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コラム

ものづくり補助金に落ちた後の再申請戦略

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ものづくり補助金に申請したものの、不採択の通知を受けて「なぜ落ちたのか」「再申請はできるのか」と不安を感じている方は少なくありません。

結論から言えば、ものづくり補助金は何度でも再申請が可能です。不採択になったこと自体にペナルティはなく、申請内容を改善して次の公募に再チャレンジできます。

ただし、同じ内容をそのまま出しても結果は変わりません。採択率を上げるには、不採択の原因を特定し、審査項目に沿った改善を行うことが不可欠です。

この記事では、ものづくり補助金に落ちた後にまず確認すべきことから、よくある不採択理由、再申請で採択率を高める具体的な改善策までを解説します。

ものづくり補助金に落ちたらまず確認すべきこと

不採択の結果に落胆するのは自然なことですが、再申請に向けて動き出すなら、まず「なぜ落ちたか」を正確に把握することが最優先です。

不採択通知後に事務局へ理由を問い合わせる

補助金によっては、不採択となった場合に事務局へ電話で不採択理由を問い合わせることができます。事務局からは審査における指摘事項や、評価が低かった項目について、ある程度の情報を教えてもらえます。

問い合わせの際は、以下の点を準備しておくとスムーズです。

  • 申請番号と事業者名
  • 申請した公募回次
  • 特にどの審査項目について評価を知りたいか

事務局からの回答は、再申請時の改善ポイントを特定するうえで最も確実な手段です。「なんとなく書き直す」のではなく、指摘された課題に的確に対応することで、再チャレンジの採択率は大きく上がります。

審査項目と自社の申請書を照らし合わせる

ものづくり補助金の審査は、主に以下の3つの観点で評価されます。

  • 技術面:自社の取り組みに革新性や独自性があるか
  • 事業化面:事業計画の実現可能性、市場ニーズへの対応、収益見通しは妥当か
  • 政策面:国の政策目的(生産性向上・賃上げなど)に合致しているか

不採択の申請書を読み返し、各審査項目について「十分に書けているか」「具体的な根拠を示せているか」をチェックしてください。審査員は短時間で多数の申請書を評価するため、ポイントが明確に伝わらない記載は評価されにくい傾向があります。

ものづくり補助金で不採択になる主な理由

専門家の分析によると、不採択になりやすい申請書にはいくつかの共通パターンがあります。

革新性が審査員に伝わっていない

ものづくり補助金は「革新的な製品・サービスの開発」や「生産プロセスの改善」を支援する制度です。単なる老朽設備の入れ替えや、業界では一般的な技術の導入だけでは、革新性の要件を満たしません。

審査員に革新性を伝えるには、「従来の方法と何が違うのか」「導入によって何がどう変わるのか」を、具体的な数値や比較で示す必要があります。「最新設備を導入する」だけでは不十分で、その設備でしかできない工程や、従来比での生産性向上率などを明記しましょう。

事業計画の収支予測に根拠が不足している

「売上が〇%伸びる」「利益率が改善する」と記載していても、その数字の裏付けが不明確だと審査では低評価になります。

改善のポイントは次のとおりです。

  • 市場調査データや受注実績など、客観的な根拠を添える
  • 売上予測は「単価×数量×稼働日数」のように計算過程を明示する
  • 楽観的すぎる数値を避け、保守的な見積もりと中間シナリオの両方を提示する

設備投資と事業目的のつながりが弱い

補助金で購入する設備と、申請書に記載した事業目的との間に論理的なつながりがないケースは、不採択の典型的な原因です。

「なぜこの設備でなければならないのか」「他の選択肢ではなぜだめなのか」まで踏み込んで説明することで、審査員の納得感が得られます。設備の仕様・価格・選定理由の三点セットは必ず記載してください。

補助対象経費の整理に不備がある

補助対象外の経費が混在していたり、経費区分の振り分けが不適切だったりすると、申請自体の信頼性が損なわれます。公募要領に記載された補助対象経費の要件を丁寧に確認し、見積書との整合性をとりましょう。

なお、PCやタブレットなどの汎用品は原則として補助対象になりません。対象経費に含めてしまう事例は意外と多いため、注意が必要です。

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再申請で採択率を上げる具体策

原因を特定したら、次は具体的な改善に取り組みます。以下の3つの方向から対策を進めると効果的です。

不採択理由を踏まえた事業計画書の見直し方

事務局から得た情報をもとに、指摘が多かった項目を重点的に書き直します。見直しの際に意識すべきポイントを整理します。

  • 審査項目(技術面・事業化面・政策面)のすべてに漏れなく対応する
  • 抽象的な表現を排除し、数値・データ・事例で裏付ける
  • 図表を活用して、文章だけでは伝わりにくい内容を視覚化する
  • 他社との差別化ポイントを冒頭で明確にする

第三者に申請書を読んでもらうことも有効です。自社では当たり前だと思っている技術的な優位性が、外部から見ると伝わっていないケースは少なくありません。

加点項目を積極的に取得する

ものづくり補助金には、基本の審査項目に加えて複数の加点項目が設定されています。加点項目の有無は採択率に大きく影響し、加点が0個の場合の採択率は約41%にとどまる一方、4個取得すると約87%まで上昇するというデータもあります。

主な加点項目には以下のものがあります。

  • 経営革新計画の承認
  • 事業継続力強化計画の認定
  • 賃上げ加点(給与支給総額の増加率を一定以上に設定)
  • 被災事業者加点

特に「経営革新計画」と「事業継続力強化計画」は、事前に行政への申請・承認が必要なため、次回の公募締切から逆算して早めに準備を始めてください。承認までに1〜2か月かかることもあります。

認定支援機関の力を借りる

ものづくり補助金の申請には、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の確認書が必要です。認定支援機関は確認書の発行にとどまらず、事業計画のブラッシュアップや申請書の添削まで支援してくれる場合があります。

再申請の際は、補助金申請の実績が豊富な支援機関を選ぶことが特に重要です。採択実績や支援件数を確認し、自社の業種・規模に合った支援機関に相談しましょう。支援機関によって得意な分野や対応の丁寧さは異なるため、複数を比較検討するのがおすすめです。

ものづくり補助金以外の選択肢も検討する

再申請を進めながら、他の補助金制度も視野に入れることで、資金調達の可能性を広げられます。

他の補助金制度への切り替え

事業内容によっては、ものづくり補助金よりも自社に合った制度がある場合があります。

  • 小規模事業者持続化補助金:従業員数が少ない事業者向けで、申請のハードルが比較的低い。補助上限は通常枠で50万円、特別枠で最大200万円
  • 各自治体の独自補助金:都道府県や市区町村が独自に設けている設備投資補助制度。ものづくり補助金よりも競争率が低い場合がある
  • IT導入補助金以外のデジタル化支援:業種特化型の補助金や、商工会議所経由の支援制度も選択肢になり得る

再挑戦と他制度の併願を並行する

ものづくり補助金の再申請と、他の補助金の申請を同時並行で進めること自体は可能です。ただし、同一の設備投資に対して複数の補助金を重複受給することはできないため、採択された場合はどちらか一方を選択する必要があります。

補助金制度は年度ごとに内容が変更されることが多いため、申請前に必ず最新の公募要領を確認してください。2026年度からはものづくり補助金と新事業進出補助金の統合が予定されており、枠組みが変わる可能性があります。最新情報は中小企業庁や補助金事務局の公式サイトで確認しましょう。

まとめ

ものづくり補助金に落ちても、再申請にはペナルティがなく、改善した内容で何度でもチャレンジできます。再申請で採択率を上げるためのポイントを整理します。

  • まず事務局に不採択理由を問い合わせ、改善すべき項目を特定する
  • 審査項目(技術面・事業化面・政策面)に漏れなく対応し、数値とデータで裏付ける
  • 加点項目を積極的に取得し、採択率を底上げする
  • 認定支援機関の支援を活用して申請書の完成度を高める
  • ものづくり補助金にこだわらず、他の補助金制度も並行して検討する

不採択は「不合格」ではなく、改善のためのフィードバックです。指摘事項を丁寧に反映させて再申請すれば、採択の可能性は十分にあります。専門家のサポートも活用しながら、次の公募に向けた準備を進めてみてください。

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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

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