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コラム

ものづくり補助金 食品製造業の活用事例:包装機・殺菌設備の導入

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ものづくり補助金 食品製造業の活用事例:包装機・殺菌設備の導入

食品製造業では、人手不足や衛生管理基準の厳格化、原材料費の高騰が同時に押し寄せ、設備投資の必要性を感じながらも資金面で踏み切れない事業者が少なくありません。こうした設備投資の負担を軽くする選択肢のひとつが、国の補助金です。これまで「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」がそれぞれ別に運用されてきましたが、2026年度からは、この2つが統合され、「新事業進出・ものづくり補助金」という新しい制度として実施される見通しです。この記事では、まず新制度の全体像を整理したうえで、食品製造業が包装機や殺菌設備を導入する際の活用イメージと申請のポイントを、補助金の目的別に、起業直後の小規模事業者にもわかりやすく解説します。

2026年度からの新制度「新事業進出・ものづくり補助金」とは

これまで、中小企業・小規模事業者の設備投資や新規事業への挑戦を支える補助金として、「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」がそれぞれ別の制度として運用されてきました。2026年度からは、この2つが「新事業進出・ものづくり補助金」として統合・再編される方向で進められています。従来それぞれの制度で行われてきた公募は順次最終回を迎え、統合後の新制度の公募要領は2026年内に公開される見通しです。

統合といっても、制度の基本的な考え方が大きく変わるわけではありません。「既存事業の生産性を高める投資」(従来のものづくり補助金が担ってきた領域)と、「新しい事業分野へ進出する投資」(新事業進出補助金が担ってきた領域)という2つの方向性は、新制度にも引き継がれる見込みです。補助上限額や補助率、対象経費の範囲などには見直しが入るとされており、金額や枠組みは今後の公表内容で固まります。申請を検討する際は、必ず最新の公式公募要領で確認してください。食品製造業は機械装置への投資が中心になりやすい設備産業であり、いずれの方向性とも相性の良い業種です。

新制度の2つの方向性と食品製造業での位置づけ

新制度を食品製造業に当てはめると、投資の目的によって使い方が分かれます。

  • 革新的なサービス展開に向けた投資(従来のものづくり補助金の領域):包装機や殺菌設備などを導入し、既存の食品製造の生産性・品質を高める投資。
  • 新分野進出の投資(従来の新事業進出補助金の領域):常温流通できる新商品の開発・通販事業への展開、OEM受託や新しい商品ジャンルへの進出など、新しい事業分野への挑戦。

多くの食品製造業では、まず包装・殺菌工程の効率化や品質向上(生産性向上)が課題になります。一方で、新しい商品分野や販路への展開を考えている場合は、新分野進出の方向性が選択肢になります。

補助の対象と「革新性」の考え方(食品製造業の視点)

補助の対象になるのは、機械装置・システム構築費を中心とした設備投資です。補助率や補助上限額は申請する枠や従業員規模によって変わり、賃上げに取り組む場合は上限額が上乗せされる仕組みもあります。金額・要件は新制度の公募要領で確定するため、申請前に必ず最新の公募要領で確認してください。

注意したいのは、単なる古い機械の「買い替え」や、汎用パソコンのような一般的な備品は対象になりにくい点です。あくまで「生産性が大きく向上する」「これまでできなかったことが可能になる」という革新性が問われます。食品製造業の場合、この革新性を包装工程や殺菌・衛生工程の高度化、あるいは新しい商品分野への進出で示しやすいことが強みになります。

各補助金(新制度の各方向性)での活用事例:包装機・殺菌設備

食品製造業での活用イメージを、新制度の2つの方向性に分けて紹介します。

生産性向上の投資としての活用(ものづくり補助金の領域)

活用事例①:自動包装機・真空包装機の導入

食品製造業で導入ニーズが高いのが包装機です。手作業で行っていた計量・充填・袋詰め・シールの工程を自動包装機に置き換えることで、生産能力が大きく上がり、人手不足の緩和にもつながります。

  • 自動充填・包装ライン:惣菜やレトルト食品の充填からシールまでを自動化し、1人あたりの生産量を引き上げる
  • 真空包装機・ガス置換包装機:賞味期限の延長や品質保持により、販路拡大や食品ロス削減につなげる
  • 計量機能付き包装機:内容量のばらつきを抑え、表示違反のリスクを下げながら歩留まりを改善する

申請にあたっては、「導入によって何時間の作業が削減され、生産量がどれだけ増えるのか」を数値で示すことが重要です。たとえば「手作業1日200パック→自動化後1日600パック」のように、付加価値額の向上につながるストーリーを事業計画書で明確にします。

活用事例②:殺菌設備・加熱殺菌機の導入

食品の安全性を左右する殺菌・加熱工程も、補助の対象になりやすい領域です。HACCP(ハサップ)の制度化により衛生管理の水準が引き上げられたこともあり、殺菌設備への投資は「品質向上」と「生産性向上」を両立しやすいテーマです。

  • レトルト殺菌装置・加圧加熱殺菌機:常温流通可能な商品開発を可能にし、新たな販路や通販対応につなげる
  • 連続式加熱殺菌機:バッチ処理から連続処理に切り替え、処理能力と省人化を同時に実現する
  • 急速冷却・殺菌一体型設備:殺菌後の冷却までを一気通貫で行い、菌の繁殖リスクを抑えつつ作業時間を短縮する

殺菌設備は「これまで外注していた工程の内製化」や「これまで作れなかった日持ちする商品の開発」といった、事業の幅を広げる投資として位置づけると、革新性を説明しやすくなります。

新分野進出の投資としての活用(新事業進出補助金の領域)

既存商品の製造にとどまらず、常温流通できる新商品の開発と通販事業への進出、これまで扱っていなかった商品ジャンルやOEM受託など、新しい事業分野へ踏み出す場合は、新分野進出の投資として計画できます。たとえば、店頭販売中心だった惣菜店が、レトルト殺菌設備を導入して常温流通商品を開発し、ECや全国卸という新しい販路に進出するケースです。新たな設備投資を、新しい収益の柱をつくる取り組みとして描けます。

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食品製造業ならではの申請のポイント

1. 衛生・品質の向上を「生産性」に結びつける

食品製造業の投資は衛生面の動機が強くなりがちですが、補助金は生産性向上を評価します(新制度でもこの考え方は引き継がれる見込みです)。「衛生管理が向上する」だけで終わらせず、「不良率の低下」「歩留まり改善」「クレーム対応工数の削減」など、付加価値額や利益につながる説明に落とし込みましょう。

2. 食品表示・許認可との整合性を確認する

新設備で新商品を作る場合、食品衛生法上の営業許可や食品表示のルールに適合している必要があります。設備投資と並行して、保健所への確認や表示設計も進めておくと、採択後の事業計画がスムーズに進みます。

3. 対象経費の線引きを誤らない

機械装置・システム構築費は対象になりやすい一方、汎用的な事務用品や車両、土地・建物の取得などは原則対象外です。設備本体に付随する設置工事費や運搬費がどこまで含まれるかは公募回ごとに異なるため、見積書の段階で対象経費を切り分けておくことが大切です。

申請から導入までの大まかな流れ

  • ①公募要領の確認:申請する枠・補助率・上限額・賃上げ要件を新制度の最新の公募要領で確認する
  • ②GビズIDの取得:電子申請に必要なGビズIDプライムを早めに取得しておく
  • ③事業計画書の作成:導入設備による生産性向上・付加価値額の伸びを数値で示す(新分野進出なら新事業の市場性も示す)
  • ④電子申請・審査:必要書類をそろえて申請し、採択発表を待つ
  • ⑤交付申請・設備導入:採択後に交付決定を受けてから発注・導入する(交付決定前の発注は対象外になりやすい)
  • ⑥実績報告・補助金受給:導入完了後に実績報告を行い、確定後に補助金が支払われる

補助金は原則として「精算払い(後払い)」です。設備代金はいったん自己資金や融資で立て替える必要があるため、導入時期の資金繰りも合わせて計画しておきましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 中古の包装機でも対象になりますか?

公募回によって中古設備の取り扱いは異なります。対象となる場合でも、相見積もりなど追加の要件が求められることが多いため、原則は新規設備で計画し、中古を検討する場合は公募要領を必ず確認してください。

Q. 小規模な食品工場や個人事業でも申請できますか?

中小企業・小規模事業者であれば、法人・個人事業を問わず申請対象になり得ます。むしろ小規模事業者向けの補助率優遇が用意されている場合もあるため、規模が小さいことが不利になるとは限りません。

Q. 生産性向上と新分野進出はどう使い分けますか?

既存の食品製造の効率化・品質向上なら生産性向上(従来のものづくり補助金の領域)、新商品分野や新販路への進出なら新分野進出(新事業進出補助金の領域)が基本です。新制度では投資の目的に応じて申請する枠が分かれる見込みで、同じ経費を重複して申請することはできません。

Q. 補助金と融資は併用できますか?

併用は可能です。補助金は後払いのため、設備導入時の立替資金として日本政策金融公庫などの融資を組み合わせるケースは多くあります。資金繰り全体を見ながら設計するとよいでしょう。

まとめ

2026年度からは、「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」が「新事業進出・ものづくり補助金」として統合・再編される見通しです。ただし、「既存事業の生産性向上」と「新しい事業分野への進出」という2つの方向性は引き継がれる見込みで、食品製造業では、包装機・殺菌設備による生産性向上の投資、常温流通商品・通販・OEMなど新しい事業分野への進出は新分野進出の投資、と整理できます。ポイントは、衛生・品質の向上を「生産性向上」「付加価値額の増加」という補助金が評価する軸に翻訳し、数値で示すことです(新分野進出なら新事業の市場性と収益化の道筋も描きます)。一方で、対象経費の線引きや交付決定前発注の禁止、後払いに伴う資金繰りなど、つまずきやすい点もあります。申請を検討する際は、最新の公募要領を確認したうえで、補助金に詳しい専門家に早めに相談することをおすすめします。

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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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