

この記事を書いた人:元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員。中小企業診断士 三浦高/Takashi Miura
ゲーム・アニメ・音楽会社の経営者向け|経産省「IP360補助金・新規IP企画支援」とは?最大7,000万円・補助率1/2を徹底解説
📌 この記事は次に当てはまる方向けです
- ゲーム・アニメ・音楽・実写コンテンツの制作実績がある 法人の経営者・プロデューサー
- 受注制作から脱し、自社発の新しいIPを立ち上げたいと考えている
- 将来的に海外市場への展開も視野に入れている
- プリプロダクション段階の資金を確保したい ※音楽ならプリプロダクション~プロモーションまで対象になる
→ 全部当てはまるなら、最大7,000万円・費用の半額が戻ってくる可能性がある。
「新しいIPを作りたい。でも、プリプロだけで数千万かかる。本制作が動く前にその判断費用が重い」——ゲーム会社やアニメスタジオの経営者なら、誰もが一度は通る問題だ。
その壁を半分に割ってくれる制度が、2026年から本格化している。経済産業省の「IP360補助金(コンテンツ産業成長投資支援事業)」のうち、メニュー2「IP新規創出支援(新規IP企画支援)」がそれだ。端的に言えば、海外展開を見据えた新規IP開発のプリプロ費用を、最大1億円・50%補助してくれる制度だ。予算規模は前年の3倍超・350億円を超えており、今が最大のチャンスといえる。
申請期限は2026年4月30日(第1回)と迫っているが、第2回公募(2026年6〜7月予定)もあるため、今から内容を理解しておくことが採択への近道になる。
IP360補助金とは——背景を30秒でつかむ
IP360の正式名称は「コンテンツ産業成長投資支援事業」。経済産業省が掲げるのは「2033年までに日本発コンテンツの海外売上を20兆円に拡大する」という目標で、その実現のための大型投資がこの補助金プログラムだ。
令和7年度補正予算で確保された金額は350億円超(前年比約3倍)。基金化されているため単年度で終わらず、複数年にわたって継続支援を受けられる。制作期間の長いゲームやアニメの会社にとっては、特に使いやすい仕組みといえる。
支援メニューは全9種類。新規IP立ち上げ・海外展開・大規模制作と、ステージや規模ごとに使い分けできる設計になっている。
| メニュー | 主な対象者 | 補助上限 | 補助率 |
|---|---|---|---|
| メニュー1:IP新規創出支援(スタートアップ支援) | 個人・法人格なし・新規参入チーム | 1,000万円 | 1/2 |
| メニュー2:IP新規創出支援(新規IP企画支援)★この記事 | 制作実績のある既存法人 | 7,000万円 | 1/2 |
| 海外展開支援(ローカライズ支援) | 海外展開を進める法人 | 4,000万円 | 1/2 |
| 大規模作品製作支援 | 大手・中堅コンテンツ法人 | 15〜30億円 | 1/2 |
メニュー2「新規IP企画支援」——使える会社・使えない会社
このメニューが想定しているのは「すでにコンテンツを作った実績があるが、海外向けのまったく新しいIPをゼロから立ち上げたい」という事業者だ。スタートアップや個人クリエイター向けのメニュー1とは明確に異なる。
当てはまる会社像はこんなところになる。すべてに共通するのは海外向けであること。
- ゲーム会社:タイトルのリリース実績があり、次は自社IPで新ジャンルや新プラットフォームに挑みたい。Vertical Slice(プレイアブルなデモ版)や試作フェーズの費用がかさむ局面で使いやすい。
- アニメ制作スタジオ:受注制作が中心だったが、オリジナルIPの企画開発に本腰を入れたい。企画書・シリーズ構成・パイロット版制作費が対象になる。
- 音楽レーベル・アーティストプロダクション:国内で実績のあるアーティストを海外へ。海外向けMV制作・海外ライブの開催まで幅広くカバーされる。
- 映像・実写制作会社:新作映画・ドラマのプリプロ段階から資金手当てをしたい。脚本・絵コンテ・キャスティング費用が対象だ。
重要なのは申請できるのは「国内法人」であること。個人事業主やフリーランスはメニュー2の対象外になる。その場合はメニュー1(スタートアップ支援・上限1,000万円・個人可)を確認してほしい。
対象コンテンツ分野
ゲーム・アニメ・音楽・実写の4分野。マンガや小説は単体では対象外だが、マンガ原作をアニメ化するための企画開発費であれば「アニメ」として申請できるケースがある。判断が難しい場合は公募要領の確認または専門家への相談をすすめる。
補助金の基本スペック
| 補助上限額 | 音楽:最大7,000万円 ゲーム・アニメ・実写:最大2千万円(1事業者・1プロジェクトあたり) |
|---|---|
| 補助率 | 1/2(50%) |
| 支払方式 | 後払い(実績払い・精算払い) |
| 事業実施期間 | 交付決定日〜2027年2月ごろ |
補助率1/2というのは、2億円規模のプリプロジェクトなら7,000万円が後から戻ってくる計算だ。後払いが基本なので先に自己資金を動かす必要があるが、「プリプロの資金リスクを半分に抑えながら新IPを走らせる」という使い方ができる。手元資金の流れは事前に経理や顧問税理士と整理しておきたい。
分野別・対象経費の内訳
対象になる経費は分野によって異なる。音楽だけは海外向け制作全般(プリプロ〜プロモーション)まで幅広い構成になっている点が特徴的だ。
| 分野 | 対象経費(主なもの) |
|---|---|
| ゲーム | プリプロダクション(コンセプト設計・試作・Vertical Slice制作など) |
| アニメ | プリプロダクション(企画書・シリーズ構成・キャラクターデザイン・パイロット版制作など) |
| 実写 | プリプロダクション(脚本・絵コンテ・キャスティング・ロケハンなど) |
| 音楽 | 海外向けMV制作・海外ライブ開催費(プリプロ〜ポストプロ・ローカライズ・プロモーション含む) |
ゲーム・アニメ・実写の3分野はプリプロまでが対象で、本制作の費用はカバーされない。本制作の規模が大きい場合は「大規模作品製作支援(上限15〜30億円)」を並行して検討する余地がある。
審査で実際に見られること
採択されるかどうかは、書類の出来以上に「中身の説得力」で決まる。元審査員として多くの申請書類を見てきた経験からいえば、評価が割れるのは次の4つのポイントだ。
①制作実績とチームの専門性
どんな作品を、どのスケールで、どんな布陣で作ってきたか——これが審査の出発点になる。外部クリエイターを起用する場合も、そのクリエイターの代表作・実績を具体的に記載することが求められる。「チームが組める」ことを客観的に証明できるかどうかが鍵だ。
②海外展開計画の具体性
この補助金は「日本のコンテンツを世界に出す」ことが根本の趣旨だ。「いずれ海外も考えています」という曖昧な記載では評価されない。どの市場・どのパートナー・どのタイムラインで——ここまで落とし込めているほうが審査では明らかに有利になる。海外パートナーとの覚書や市場調査データがあれば積極的に盛り込みたい。
③権利設計と収益参加の構造
製作委員会方式での申請も可能だが、申請主体がどの割合で権利を保有し、収益にどう参加するかを明示する必要がある。権利の持ち分が薄すぎると「なぜこの法人が申請主体なのか」という疑問につながる。権利設計は申請前に整理しておくべき最重要項目のひとつだ。
④IPとしての新規性・挑戦性
続編・リマスター・スピンオフより、まったく新しいIPのほうが評価されやすい。「なぜ今、このIPが市場に必要なのか」を数字や競合分析を交えて語れるかどうかが、他の申請案件との差になる。
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申請スケジュールと手順
2026年度・公募スケジュール(目安)
| 公募開始 | 2026年3月末(一部メニューは開始済み) |
|---|---|
| 第1回締切 | 2026年4月30日(木)17:00 |
| 第1回採択発表 | 2026年5月下旬ごろ |
| 第2回公募(予定) | 2026年6月末〜7月下旬ごろ |
| 第2回採択発表(予定) | 2026年8月下旬ごろ |
| 事業実施期間 | 交付決定日〜2027年2月ごろ |
申請の流れ
- GビズIDプライムを取得する——申請はjGrants(電子申請システム)経由で行う。法人代表者のGビズIDプライムが必須で、発行まで最大2週間かかることがある。まだ持っていない場合は今すぐ手続きを始めること。
- 公募要領を読む——経済産業省または執行団体のサイトに掲載される最新版を必ず確認する。対象経費の解釈は年度・メニューによって変わる。
- 事業計画書を作る——企画概要、市場分析、海外展開計画、権利設計、収支計画が主な構成要素。過去の制作実績資料と財務諸表もセットで必要になる。
- jGrantsでオンライン提出する——締切直前はアクセスが集中することが多い。余裕を持ったスケジュールで動くこと。
- 採択後に交付申請を行う——採択=補助金確定ではない。採択通知後に正式な交付申請を経て、交付決定が下りてから事業がスタートできる。
よくある質問
制作実績の規模感はどれくらい求められますか?
公募要領に具体的な数値基準は示されていないが、審査では「実績の質と専門性」が問われる。規模の小さい会社でも、インディーゲームの受賞実績や短編アニメの完成実績を丁寧に説明できれば十分に審査を通過できる。「小さいから無理」とあきらめる前に、一度実績の棚卸しをしてみてほしい。
ゲームのプリプロ費用として認められる経費は何ですか?
コンセプトアートの制作委託費、ゲームエンジン上でのプロトタイプ開発費、世界観・シナリオの外部委託費、Vertical Slice(プレイアブルなデモ版)の開発費などが含まれる。本制作(フルプロダクション)の費用は対象外になるため、工程を区切った予算設計が求められる。
製作委員会に参加しているが申請できますか?
できる。ただし申請主体として十分な権利持ち分と収益参加を確保していることが条件になる。委員会内での役割と権利構造を申請書類に明確に記載すること。権利設計に不安がある場合は申請前に専門家に確認することをすすめる。
他の補助金と重複して申請できますか?
同一の対象経費への二重補助は認められない。一方、対象経費が重複しなければ複数の制度を並行して活用できるケースもある。判断が難しい場合は申請前に問い合わせ窓口に確認するのが確実だ。
個人事業主ですが申請できますか?
メニュー2は国内法人が対象のため申請できない。個人・法人格なしで申請したい場合はメニュー1(スタートアップ支援・上限1,000万円)を確認してほしい。メニュー1は個人でも申請可能だ。
まとめ
IP360補助金「新規IP企画支援(メニュー2)」は、ゲーム・アニメ・音楽・実写の制作実績がある事業者が、海外展開を見据えた新しいIPを企画段階から動かすためのプリプロ費用を、最大7,000万円・50%補助してもらえる制度だ。
審査で問われるのは、制作実績の質、海外展開計画の具体性、権利設計の明確さ、IPとしての新規性の4点。「とりあえず出してみる」では採択されないが、この4点を丁寧に積み上げられれば規模の小さい会社でも十分に勝負できる。
第1回締切(2026年4月30日)まで時間は少ない。今すぐ動けることは、GビズIDプライムの取得手続きを始めること、公募要領をダウンロードして要件を自社に照らすこと、この2つだ。第1回を逃しても第2回公募(2026年6〜7月予定)がある。次の申請に備えて、今から準備を進めておくことをすすめる。
補助金の活用を最短で進めたいゲーム・アニメ・音楽会社の経営者の方へ(行政書士法人V-Spirits)
IP360補助金は「対象の正確な判定」と「事業計画書の作り込み」で採択確率が大きく変わります。自社の企画が本当にメニュー2に当てはまるのか、事業計画書のどこを強化すれば審査を通りやすくなるのか——この2点の見極めが最初の分岐点です。
弊社では、元補助金審査員の三浦を中心とした専門家チームが以下のサポートを行っています。
- 自社が対象かどうかの要件チェック
- メニュー選定(目的・投資内容に合う候補の整理)
- 事業計画書の骨子作成・ブラッシュアップ
- 申請準備〜実績報告までの伴走支援(必要に応じて)
まずは現状と投資内容をヒアリングのうえ、活用可能性を整理します。初回相談は無料ですので、お気軽にご連絡ください。
【無料相談のご案内】
フリーダイヤル:0120-335-523
お問い合わせフォーム:https://v-spirits.com/contacts

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、1級販売士、宅地建物取引主任者、融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者/産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数300件超。融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

この記事を監修した人
中野裕哲/Hiroaki Nakano
起業コンサルタント®、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、CFP®、1級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論・ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者を応援。「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。補助金・助成金支援実績600件超。
本記事の情報は2026年4月時点のものです。補助内容・スケジュール・要件は変更される場合があります。最新情報は必ず下記の公式サイトでご確認ください。
参考:コンテンツ産業支援メニュー(経済産業省) / 令和7年度補正予算 コンテンツ産業成長投資支援事業費補助金(IP新規創出支援)公募情報(経済産業省)




























