくなります。
公募から申請、交付決定まで(よくある流れ)
募集が出たら、基本は次の順で進めます(詳細は募集要項に従う)。
- 公募資料の確認(対象・要件・補助率・上限・対象経費・スケジュール)
- 事業計画の作成(課題→投資→成果→収支)
- 必要書類準備(決算書、納税証明などが求められることが多い)
- 電子申請または指定方法で申請
- 審査(書面中心、場合により面接等)
- 採択 → 交付決定
- 事業実施 → 実績報告 → 交付
申請前チェックリスト(ミス防止の最短ルート)
- 対象者(都内・中小企業・個人事業主)に該当する根拠を整理した
- 要件(売上・損益など)を説明できるデータがある
- 投資(対象経費)が計画の目的と直結している
- KPIと収支計画が現実的(数字が飛んでいない)
- 交付決定前の発注・契約リスクを理解している
- 賃上げを絡めるなら、原資のロジックがある
- 申請書類の不足がない(電子申請のアカウント準備含む)
よくある質問(FAQ)
Q1. 都内の個人事業主でも申請できる?
本制度は、都内で事業を行う中小企業・個人事業主を対象とする設計が想定されます。最終的な対象・要件は公募要領で確認してください。
Q2. 助成金と補助金の違いは?
制度の呼称は公募資料に従うのが前提ですが、検索では「助成金」「補助金」どちらも使われます。記事としては読みやすさと検索性の両立のため、助成金(補助金)と併記しておくのが安全です。
Q3. 新市場・新分野進出は“完全な別事業”でもOK?
前身制度では「既存事業との関連性」が重視されました。新制度でも同様に、審査では「なぜ自社がそれをやるのか」を問われやすいので、既存事業の深化・発展として説明できる計画が有利です。
Q4. 採択される計画のポイントは?
課題の数値化、投資と成果の因果関係、関連性の明確化、実行可能性(スケジュール・体制・収支)の4点が核です。
まとめ|「経営力強化」に本気で取り組む事業者のための東京都助成金(補助金)
「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業」は、東京都が都内の中小企業・個人事業主向けに用意する助成金(補助金)として、業務改善・新市場進出・賃上げ促進を後押しする新制度です。
前身制度の流れを引き継ぎつつ、単なる救済ではなく、成長と経営改善につながる投資計画が重視される点が大きな特徴といえます。
制度の趣旨を正しく理解し、自社の課題と取り組みを結び付けた計画づくりが、採択への近道になります。
【無料相談のご案内】
弊社では、元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが補助金支援を行っております。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。
この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。



























