
今さら聞けないビジネスマナー|起業前後に押さえておきたい基本の五原則
起業を考え始めたとき、あるいは起業したばかりの時期は、事業内容、資金繰り、集客方法など、考えるべきことが一気に増えてきます。そのなかで、つい後回しになりやすいのがビジネスマナーです。
しかし、ビジネスマナーは単なる形式ではありません。相手に安心感を持ってもらい、信頼関係を築いていくための基本です。とくに起業前後は、経営者であるご本人の印象が、そのまま会社の印象につながります。どれだけ良い商品やサービスがあっても、言葉遣いや対応、約束の守り方に不安があると、相手は取引や相談に慎重になってしまいます。
だからこそ、今あらためて基本を押さえておくことが大切です。この記事では、今さら聞けないビジネスマナーの基本として、押さえておきたい五原則をわかりやすく解説していきます。
今さら聞けないビジネスマナーの基本とは
ビジネスマナーの本質は、相手への敬意を行動で示すことです。細かなルールを丸暗記することも大事ではありますが、それ以上に大切なのは、「相手がどう受け取るか」を意識して行動することです。ここでは、業種や立場を問わず共通して大切になる五つの原則を確認していきましょう。
1. 相手への敬意を忘れない
ビジネスマナーの出発点は、相手を尊重する姿勢です。きちんと挨拶をする、相手の話を遮らずに聞く、丁寧な敬語を使う。こうした基本的な行動は、それだけで相手に安心感を与えます。
たとえば、初対面の場面で明るく挨拶をする、電話口でしっかり名乗る、メールの冒頭に相手を気づかう一文を添える。こうした一つひとつの積み重ねが、第一印象を左右します。表情や姿勢、態度も立派なコミュニケーションの一部です。無表情で早口に話す人よりも、落ち着いて相手の目を見て話す人のほうが、信頼しやすいのは自然なことです。
敬語に自信がない場合でも、まずは失礼のない言葉遣いを心がけるだけで印象は変わります。完璧に話すことよりも、相手に敬意を示そうとする姿勢が大切です。
2. 清潔感のある身だしなみを整える
身だしなみは、相手が最初に受け取る情報です。服装や髪型、靴、持ち物の状態から、仕事への向き合い方まで想像されることがあります。高価な服を着る必要はありませんが、清潔感があり、その場に合った見た目であることは欠かせません。
とくに起業前後は、自分自身が会社の顔になります。取引先や顧客、支援機関、金融機関などと会う場面では、派手さよりも信頼感のほうが大切です。シワの多い服、汚れた靴、雑然とした書類や名刺入れは、それだけで相手に不安を与えてしまうことがあります。
身だしなみは「おしゃれ」ではなく、「相手への配慮」です。相手に不快感を与えないこと、安心して話ができる状態を整えることが、社会人としての基本といえるでしょう。
3. 時間と約束を守る
時間を守ることは、信頼を守ることでもあります。打ち合わせに遅れない、提出期限を守る、返信を放置しない。こうした行動は当たり前のように見えますが、実際には信用を大きく左右します。
とくに起業したての時期は、営業、経理、資料作成、顧客対応などを一人、あるいは少人数で抱えることが多く、時間管理が甘くなりやすいものです。しかし、忙しいという事情は、相手にとって理由にはなりません。約束を守れるかどうかは、経営者としての基本的な評価につながります。
やむを得ず遅れる場合でも、事前に連絡を入れるだけで印象は大きく変わります。連絡のない遅刻や返信の放置は、「この人に任せて大丈夫だろうか」という不信感につながります。小さな約束を丁寧に守ることが、長い信頼関係の土台になります。
4. わかりやすく丁寧に伝える
仕事では、正しい情報を、相手に伝わる形で届ける力が必要です。どれだけ熱意があっても、話が長い、要点が見えない、言葉があいまいという状態では、なかなか信頼にはつながりません。
ビジネスの場では、結論から話すこと、簡潔にまとめること、必要な情報を漏れなく伝えることが重要です。メールであれば件名を明確にする、本文は要点を整理する、返信期限があるならきちんと明記する。電話であれば、先に名乗って、用件を簡潔に伝える。こうした基本が、相手の負担を減らし、スムーズな対応につながります。
言葉遣いも大切です。フランクすぎる表現や、内輪の感覚でのやり取りは、相手との距離感を誤らせてしまいます。丁寧でわかりやすい表現を意識することが、信頼関係づくりにつながります。
5. 相手の立場で行動する
ビジネスマナーの最終的な原則は、相手の立場で考えることです。今この連絡は相手にとって見やすいだろうか、急ぎの用件を一方的に押しつけていないだろうか、相手が判断しやすい情報を出せているだろうか。こうした視点を持てる人は、自然とマナーのよい行動ができるようになります。
たとえば、訪問の時間帯に配慮する、資料を事前に送る、名刺交換の場で慌てないように準備しておく、相手の状況に応じて連絡手段を使い分ける。こうした行動はどれも大げさなものではありませんが、相手に「配慮のできる人だな」という印象を残します。
自分本位ではなく、相手が気持ちよくやり取りできる状態をつくること。これが、ビジネスマナーの本質です。
なぜこの五原則が、起業前後の人ほど重要なのか
ここまで見てきた五原則は、すべての社会人に必要なものです。ただ、起業を検討している方や起業したばかりの方にとっては、その重要性がさらに高まります。
会社員であれば、会社名や組織の信用に支えられる場面もあります。一方で起業初期は、自分自身の話し方、態度、対応スピード、準備の丁寧さが、そのまま会社の評価になります。つまり、経営者本人の印象が、信頼そのものになるのです。
起業すると、顧客、取引先、外注先、支援機関、金融機関など、さまざまな相手と新しい関係を築いていくことになります。そのときに見られているのは、事業内容だけではありません。この人は誠実だろうか、約束を守るだろうか、相談しやすいだろうか、安心して付き合えるだろうか。こうした要素が、仕事の進みやすさに大きく関わってきます。
起業したての人が見落としやすい“信頼づくり”のポイント
ここで大切なのは、ビジネスマナーだけ整っていれば十分というわけではない、ということです。実際には、信頼される経営者になるためには、マナーに加えて、説明力や準備力も必要になります。
たとえば、挨拶や言葉遣いが丁寧でも、事業内容の説明があいまいであれば、相手は不安になります。メールの文章が整っていても、何をしたい会社なのか、どんな強みがあるのかが伝わらなければ、商談や相談は前に進みにくくなります。
また、資金調達や創業準備の場面では、対応の印象だけでなく、計画の整理、数字の根拠、今後の見通しも見られます。つまり、起業初期の信頼づくりは、マナーと準備の両方がそろってはじめて強くなるのです。
ビジネスマナーとあわせて、創業準備で整えておきたいこと
起業前後の不安を減らすためには、ビジネスマナーの見直しとあわせて、創業準備全体を整理しておくことが大切です。たとえば、誰に何を提供する事業なのか、自社の強みは何か、どのくらいの資金が必要なのか、どのように売上をつくっていくのか。このあたりが整理されていると、相手への説明もぐっとわかりやすくなります。
とくに、資金調達を考えている場合は、創業計画書の内容や伝え方が重要になります。どれだけ誠実な態度であっても、計画が不十分だと不安を持たれやすくなります。逆に、基本的なマナーを押さえたうえで、事業計画や資金計画まで整理されていれば、相手からの評価は大きく変わります。
起業初期の不安は、早めに相談することで整理しやすくなる
起業前後は、やるべきことが多く、自分一人では優先順位をつけにくいものです。ビジネスマナーに不安がある方の多くは、実は創業計画や資金調達、対外的な説明の進め方にも迷いを抱えています。
そのため、早い段階で専門家に相談し、何をどの順番で整えるべきかを整理することが重要です。基本的な対外対応から、創業計画、資金調達の進め方まで、全体像が見えるだけでも、起業初期の動きやすさは大きく変わってきます。
まとめ
ビジネスマナーの五原則は、相手への敬意、身だしなみ、時間厳守、わかりやすい伝え方、相手視点の行動です。どれも基本的なことですが、起業前後の方にとっては、会社の信用をつくる大切な土台になります。
そして、起業初期に本当に必要なのは、マナーだけではなく、信頼されるための準備全体を整えることです。対外的な印象を整えながら、事業計画や資金計画も含めて土台をつくっていくことが、事業を前に進める大きな力になります。
創業準備や資金調達について相談したい方へ
起業初期は、ビジネスマナーのような基本的な信頼づくりに加えて、事業計画の整理や資金調達の準備も欠かせません。何から始めればよいかわからない方、創業計画書や資金調達に不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。専門家の視点で現状を整理し、次に取るべき一手を明確にするお手伝いをいたします。
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この記事を書いた人
嶋田大吉/Daikichi Shimada
中小企業診断士
行政書士法人V-Spirits 補助者
1997年宮崎生まれ。2016年宮崎県立佐土原高等学校卒業。
実家の家業である温泉・井戸の掘削や設備施工の仕事に従事した後、NPO法人の宮崎支部を設立し、被災地や貧困家庭の子どもたちにプレゼントを届ける活動を5年間行う。
その後、自身の経験から経営を体系的に学ぶ必要性を感じ、中小企業診断士の資格取得を志す。2023年に中小企業診断士資格を取得し、起業家や経営者の夢や想いの実現を支援したいとの思いからV-Spiritsに入社。
現在は、経済産業省系補助金支援、厚生労働省系助成金支援、起業相談などの業務に従事している。

この記事を監修した人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。




























