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コラム

清掃・ハウスクリーニングの担保なし融資はできる?創業期は原則無担保・無保証人

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清掃・ハウスクリーニングで担保なしの創業融資は使えるのか仕組みを解説

清掃業やハウスクリーニングで独立を考えたとき、「自分には担保に入れられる資産がない」という一点だけで融資をあきらめてしまう方がいます。持ち家もなく、事業に使うのは車と機材くらい、という状態は、この業種では珍しいことではありません。結論からお伝えすると、創業時の融資は担保を差し出すことを前提にした仕組みではありません。この記事では、担保と保証人という論点だけに絞って、制度がどう設計されているのか、担保の有無で何が変わって何が変わらないのか、担保の代わりに何が見られているのかを整理します。金利などの数字は執筆時点で確認できる内容にもとづいています。

創業期の融資は原則として無担保・無保証人で利用できます

清掃・ハウスクリーニング業の創業資金の代表的な調達先は、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。この制度では、創業期の方は原則として無担保・無保証人で借り入れができます。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)で、担保を差し入れられないことを理由に、申込みの入口が閉ざされるわけではありません。

ここでいう「創業期の方」とは、新たに事業を始める方、または事業開始後に税務申告を2期終えていない方を指します。これから独立を準備している段階の方は、この定義にそのまま当てはまります。

なお、かつて無担保・無保証の特例として案内されていた「新創業融資制度」は、2024年3月に廃止されています。現在は各融資制度の側に無担保・無保証人の枠組みが組み込まれているため、「特例の制度が使えなければ担保が必要になる」という理解は現状に合いません。開業ノウハウを紹介する記事のなかには、いまだに廃止済みの制度名で説明しているものがあるため、制度名と時期に気をつけて読んでいただければと思います。

連帯保証人を頼める人がいない場合

担保と並んで相談が多いのが保証人です。創業期の方が対象になる無担保・無保証人の枠組みは、担保と保証人をセットで原則不要とするものです。家族や知人に連帯保証を頼めないことが、そのまま申込みの入口をふさぐわけではありません。一人または少人数で独立する清掃・ハウスクリーニングでは、事業に関わるのが本人だけというケースも多く、この点を気にして相談に来られる方がいます。まずは制度の原則がどうなっているかを確認したうえで、必要な資金と返済の見通しを詰めていく順序になります。

「担保がないから不利」という思い込みを整理します

担保を持たない創業者が不安に感じやすいのは、「担保がないなら、その分きびしく見られて落とされるのではないか」という点です。ただ、創業融資はもともと、営業実績が乏しく資金調達が難しくなりやすい時期を支えるために用意されている仕組みです。担保を差し出せる人だけを想定した設計にはなっていません。

あわせて誤解が多いのが自己資金です。制度上、自己資金の額や割合の要件は決まっていません。かつての「新創業融資制度」にあった10分の1という要件を、いまも必須条件であるかのように説明している情報が残っていますが、現行の制度に同じ固定要件はありません。自己資金が審査の重要な判断材料であることに変わりはないものの、「担保もない、決められた自己資金割合も満たせない」と二重に思い込む必要はありません。

担保の有無で変わるもの、変わらないもの

担保の有無がまったく無関係かというと、そうではありません。変わるのは金利の水準です。2026年6月1日現在の基準利率は、無担保で創業期(税務申告を2期終えていない時期)に利用する場合で年3.45〜5.15%、担保を提供する場合は年2.50〜4.80%です。担保がある方が低い水準に設定されている、という差は確かにあります。なお、いずれも幅があるのは、返済期間や利用する融資制度ごとの規定によって適用される利率が決まるためです。

一方で、担保の有無で変わらないものもあります。創業期の方が利用する場合の利率引下げです。原則0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)の引下げが適用される可能性があり、この引下げは担保の有無を問わず、創業期の方であれば対象になります。ただし適用の可否は利用する制度や審査・条件によって異なるため、必ず下がると考えず、申請先でご確認ください。金利そのものも改定されますので、実際に申し込む時点の数字をあらためて確認していただく必要があります。

小峰精公

💬 執筆者の小峰から一言

この利率引下げは「無担保で借りる人だけの優遇」だと受け取られることがありますが、そうではありません。原則0.65%、雇用の拡大を図る場合は0.9%というこの引下げは、担保を差し入れるかどうかで対象が分かれるものではなく、担保がないことが引下げの条件になっているわけでもないのです。適用されるかどうかは制度や条件によって変わりますので、申請先にご確認ください。

担保の代わりに見られているもの

担保を取らない融資では、返していける見込みを別の材料から読み取ることになります。審査では、事業として創業した実績がなくても、事業計画書と自己資金などをもとに判断されます。判断材料はこの2つに限られるわけではなく、これまでの経験や資金の使いみち、面談でのやり取りなども含めて総合的に見られます。

自己資金については、面談の時点で口座に確認できる形にしておきます。また、創業前に自費で取得した資格や、購入した備品、テストマーケティングにかかった費用などは、「みなし自己資金」として一定の範囲で評価されることがあります。清掃・ハウスクリーニングでは、独立前に講習を自費で受けていたり、練習のために洗剤や機材をそろえていたりする方もいます。該当しそうな支出がある方は、領収書を必ず保管しておいてください。

もうひとつ、創業融資だからといって決算書をまったく見ないわけではありません。新しく設立した会社であっても、一期でも決算が締まっていればその決算書が確認されます。また、代表者が別に会社を経営している場合は、その会社の決算書も確認の対象になります。

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清掃・ハウスクリーニング業ならではの事情

この業種で「担保がない」という状態が起きやすいのには、事業の構造上の理由があります。清掃・ハウスクリーニングは、店舗や工場のような大きな不動産を抱えずに始められる仕事で、事業を支えているのは人と車両と道具です。テナントや大型設備を前提とする業態と比べると、そもそも担保に差し入れられる資産を持たないまま、創業のスタートラインに立つ方が多くなります。担保がないのは個人の準備不足というより、業態としてそうなりやすい、というだけの話です。

そして、車両や清掃機材は、日々の現場で使い続けることで売上を生む道具です。担保として差し出すことを前提にした資産ではありません。創業期の無担保・無保証人という枠組みは、こうした持ち物の少ない業態とも無理なくかみ合っています。「不動産を持っていないから相談する資格がない」と考える必要はありません。

公庫のほかに、自治体の制度融資も選択肢になります。これは自治体・金融機関・信用保証協会の三者が連携する仕組みで、実際にお金を出すのは民間金融機関、信用保証協会は保証を付ける役割を担っています。「信用保証協会からお金を借りる」と説明されることがありますが、正確ではありません。自治体ごとに対象や条件が異なりますので、開業を予定している地域の窓口で内容をご確認ください。

まとめ

清掃・ハウスクリーニングの創業融資では、創業期の方は原則として無担保・無保証人で申し込めます。担保の有無で基準利率の水準は変わりますが(2026年6月1日現在、無担保・創業期で年3.45〜5.15%、有担保で年2.50〜4.80%)、創業期の利率引下げは担保の有無を問わず適用の対象です。担保の代わりに見られているのは、事業計画書や自己資金などの複数の材料であり、担保にできる資産を持ちにくい業態だからといって、はじめから不利が確定するわけではありません。制度も金利も改定されますので、申込みの前に最新の内容を申請先でご確認ください。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

多胡藤夫

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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中野裕哲

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】

税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1,000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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