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コラム

ものづくり補助金は薬局の新規事業に使える?対象条件と落とし穴を解説

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薬局の新規事業は補助金対象になる?新事業進出枠の判断基準を解説

調剤報酬の伸び悩みを背景に、在宅医療への参入やOTC・物販の強化など「新しい収益の柱」を模索する薬局が増えています。その資金計画で候補に挙がりやすいのが、2026年度から「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」に統合された制度です。ただし、この補助金は「新しいことを始めれば何でも対象になる」わけではなく、対象となる「新事業」には明確な判断基準があります。

この記事では、数年経営を続けてきた薬局の経営者に向けて、新事業進出枠の対象になる考え方と、対象外になりやすい落とし穴、薬局が検討しやすい新事業の類型を整理します。数字・要件は2026年6月29日公表の公募要領1.0版にもとづく執筆時点の情報のため、実際の申請では必ず最新の公式情報をご確認ください。

2026年度の補助金体系|「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」とは

従来「ものづくり補助金」「新事業進出補助金」として別々に案内されていた制度は、2026年度(令和8年度)に統合され、正式名称「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」となりました。この補助金には複数の申請枠があり、薬局の新規事業検討で軸になるのは、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援する「新事業進出枠」です。新商品開発や既存業態の改良が主軸であれば「革新的新製品・サービス枠」の方が自然なケースもあり、どちらの枠が合うかは事業内容によって変わります。
過去の補助金では公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬を受ける事業は対象外でした。
ただ、この補助金に統合されてからは公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬を受ける事業であっても対象となることが明文化されています。今まで使えなかったからこそ今がチャンスです。申請の際には新事業の定義をしっかりと確認して補助対象となる事業計画を考えていく必要があります。

対象になる「新事業」の判断基準

新事業進出枠で最も見落とされやすいのが、「新事業」の定義です。公募要領上、対象になるには、新たに製造・提供するサービス等が申請者にとって新規性を有し、かつその市場が申請者にとって新たな市場である必要があります。ここでいう新規性は「日本初・世界初」ではなく、あくまで「その薬局にとって新しいかどうか」で判断される点がポイントです。

審査では、「新市場性」(社会的に普及・認知度がまだ低い分野への進出)または「高付加価値性」(同じ分野の中で高水準の高付加価値化・高価格化を実現する)のいずれかで、新事業として筋が通っているかが問われます。単に「新しいことをやりたい」という説明だけでは弱く、既存の調剤事業と何がどう違うのかを数字と根拠で示せるかが採否を分けます。

対象外になりやすいパターン

  • 既存の調剤事業と同一市場のまま、取扱品目やメニューを増やすだけの計画
  • 単なる法改正対応や既存業務の効率化にとどまり、新市場・新分野への進出とはいえない計画
  • 商圏(出店エリア)が違うだけで、事業内容自体は既存の調剤薬局と変わらない計画
  • 開業・法人設立から1年に満たない事業者(最低1期分の決算書が必要とされているため対象外)

特に、保険調剤の範囲内でのサービス拡充(受け付ける処方箋の科目を広げる、対応時間を延ばすなど)は、既存事業の延長とみなされやすく、新事業進出枠の対象として説明するのが難しい領域です。「新しい収益源」であることを、既存の調剤報酬モデルと切り離して説明できるかを、企画の入り口で確認しておく必要があります。

薬局が検討しやすい新事業の類型

薬局からの新事業進出枠の活用でイメージしやすいのは、次のような方向性です。いずれも「調剤報酬に依存しない収益源をどうつくるか」という発想が土台になります。

  • 在宅医療への参入:訪問薬剤管理指導など、これまで対応してこなかった在宅領域への新規参入
  • 健康サポート薬局化・OTC強化:一般用医薬品やセルフメディケーション関連商品の取り扱いを本格的な事業の柱として立ち上げる
  • 物販・健康相談などの多角化:健康食品・介護用品の物販、栄養相談やフレイル予防など、調剤とは別の相談・販売事業

これらはあくまで方向性の例であり、実際に対象になるかどうかは、その薬局にとって本当に新しい市場・新しい価値提供といえるか、事業計画の中でどう説明するかにかかっています。

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補助上限・補助率・基本要件

新事業進出枠の補助上限は、従業員規模によって異なります(大幅賃上げ特例適用時はさらに上限が拡大します)。

  • 1〜20人:最大2,500万円(大幅賃上げ特例時 最大3,000万円)
  • 21〜50人:最大4,000万円(同 最大5,000万円)
  • 51〜100人:最大5,500万円(同 最大7,000万円)
  • 101人以上:最大7,000万円(同 最大9,000万円)

補助下限は750万円、補助率は中小企業者で1/2(地域別最低賃金引上げ特例適用時は2/3)です。補助下限が750万円と比較的高いため、小規模な薬局では投資規模が見合うかどうかを事前に検討しておく必要があります。

基本要件として、付加価値額を年平均4.0%以上、一人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上伸ばすことなどが求められ、未達の場合は補助金の返還対象になります。事業場内最低賃金についても、地域別最低賃金+30円以上を毎年維持する必要があります。数字は2026年6月1日時点の公募要領にもとづくため、申請時点の最新要件を必ず確認してください。

申請前に確認しておきたい注意点

  • 事業計画書は申請者自身が作成する必要があり、外部への丸投げは不採択・採択取消の対象になります
  • 交付決定前に発注・契約・購入した経費は補助対象になりません
  • 他の国・公的制度と同一経費での二重受給はできません
  • 新事業進出枠では機械装置費・システム構築費に加えて建物費も対象になりますが、建物の単純な購入・賃貸そのものは対象外です

他の補助金との比較

新事業進出枠が自社の計画に合うかどうか迷う場合は、次の制度とも比較してみると判断しやすくなります。

  • 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠:新商品・新サービスの開発や、既存業態の改良が主軸の場合に検討
  • 中小企業省力化投資補助金(一般型):新事業への進出ではなく、既存の調剤・受付業務の省力化・生産性向上が主目的の場合に検討

「新しいことをしたい」という漠然とした思いを、新市場への進出なのか、既存事業の改善なのかに整理するだけでも、どの補助金が合うかが見えやすくなります。

よくある質問

Q. 在宅医療への参入は必ず新事業進出枠の対象になりますか

方向性としては新事業進出枠の対象になり得ますが、必ず採択されるわけではありません。既存の調剤事業とは異なる新市場・新分野への進出であることを、事業計画の中で具体的な根拠とともに説明できるかが審査のポイントになります。

Q. 開業してまだ1年未満の薬局でも申請できますか

新事業進出枠は、新規設立や開業から1年に満たない事業者は対象外とされています(最低1期分の決算書の提出が必要)。開業間もない場合は、他の制度も含めて資金計画を検討することをおすすめします。

Q. 補助金と融資を組み合わせて資金計画を立てることはできますか

補助金は採択後の実績報告を経て入金される後払いの性質があるため、つなぎ資金として融資を組み合わせる薬局も少なくありません。資金計画全体をどう組むかは、早めに専門家へ相談しておくと安心です。

まとめ

薬局の新規事業を補助金でサポートする「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 新事業進出枠」は、単なる業務効率化や既存事業の延長では対象になりません。「申請者にとって新しい市場か」「高付加価値化といえるか」という基準に立ち返り、在宅医療参入やOTC強化、物販多角化といった候補を、既存の調剤事業と切り分けて説明できるかどうかが採否を左右します。補助上限・補助率・基本要件は制度改定で変わる可能性があるため、申請を検討する際は必ず最新の公募要領を確認したうえで、事業計画を練り込んでいくことをおすすめします。

【無料相談のご案内】

弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

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三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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