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コラム

フランチャイズ開業に日本政策金融公庫の融資は使えるのか?条件と実例

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フランチャイズ開業に日本政策金融公庫の融資は使えるのか?条件と実例

フランチャイズ(以下FC)開業を検討するとき、資金調達の第一候補に挙がるのが日本政策金融公庫の創業融資です。ただ、ネット上の情報を見ても「公庫はFCにあまり貸さない」「本部の指定さえあれば通る」など、両極端な意見が並び、判断に迷う方が多いはずです。

結論からいうと、公庫の創業融資はFC開業でも使えます。ただし、独立開業の案件とは別の論点を3つほど押さえないと、審査の入口で躓きます。この記事では、公庫がFC案件を見るときの実務、対象になる経費、業種別の実例パターン、通すための事前準備までを整理します(情報は執筆時点のものです)。

結論:公庫の創業融資はFC開業でも使える

日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金(旧・新創業融資制度)は、業歴の浅い創業者を対象とした融資制度で、FC開業者も対象に含まれます。FCというだけで申請を断られることはなく、むしろ「本部のサポートがある分、計画の客観性が確保されやすい」と見られる側面もあります。

一方で、公庫がFC案件を慎重に審査するポイントも明確にあります。次の3つです。

公庫がFC案件を見るときの「3つの特有論点」

論点1:加盟金・保証金・研修費の妥当性

FC開業ではほぼ必ず、加盟金・保証金・研修費・初期ロイヤリティといった本部に支払う費用が発生します。公庫はこれらの「使い道」と「金額の妥当性」を確認します。

  • 加盟金が本部の標準的な水準とかけ離れていないか
  • 保証金が契約終了時に返還される性質か、消化費用か
  • 研修費が事業に直接必要な内容か

これらは契約書・本部資料で証明できる必要があり、口頭の説明だけでは通りません。

論点2:本部の収益モデルと加盟店の利益構造

FCは本部からロイヤリティを引かれる構造のため、加盟店が利益を出せるかどうかは「売上シミュレーション ― ロイヤリティ ― 固定費」の差で決まります。公庫の審査では、本部開示の標準モデルだけでなく、自店舗の立地・客単価・客数を踏まえた独自のシミュレーションが求められます。

「本部資料をそのまま提出」は審査でほぼ評価されません。本部資料を起点に、自分の頭で計算し直したものを提出する必要があります。

論点3:申請者の経歴と本部選定の合理性

公庫は申請者の業界経験や、本部選定の合理性も見ます。「業界未経験で、複数本部を比較せずに選んだ」案件は、説明が薄いと弱く評価されます。逆に、「自分の経歴と本部の事業内容が地続きで、複数本部を比較したうえでこの本部を選んだ」と語れる案件は高く評価されます。

公庫融資の対象になる主な経費

FC開業で公庫融資の対象になる経費は、独立開業と基本同じ枠組みです。

  • 設備資金:内装工事費、厨房・店舗設備、什器備品、看板、加盟金、保証金、研修費
  • 運転資金:仕入、家賃、人件費、広告宣伝費、本部ロイヤリティ(数か月分)

加盟金や保証金が設備資金として認められるのは、FC案件ならではの整理です。ただし、保証金のように契約終了時に返還される性質のものは、公庫側で扱いが分かれることがあるため、事前に窓口で確認しておくのが安全です。

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公庫融資が通りやすいFC・通りにくいFC

同じ「FC開業」でも、業種や本部の特性で通りやすさが変わります。

通りやすい傾向

  • 本部の業歴が長く、加盟店数も多くて開示データが豊富
  • 標準的な投資額と回収期間(おおむね5〜7年以内)が明示されている
  • 申請者がその業界の実務経験を持っている
  • 立地条件と客数想定の根拠が、本部の標準モデルだけでなく現地調査ベースで語れる

通りにくい傾向

  • 新興本部で開示データが少ない・加盟店の収益実績が不明瞭
  • 加盟金や保証金が業界水準と乖離している
  • 申請者が業界未経験で、本部研修以外の習熟プランがない
  • 立地条件が本部の標準モデルに合っていない

「通りにくい傾向」が複数当てはまる場合は、申請前に本部選定や事業計画を見直すか、補完できる材料(業務委託で同業界を経験するなど)を整える必要があります。

業種別の実例(4類型)

公庫融資が通った典型的なFC案件を、業種別の4類型に整理します(個別事案ではなく一般化したパターンです)。

類型1:飲食FC(ラーメン・カフェ系)

初期投資1,500〜2,500万円規模。自己資金300〜500万円、公庫融資1,200〜2,000万円のレンジが典型。本部の業歴・加盟店数が多く、立地戦略が標準化されているケースで通りやすい。申請者に飲食店勤務経験があると審査評価が上がる。

類型2:学習塾・教育FC

初期投資500〜1,500万円規模。設備費が比較的小さく、固定費中心の構造。自己資金150〜300万円、公庫融資400〜1,200万円のレンジが典型。申請者の指導経験や採用力(講師確保)が審査の評価ポイントになる。

類型3:コンビニ・小売FC

初期投資300〜1,000万円規模(本部の負担方式により変動)。本部のサポート体制が手厚いため、申請者の経験が薄くても評価されやすい一方、ロイヤリティ負担が大きいため、収益シミュレーションの精度が問われる。

類型4:整体・美容系FC

初期投資800〜2,000万円規模。施術スキルや国家資格の有無が審査評価に直結する。本部の研修体制と申請者のスキル習得計画がセットで説明できないと弱い。

通すための事前準備のポイント

公庫融資をFC開業で通すための準備は、以下の順序で進めるのが現実的です。

  1. 本部資料の精査:加盟金・ロイヤリティ・保証金の内訳、開示データの加盟店収益、契約書の主要条項を確認
  2. 自己シミュレーション:本部資料をベースに、自店舗の立地・客単価・客数で売上計画を再計算
  3. 自己資金の整理:申請時点で通帳に半年〜1年程度プールされていることが望ましい(一括入金は審査で説明を求められる)
  4. 事業計画書の作成:本部選定の理由、自分の経歴との接続、立地分析、収支計画を一連のストーリーで構成
  5. 面談準備:本部任せの説明にせず、自分の言葉で事業を語れる状態に整える

「本部資料を持参すれば通る」と考えるのは危険です。公庫は「申請者がこの事業を自分のものとして語れるか」を見ています。本部の代行ではなく、自分の事業として準備した計画書が通ります。

まとめ:公庫融資は使えるが「FCゆえの審査論点」を押さえる

日本政策金融公庫の創業融資は、FC開業でも問題なく使えます。ただし、加盟金・本部収益モデル・申請者の経歴と本部選定の合理性という、FCならではの審査論点が3つあります。これらを押さえずに「本部に勧められたまま申請する」と、審査の入口で躓くケースが少なくありません。

業種別に通りやすさの傾向もあるため、本部選定の段階から「公庫が通しやすい構造になっているか」を意識すると、後工程で苦労しません。準備段階で迷うことが出てきたら、創業融資の支援経験が豊富な専門家に早めに相談することで、本部選定・事業計画・面談対策まで一気通貫で精度を上げられます。

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小峰

この記事を書いた人

小峰精公/Kiyotaka Komine

元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人

多胡藤夫/Fujio Tago

元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

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この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授

税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。

経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。

【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。

中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。

【主な実績】

  • 起業支援・経営支援の豊富な実績
  • 起業相談件数3,000件以上
  • 資金調達支援1000件以上
  • 大企業Webサイト多数監修
  • 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)

V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。

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