
補助金の申請と従業員なし:制度ごとの確認点と、1人目を雇う前の段取り
起業したばかりで、まだ従業員を雇っていない個人事業主の方にとって、補助金は気になるものの「従業員がいなくても申請できるのか」という疑問が先に立つのは自然なことです。制度の名称や要件に関する情報が入り混じって、何から確認すればよいか分からなくなることもあるでしょう。
この記事では、従業員の有無が制度の要件にどう関わるのかを整理し、1人目を雇うかどうかを考える前に確認しておきたいことをまとめます。制度の細かな数字や算式は改定されることがあるため扱いません。最新の情報は、各制度の公募要領で確認してください。
結論:従業員0人を一律に対象外とは言えない
結論から申し上げると、補助金の制度によっては従業員の有無が要件に関わるものがあります。そのため「従業員0人では申請できない」と一律に言い切ることはできません。まず制度ごとに、公募要領で従業員に関する要件があるかどうかを確認することが出発点になります。
制度ごとに違う、従業員0名の扱い
今回確認した範囲では、中小企業省力化投資補助金(一般型)は、従業員0名が対象外になりやすい例とされています。省力化を目的とした投資であっても、汎用の設備を単体で導入するだけでは対象外になりやすいとされており、複数の設備を組み合わせるなど、省力化の中身を計画で示す必要があります。
一方、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(新事業進出枠)には、新規設立・創業後1年に満たない事業者は対象外とされている記述があります。起業直後の方にとっては、従業員の話より先に、この期間の要件が効いてくる場合があります。
※制度は改定されることがあるため、申請前に最新の公募要領や事務局(Jグランツ・各制度の事務局サイト)で必ず確認してください。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、2026年度に制度が統合され、現在は革新的新製品・サービス枠や新事業進出枠に分かれて公募されています。枠ごとに要件は異なるため、ご自身が検討する枠の公募要領を読んでください。
従業員の範囲は公募要領の定義で確認する
どの範囲が従業員に当たるかは、制度の公募要領で定められた定義で確認してください。ご自身の働き方と照らして判断に迷う場合は、必要に応じて専門家に相談するのが確実です。この記事では、その判断の細目には踏み込みません。
賃上げ要件は計画の段階で確認が必要
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金には、従業員の給与に関する賃上げの要件があります。要件があるため、事業計画を立てる段階で、その中身と自社の状況を照らし合わせて確認しておく必要があります。ここでは算式や割合、未達時の扱いには触れません。
中小企業省力化投資補助金(一般型)にも、賃上げ目標に関する要件があります。要件の中身は公募要領で確認してください。
1人目を雇ってから申請するまでの一般的な流れ
雇うかどうかは、事業の状況を見て決める経営判断です。補助金のために雇用を急ぐことは勧めていません。まずは公募要領と専門家に相談し、そのうえで必要だと判断した場合に、次のような一般的な段取りを踏むことになります。
- 採用の要否を経営判断として決める
- 給与の支払いを始めるための準備を進める(雇用に伴う各種の手続きを含む)
- 申請を考えている制度の公募回と締切を、事務局の公表情報で確認する
- 公募要領で従業員に関する要件と自社の状況を照らし合わせ、事業計画を申請者自身が作成する
段取りの順番は制度や時期によって変わることがあります。どの順番で進めるのが適切かは、公募要領の内容を読んだうえで、専門家と相談して決めてください。
申請前に避けたい落とし穴
避けたい失敗の一つは、先に人を雇ったり設備を発注したりしてから、要件を確かめることです。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の両枠では、交付決定前の発注・契約・購入は対象外とされています。順番を誤ると、準備したものが補助の対象にならない可能性があります。
また、事業計画は申請者自身が作成する必要があると公募要領に定められています。どの部分を自分の言葉で組み立てるかを、早めに整理しておくと安心です。
💬 執筆者の三浦から一言
従業員の有無で対象かどうかが変わる制度があるため、申請前に要件を一つずつ確かめるのが先になります。人を雇うか、設備を入れるかを決める前に、公募要領の該当箇所を読んでおくと、後から慌てずに済みます。制度の細部は改定されることがあるので、最新版で確かめてください。
よくある質問
従業員0人でも申請できますか
制度によって異なります。従業員の有無が要件に関わる制度があるため、「0人は申請できない」と言い切ることはできません。中小企業省力化投資補助金(一般型)は、従業員0名が対象外になりやすい例とされています。ご自身が検討する制度の公募要領で確認してください。
家族やパートで働いてもらう場合は従業員に数えますか
従業員の範囲は公募要領の定義で確認してください。判断に迷う場合は、必要に応じて専門家に相談してください。
後から雇う予定の場合、今から準備できることはありますか
まず検討している制度の公募要領を読み、従業員に関する要件と、ご自身の事業計画との関係を整理することが出発点です。雇用の時期は、集めた情報をもとにご自身で経営判断として決めてください。
検討の段階で専門家に相談してもよいですか
検討の段階で公募要領を読み、専門家に相談するのは、経営判断の材料を集める一つの方法です。相談の内容や進め方は、ご自身の事業の状況に合わせて決めてください。
※制度は改定されることがあるため、申請前に最新の公募要領や事務局(Jグランツ・各制度の事務局サイト)で必ず確認してください。
まとめ
従業員なしで補助金を検討する場合は、従業員の有無が要件に関わる制度があることを押さえておくのが第一歩です。中小企業省力化投資補助金(一般型)は従業員0名が対象外になりやすい例とされ、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(新事業進出枠)には創業後1年に満たない事業者は対象外との記述があります。賃上げ要件は計画の段階で確認が必要です。
人を雇うかどうかは経営判断です。公募要領の内容を読んだうえで、専門家への相談も含めて判断してください。
【無料相談のご案内】
弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。


この記事を監修した人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1,000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























