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コラム

創業融資 自己資金なしで申請して落ちる人の共通点と回避策

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創業融資 自己資金なしで申請して落ちる人の共通点と回避策

「自己資金がほとんどないけれど、創業融資は受けられるのだろうか」――起業を考える多くの方が最初にぶつかる不安です。結論からいえば、自己資金なしでも創業融資の申請自体は可能です。ただし、準備不足のまま申請して審査で落ちてしまう人が一定数いるのも事実です。

この記事では、これから開業する個人事業主や中小企業の方に向けて、自己資金なしで創業融資に落ちる人の共通点と、審査を通過するための具体的な回避策をわかりやすく整理します。なお、融資制度の内容は変わりやすいため、本記事は執筆時点(2026年6月)の情報をもとにしています。

創業融資で「自己資金なし」は本当に不利なのか

2024年に自己資金要件は撤廃された

かつて日本政策金融公庫の「新創業融資制度」では、創業時に「融資希望額の10分の1以上の自己資金」を用意することが要件とされていました。しかしこの制度は2024年3月末で廃止され、現在は「新規開業・スタートアップ支援資金」に一本化されています。新制度では、申込要件として自己資金の割合は定められていません。

つまり、制度上は自己資金がゼロでも申請できるようになりました。「自己資金が1割ないから申し込めない」という時代ではなくなった、という点はまず押さえておきましょう。

それでも審査では自己資金が見られる理由

要件から外れたとはいえ、自己資金が審査でまったく見られなくなったわけではありません。むしろ実務上は、審査の重要な判断材料として今も重視されています。理由は大きく2つです。

  • 計画性の証明になるから:開業に向けてコツコツ貯めてきた自己資金は、「この人は計画的にお金を準備できる人だ」という信用の裏づけになります。
  • 返済余力の裏づけになるから:自己資金が多いほど借入額を抑えられ、毎月の返済負担も軽くなります。公庫側も貸し倒れリスクを下げられるため、評価が上がりやすくなります。

実際、実務では融資希望額の3分の1程度の自己資金がある方のほうが、審査の通過率が高い傾向にあります。「要件はないが、あったほうが有利」――これが自己資金の正しい理解です。

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弊社では、元日本政策金融公庫支店長の多胡や元信用金庫法人営業の小峰を中心とした専門家チームが、幅広い融資を含む資金調達支援・起業支援・経営支援を行っております。「何から始めればいいかわからない」という段階でもお気軽にご相談ください。

自己資金なしで申請して落ちる人の共通点

自己資金が少ない・ない状態で審査に落ちてしまう人には、いくつかの典型的なパターンがあります。自分が当てはまっていないか確認してみましょう。

共通点1:いわゆる「見せ金」を用意している

審査直前に親族などから一時的にお金を借り、自分の口座に入金して自己資金があるように見せかける――これがいわゆる「見せ金」です。公庫は通帳の入出金履歴を必ず確認するため、突然まとまった金額が入金されていればすぐに見抜かれます。見せ金が発覚すると信用を大きく損ない、否決につながることもあります。

共通点2:お金の出どころを説明できない

自己資金として申告した預金について、「どうやって貯めたのか」を説明できないケースです。タンス預金を直前に入金した場合なども、出どころが不明だと自己資金として認めてもらえないことがあります。お金の流れに一貫した説明がつくかどうかが見られます。

共通点3:事業計画の数字が甘い

自己資金が少ないほど、事業計画書の説得力で補う必要があります。にもかかわらず、売上予測が根拠なく強気だったり、必要な開業資金や運転資金の見積もりが曖昧だったりすると、「返済できる根拠が乏しい」と判断され落ちやすくなります。

共通点4:経験・準備の裏づけが乏しい

これから始める事業に関する実務経験が少なく、開業準備(店舗の選定、仕入先の確保、許認可など)も進んでいない場合、自己資金の少なさを補う材料がなく、評価が伸び悩みます。「お金がない」だけでなく「準備もない」状態が重なると、審査は一気に厳しくなります。

自己資金なしでも審査を通すための回避策

回避策1:貯めてきた履歴を「見える化」する

毎月一定額をコツコツ積み立ててきた通帳があれば、それ自体が強力な信用材料になります。これから準備する方も、給与口座とは別に「開業準備用の口座」を作り、計画的に積み立てた履歴を残しておきましょう。一度にまとめて入れるより、時間をかけた積立のほうが評価されます。

回避策2:「みなし自己資金」を活用する

すでに開業準備で支払った費用(保証金、内装工事の手付金、設備の購入費など)は、領収書や契約書で証明できれば「みなし自己資金」として自己資金に準じて評価されることがあります。開業に向けて使ったお金は、証拠書類を必ず保管しておきましょう。

回避策3:自己資金以外の評価ポイントを固める

自己資金が弱い分は、ほかの評価項目で補います。具体的には、同業種での実務経験、現実的で根拠のある事業計画書、開業準備の進捗(物件・許認可・取引先の確保)などです。とくに事業計画書は、売上の根拠と返済計画を数字でていねいに示すことが重要です。

回避策4:制度や相談先を上手に組み合わせる

自治体の制度融資(信用保証協会付き)や、家族からの贈与(返済不要のお金として整理する)など、使える選択肢は複数あります。どの制度が自分に合うか、申請前に専門家に相談しておくと、無理のない資金計画を立てやすくなります。

よくある質問(FAQ)

Q. 自己資金が完全にゼロでも融資は受けられますか?
A. 制度上は申請可能です。ただし実務では不利になりやすいため、少額でも自己資金を用意するか、みなし自己資金や事業計画で補強することをおすすめします。

Q. 親からもらったお金は自己資金になりますか?
A. 「借入」ではなく「贈与」として整理できれば、自己資金として扱える場合があります。返済義務のある借入は自己資金には含められません。

Q. 自己資金はいくらあれば安心ですか?
A. 明確な基準はありませんが、実務上は融資希望額の3分の1程度を一つの目安にすると、審査で評価されやすい傾向があります。

まとめ

創業融資は、2024年の制度改正により自己資金要件が撤廃され、自己資金なしでも申請できるようになりました。とはいえ、自己資金は今も審査の重要な判断材料です。落ちる人には「見せ金」「出どころ不明」「計画が甘い」「準備不足」といった共通点があります。

逆にいえば、貯めてきた履歴の見える化、みなし自己資金の活用、事業計画書の作り込みといった対策で、自己資金の少なさは十分に補えます。自分のケースでどこを強化すべきか迷ったら、早めに専門家へ相談し、勝てる準備を整えてから申請することが、創業融資を成功させる近道です。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

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