
冷凍ラーメン・冷凍餃子の通販で使う補助金は、誰が製造するかで決まります
店で出しているラーメンや餃子を冷凍にして通販で売りたい、という相談が増えています。調べ始めると急速冷凍機や真空包装機の補助金情報ばかりが出てきますが、実際に制度を絞り込む分かれ目は機械の種類ではありません。その冷凍品を誰が製造するのか、ここで使える補助金が入れ替わります。
この記事では、冷凍ラーメン・冷凍餃子の通販を3つのルートに分けたうえで、それぞれのルートでどの制度の入口に立てるのかを整理します。数字は2026年度の公募要領および社内資料に基づく執筆時点のもので、申請の際は最新の公募要領をご確認ください。
冷凍通販の始め方は、大きく3つのルートに分かれます
同じ「冷凍ラーメンを通販で売る」でも、事業の形は次の3つに分かれます。
- ルート1:店舗の厨房でそのまま作る/営業時間外に仕込んで冷凍し、包装して発送する形です。追加の設備は冷凍庫と包装まわりに限られ、投資額は小さくなります。
- ルート2:加工場を用意して自社で製造する/別に工場や加工室を借り、急速冷凍機や包装機を入れて量産する形です。投資額は一気に大きくなります。
- ルート3:製造を食品メーカーに委託し、自社ブランドで売る/レシピを渡して作ってもらい、自社は企画と販売に回る形です。設備は基本的に買いません。
補助金の制度側は、この3つを別々の事業として扱います。とくにルート3は、設備を買わないという一点だけで、候補に挙がる制度が入れ替わります。
ルート1・2で自社製造するなら、飲食店営業許可とは別の許可が必要です
見落とされやすいのが営業許可です。店舗を営むための飲食店営業許可は、その場で提供する調理を前提にした許可であり、これだけで通販用の冷凍品を製造できるわけではありません。
食品衛生法施行令(昭和28年政令第229号)第35条は、都道府県が施設基準を定めるべき営業を32業種挙げています。冷凍品に関係するのは次の区分です。
- 第27号 冷凍食品製造業/第25号のそうざい製造業に係る食品を製造し、その製造された食品の冷凍品を製造する営業
- 第28号 複合型冷凍食品製造業/前号の営業と併せて、第11号(菓子)・第16号(水産製品)・第24号(麺類)に係る食品の冷凍品を製造する営業
餃子は副食物として供される食品なのでそうざいの系統に、麺は第24号の麺類製造業の系統に置かれています。冷凍の餃子と冷凍の麺を同じ施設で作るなら、区分は第28号の側に寄ります。どの区分に当てはまるかは製造する品目と工程の組み合わせで決まり、施設基準は各都道府県の条例で定められるため、加工場の図面を引く前に管轄の保健所へ相談してください。改修が必要になった場合、その工事費をどの制度に載せられるかも同時に考えることになります。
自社製造なら、設備投資を必須経費とする2つの枠が候補になります
ルート2のように設備を買って自社で製造するなら、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の2つの枠が候補です。どちらも設備投資が前提の設計になっています。
革新的新製品・サービス枠
機械装置・システム構築費が必須かつ主軸で、単価10万円(税抜)以上が条件です。補助下限は100万円、補助上限は従業員1〜5人で750万円、6〜20人で1,000万円。補助率は中小企業者が2分の1、小規模企業・小規模事業者は3分の2です。注意したいのは、単なる設備導入や既存製品の生産プロセス改善では対象にならず、同業ですでに相当程度普及している開発も外れる点です。冷凍にして売ること自体は珍しい取り組みではなくなっているため、自社の製法や品質のどこに新しさがあるのかを言葉にできるかが分かれ目になります。
新事業進出枠
こちらは補助下限が750万円と高く、補助上限は従業員1〜20人で2,500万円です。加工場の改修など建物費が対象になるのはこの枠だけですが、建物の単なる購入・賃貸は対象外です。さらに、新規設立・創業後1年に満たない事業者は対象外で、最低1期分の決算書が必要になります。開業と同時に冷凍事業を立ち上げる計画では、この枠に乗れません。既存事業と同一市場、既存製品の増産、単なる製法変更、単に商圏が違うだけの取り組みも該当しないとされているため、店の味をそのまま冷凍にして売る、という説明だけでは足りません。
製造を委託すると、設備投資型の制度は入口ごと無くなります
ルート3で製造を外部に任せる場合、上の2枠は使いにくくなります。理由は単純で、どちらも機械装置・システム構築費または建物費を必須の経費としているためです。設備を1台も買わない計画では、この必須経費が立ちません。
外注費という区分は両枠にありますが、補助対象経費総額の4分の1が上限で、しかも事業の主たる内容の外注は認められていません。製造そのものを委託する形は、この制約に正面からぶつかります。
委託ルートで現実的な候補は、販路開拓側の制度です。小規模事業者持続化補助金には、包装パッケージの試作に伴う原材料・設計・デザインを扱う新商品開発費、通販サイトの制作や通販モール利用料を扱うウェブサイト関連費、展示会等出展費といった区分があります。補助率は3分の2、上限は基本50万円で、特例を併用した場合は最大250万円です。ただしウェブサイト関連費は交付申請額の上限が30万円(税込)で、この区分のみでの申請はできません。対象になる規模も、商業・サービス業は常時使用する従業員5人以下、製造業その他は20人以下と決まっています。
受注や在庫を管理する仕組みを整えたい場合は、デジタル化・AI導入補助金が候補です。ただし登録されたツールと導入支援事業者を通す前提で、機器単体の購入は対象になりません。
💬 執筆者の三浦から一言
「ものづくり補助金と新事業進出補助金、どちらで出しますか」と聞かれることがあるのですが、この2つは2026年度に統合されて新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の各枠になりました。別々の制度として比較していると、枠の選び方の話が制度の選び方の話にすり替わってしまいます。まず統合後の枠の名前で情報を集め直すところから始めてください。
省力化投資補助金を候補に入れる前に確認したいこと
冷凍関連の設備を調べていると、中小企業省力化投資補助金(一般型)の名前も出てきます。ただしこの制度は既存事業の省力化・生産性向上が主題で、新しい事業を立ち上げる投資が主役の計画には筋が通りにくくなります。
対象になるのはオーダーメイド性のある設備で、汎用設備を複数組み合わせる場合や、導入環境に応じて周辺機器・機器の数・搭載機能が変わる場合が該当します。単価50万円(税抜)以上の機械装置等を最低1つ入れるという要件を満たしていても、汎用設備を単体で導入するだけの事業は対象外です。3〜5年の計画で労働生産性を年平均4.0%以上伸ばす計画が必要で、賃上げ目標が未達の場合は達成率に応じて返還が発生しうる点も踏まえて選んでください。従業員0名の事業者は対象外になりやすいという点も、開業直後の方には効いてきます。
申請前に決めておきたい4項目
- 誰が製造するか/自社か委託かで、設備投資型に進むか販路開拓側に寄せるかが決まります
- 営業許可の区分/自社製造なら管轄の保健所に品目と工程を伝え、必要な区分と施設基準を先に確認します
- 投資額が下限に届くか/革新的新製品・サービス枠は100万円、新事業進出枠は750万円という補助下限があります
- 発注のタイミング/交付決定前の契約・発注・購入は対象外です。見積を取るところまでにとどめます
まとめ
冷凍ラーメン・冷凍餃子の通販は、機械の名前から制度を探すと迷子になります。自社で作るのか委託するのかを先に決め、自社製造なら営業許可の区分と投資額から設備投資型の枠を、委託なら販路開拓側の制度を見る。この順番で整理すると、候補は自然に絞り込まれます。判断に迷う部分があれば、計画の段階でご相談ください。
【無料相談のご案内】
弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























