
小規模な飲食店でも中小企業省力化投資補助金は使える|対象設備と申請の進め方
「うちは席数も少ないし、従業員も家族と数人だけ。こんな小さな飲食店でも省力化投資補助金なんて使えるのだろうか」——人手不足が深刻化するなか、券売機や配膳ロボットの導入を検討する個人経営の飲食店オーナーから、こうしたご相談をよくいただきます。結論からお伝えすると、中小企業省力化投資補助金は、小規模な飲食店こそ活用しやすい制度です。本記事では、対象になる設備、従業員数ごとの補助上限の目安、申請の流れ、そして申請前に押さえておきたい注意点を、起業・補助金支援の現場目線で整理します。なお、本記事は執筆時点(2026年6月)の情報をもとにしています。補助金は公募回ごとに要件が変わるため、申請前には必ず最新の公募要領を確認してください。
結論:小規模な飲食店でも省力化投資補助金は使える
中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業・小規模事業者が、省力化(人手のかかる作業を機械やシステムに置き換える)に役立つ設備を導入する際の費用の一部を国が補助する制度です。対象は「中小企業者等」と幅広く設定されており、法人だけでなく個人事業主の飲食店も対象に含まれます。席数や従業員数が少ないことを理由に対象から外れることは、原則としてありません。
むしろ、限られた人数で店舗を回している小規模な飲食店ほど、1台の機械が生み出す省力化効果は大きくなります。レジ締めや配膳、注文受けといった作業を機械に任せられれば、オーナー自身が接客や調理に集中でき、少人数でも無理なく営業を続けやすくなります。
中小企業省力化投資補助金とは
この補助金は、深刻化する人手不足を背景に、省人化・省力化につながる設備投資を後押しする目的で設けられています。ポイントは、単なる設備の買い替えではなく「人手不足の解消」と「労働生産性の向上」につながる投資が対象になるという点です。
カタログ注文型と一般型の2つの枠
申請の枠は大きく2種類に分かれます。小規模な飲食店がまず検討しやすいのは「カタログ注文型」です。
- カタログ注文型:あらかじめ事務局に登録された製品カタログの中から、自店に合う設備を選んで導入する方式です。製品があらかじめ省力化効果を確認されているため、手続きが比較的シンプルで、初めて補助金を使う事業者でも取り組みやすいのが特徴です。
- 一般型:カタログにないオーダーメイドの設備や、より大規模な生産プロセス全体の省力化に取り組む場合の枠です。自由度が高い一方、計画書の作り込みなど準備の負担は大きくなります。
「券売機や配膳ロボットを1〜2台入れたい」という小規模飲食店であれば、まずはカタログ注文型が現実的な選択肢になります。
小規模な飲食店が導入できる設備の例
カタログ注文型で飲食店が活用しやすい設備には、たとえば次のようなものがあります(実際に対象となる製品は、登録カタログに掲載されているものに限られます)。
- 券売機・セルフオーダー端末(注文受けと会計の省力化)
- 自動釣銭機・セルフレジ(レジ締めと現金管理の負担軽減)
- 配膳ロボット(ホールスタッフの歩行・運搬の負担軽減)
- 自動調理器・食器自動洗浄機(厨房作業の省力化)
- 清掃ロボット(閉店後の清掃時間の短縮)
いずれも「これまで人がやっていた作業を機械に置き換え、その分の労働時間を削減する」という観点で選ぶことが重要です。なお、汎用的なパソコンやタブレット単体、店舗の内装工事などは、省力化設備そのものとは見なされず対象外となるのが一般的です。
補助上限額と補助率の目安(従業員数別)
カタログ注文型の補助上限額は、従業員数の規模に応じて段階的に設定されています。執筆時点の代表的な目安は次のとおりです。賃上げなどの上乗せ要件を満たすと、上限額が引き上げられる仕組みになっています。
- 従業員数 5名以下:上限 200万円(上乗せ要件達成時 300万円)
- 従業員数 6〜20名:上限 500万円(同 750万円)
- 従業員数 21名以上:上限 1,000万円(同 1,500万円)
補助率はおおむね2分の1で、導入費用の半分程度が補助される計算になります。多くの小規模飲食店は「5名以下」の区分に当てはまるため、上限200万円(上乗せ要件で300万円)を一つの目安と考えるとよいでしょう。ただし、これらの数字は公募回によって変わる可能性があるため、申請時点の公募要領で必ず最新の金額を確認してください。
申請の流れと準備するもの
カタログ注文型の場合、申請はおおむね次のような流れで進みます。
- 1. GビズIDプライムアカウントを取得する(申請に必須。発行に日数がかかるため早めに準備)
- 2. 導入したい省力化設備と、その製品を取り扱う販売事業者を選ぶ
- 3. 販売事業者と相談しながら、省力化の効果(削減できる労働時間など)を整理する
- 4. 電子申請システムから交付申請を行う
- 5. 交付決定後に設備を導入し、支払いを済ませる
- 6. 実績報告を行い、補助金の交付を受ける
注意したいのは、原則として交付決定の前に発注・契約・支払いをしてしまうと補助の対象外になるという点です。「先に機械を買ってから申請しよう」という順番は認められないため、必ず交付決定を待ってから発注に進みましょう。
小規模飲食店が申請前に押さえる注意点
- 「人手不足の解消」という目的を明確に:単に新しい機械が欲しいというだけでは弱く、どの作業の何時間を削減できるのかを具体的に説明できる状態にしておきます。
- 自己負担分の資金を確保しておく:補助金は原則として後払いです。設備代金はいったん全額を立て替える必要があるため、手元資金や融資での資金繰りも合わせて考えておきましょう。
- 賃上げ要件の扱いを確認する:上限額の上乗せには賃上げの達成が求められる場合があります。達成できなかった場合の取り扱いも事前に理解しておくと安心です。
- 導入後の事業継続まで見据える:補助金は導入して終わりではなく、その後の運用・効果報告まで含めた制度です。無理のない計画にしましょう。
よくある質問
Q. 開業したばかりの飲食店でも申請できますか
創業して間もない事業者でも、中小企業者等の要件を満たしていれば申請は可能です。ただし公募回ごとに細かな要件が異なるため、創業時期に関する条件は最新の公募要領で確認してください。開業資金と合わせて検討する場合は、補助金と融資を組み合わせる方法もあります。
Q. 個人事業主の飲食店でも対象になりますか
はい。中小企業省力化投資補助金は法人だけでなく、個人事業主も対象に含まれます。家族経営の小さな店舗でも、要件を満たせば申請できます。
Q. 補助金と融資はどちらを先に動くべきですか
補助金は後払いのため、設備代金の立て替え資金が必要です。自己資金で立て替えが難しい場合は、融資の相談を並行して進めておくと、交付決定後にスムーズに発注できます。
まとめ
中小企業省力化投資補助金は、小規模な飲食店でも十分に活用できる制度です。券売機や配膳ロボットなど、人手のかかる作業を機械に置き換える設備が対象になり、従業員5名以下なら上限200万円(上乗せ要件で300万円)程度が目安となります。申請ではGビズIDの早めの取得と「交付決定後に発注する」順番を守ることが大切です。とはいえ、どの設備が対象になるのか、自店の状況で何が補助されるのかは判断に迷いやすいポイントです。補助金の対象になるか不安な場合は、専門家に相談しながら進めるのが確実です。
【無料相談のご案内】
弊社では、補助金専門行政書士法人V-Spiritsが補助金支援を行っております。元補助金審査員の三浦を中心とした各種専門家チームが全面的にサポートいたします。このケースは補助金の対象になるのか?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。無料相談も行っているので、ぜひいちどご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura
元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員
中小企業診断士、起業コンサルタント®、
1級販売士、宅地建物取引主任者、
融資・資金調達コンサルタント
行政書士法人V-Spirits 補助者
産業能率大学 兼任教員
2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。
融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。
この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。




























