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コラム

外壁点検サービスを始める建設会社の補助金|資格要件で変わる事業計画

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外壁点検を新しい商品にする前に、建設会社が確かめたい補助金の条件

塗装や防水、改修を手がけてきた会社が、次の柱として「外壁の点検そのもの」を売りたいと考える場面が増えています。無人航空機や赤外線カメラの価格が下がり、足場を組まずに壁面を撮れるようになったことが背景にあります。ところが補助金を調べ始めると、検索結果に並ぶのは建物の持ち主が外壁塗装の工事費に使う自治体の助成金ばかりで、事業者側が点検を新しいサービスとして立ち上げるときの話がなかなか出てきません。この記事では、外壁点検を商品にする建設会社が、補助金の申請書を書き始める前に決めておく論点を整理します。制度の情報は2026年8月時点のものです。

外壁点検には、性質の違う2つの市場があります

同じ「外壁を見る仕事」でも、法律にもとづく調査と、所有者の判断で行う点検とでは、参入するために揃えるものがまったく違います。ここを分けずに事業計画を書くと、機材の話だけが並んだ計画になります。

建築基準法にもとづく定期報告の調査

建築基準法第十二条第一項は、特定行政庁が指定した特定建築物などについて、所有者または管理者が「定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者」に敷地・構造・建築設備の状況を調査させ、その結果を特定行政庁に報告しなければならないと定めています。つまり、この調査を請け負う側にも、有資格者を自社に置くか、外部の資格者と組む体制が求められます。

外壁のタイル等については、国土交通省が「おおむね10年に一度、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的な打診等を行う」考え方を示しています。そのうえで、令和4年1月18日付けで平成20年国土交通省告示第282号が一部改正され、打診以外の調査方法として「無人航空機による赤外線調査であって、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するもの」が明確化されました。無人航空機を使った調査に道が開かれた根拠は、ここにあります。

所有者・管理会社からの任意点検

もう一方は、法定の報告とは関係なく、所有者や管理会社が建物の傷み具合を知るために依頼する点検です。改修工事の提案を前提に、無償または低額で行っている会社もあります。有資格者の要件はありませんが、そのぶん価格が下がりやすく、点検単体で利益を出す設計が難しくなります。

どちらに出るかで、乗せられる補助金が変わります

本文で扱う制度は、社内で内容を確認できている次の5つです。どれを選ぶかは、機材の種類ではなく、いま書いた「どちらの市場に出るか」で先に絞れます。

  • 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 革新的新製品・サービス枠:自社の技術を活かして新しい製品・サービスを開発する取組が対象です。単なる設備・システムの導入や、既存サービスの生産プロセス改善は対象外とされています。また、同業で既に相当程度普及している開発も対象外です。無人航空機による外壁調査は導入が進んでいる分野なので、「機材を入れて点検を始めます」という書き方では、この対象外の側に寄ります。判読の手順や報告書の形など、自社が付け加える中身を計画に書けるかどうかが分かれ目です。
  • 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 新事業進出枠:既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支える枠です。新規性も市場の新しさも「申請者にとって」で判定されます。ただし新規設立・創業後1年に満たない事業者は対象外で、最低1期分の決算書が要ります。
  • 中小企業省力化投資補助金(一般型):既に自社で点検を行っていて、その工程の人手を減らす投資であればこちらが自然です。3〜5年の計画で労働生産性を年平均4.0%以上伸ばす計画が求められます。対象設備にはオーダーメイド性が要り、汎用の設備を単体で入れるだけでは対象外とされています。
  • デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金):撮影データの管理や報告書作成を担うソフト・クラウドが中心です。事務局に登録されたツールを、登録された支援事業者と組んで導入する前提で、機材そのものの主役にはなりにくい制度です。
  • 小規模事業者持続化補助金:建設業は「製造業その他」に当たり、常時使用する従業員20人以下であれば対象の範囲に入ります。販路開拓が主題で、補助上限は基本50万円、インボイス特例と賃金引上げ特例の両方を満たした場合に最大250万円です。点検サービスの案内をどう届けるか、という規模の投資に向きます。

💬 無料相談のご案内

補助金専門行政書士法人は、V-Spirits元補助金審査員の三浦を中心とした専門家チームが補助金支援を行っております。「このケースは補助金の対象になるのか?」といった疑問にも、無料でお答えしております。お気軽にご相談ください。

計画の関門は機材ではなく、3〜5年の数字です

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の各枠には、枠を問わない基本要件があります。事業計画期間(3〜5年)で付加価値額を年平均4.0%以上伸ばすこと、一人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上伸ばすこと、事業場内最低賃金を毎年、地域別最低賃金より30円以上高い水準に保つことの3つです。給与支給総額と事業場内最低賃金は、未達の場合に返還が生じる扱いになっています。

外壁点検は1棟あたりの単価が工事に比べて小さく、件数を積んで売上を作る仕事です。しかも定期報告の市場に出るなら、資格者を採用するか有資格者を育てる分の人件費が先に増えます。人件費が増えれば給与支給総額の分母も動きます。だからこの3つの数字は、機材の見積を集める前に、「どちらの市場で、年間何棟を、いくらで受けるか」という形に置き換えて置いておくほうが、計画が早く固まります。

三浦高

💬 執筆者の三浦から一言

賃上げの数字は、達成できなかったときの扱いが制度ごとに違います。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金や中小企業省力化投資補助金(一般型)は返還が生じ、同じ省力化でもカタログ注文型は減額という整理です(2026年8月時点)。人を増やす前提の事業なら、返還側の制度を選ぶかどうかは慎重に見ています。

見積を組むときに外れやすい費用

制度を絞ったら、次は見積の中身を補助対象と自己負担に仕分けます。外壁点検の立ち上げでは、次のあたりが外れやすい費用です。

  • 汎用の機器:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金では、汎用のパソコンやスマートフォン、車両、建物の単なる購入は対象外とされています。現場に向かう車や事務所の端末は自己負担で見ておく形になります。
  • 解析や判読の外注:同補助金の外注費には補助対象経費総額の4分の1という上限があり、主たる内容の外注はできない扱いです。撮影は自社、判読は外部という設計にすると、事業の主たる部分を外に出しているとみなされる余地が出てきます。
  • 専門家への相談料:専門家経費は5分の1が上限で、1日1人あたり5万円という単価の目安があります。
  • 交付決定より前に動かした費用:交付決定前の発注・契約・購入は対象外です。採択の連絡が来た時点ではまだ発注できません。

あわせて、事業計画は申請者自身が作成するものとされており、外部への丸投げは不採択や取消の対象になります。支援を受ける場合も、事業の中身を説明するのは自社です。

まとめ

外壁点検サービスの立ち上げで補助金を使うなら、機材の比較より先に、建築基準法にもとづく定期報告の調査に出るのか、任意の点検にとどめるのかを決めるところからです。前者は有資格者を含む体制が要り、後者は単価の設計が課題になります。市場が決まれば、乗せられる制度の候補と、付加価値額・賃上げの数字を積み上げる道筋も見えてきます。数字と要件は公募回ごとに変わりますので、申請前に最新の公募要領で確認し、判断に迷う部分は専門家にご相談ください。

【無料相談のご案内】

弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

フリーダイヤル 0120-335-523
お問い合わせフォーム https://v-spirits.com/contacts

三浦高

この記事を書いた人

三浦高/Takashi Miura

元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者

産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。

融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

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中野裕哲

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】

税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1,000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

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