
一般社団法人でも創業融資は可能?──その実態と注意ポイント
「一般社団法人で創業融資、受けられるんでしょうか…?」
こんなご相談をよくいただきます。ズバリ申し上げますと、一般社団法人でも創業融資は受けられます。ただし、株式会社などの営利法人と比べると、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
今回は、一般社団法人が創業融資を受けるための実務的な知識を、やさしく丁寧に解説してまいります。
1.公庫の創業融資は法人格にかかわらず利用可能
日本政策金融公庫は、「起業家支援」などを目的とした公的な金融機関です。営利・非営利にかかわらず、社会的意義のある事業であれば創業融資の対象になります。
特に、福祉、教育、環境、地域活性などの分野で活動する一般社団法人は、申請が通りやすい傾向にあります。
2.「ソーシャルビジネス支援資金」でチャンスが広がる
公庫には、「ソーシャルビジネス支援資金」という、社会課題の解決に取り組む法人向けの融資制度があります。
これは、介護や子育て支援、まちづくり、NPO的活動を行う法人を対象とした制度で、一般社団法人にもぴったりな内容です。融資限度額や金利も優遇されるケースがありますので、積極的に活用したい制度です。
3.制度融資や民間銀行はややハードル高め
信用保証協会を通す制度融資(都道府県や市区町村が支援する融資制度)は、基本的に営利法人が対象となることが多いです。
一方、民間の金融機関では、返済能力の裏付けがない一般社団法人に対しては、担保や保証人を求められる場合があります。事業内容と収益性をしっかり説明できないと、審査を通すのはやや難しいのが実情です。
4.資金調達のその他の方法も視野に入れて
一般社団法人の場合、創業時に活用できる資金調達の選択肢として以下の方法も有効です。
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基金制度:株式の代わりに出資を受ける仕組み。返済義務のない資金として活用可能。
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役員からの借入金:代表者や理事から資金を調達する形で、スピーディに資金を得られる。
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助成金・補助金:社会的意義のある事業であれば、地方自治体や国の補助金を得られる可能性あり。
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クラウドファンディング:活動の趣旨に共感した支援者から資金を集める新しい方法。
5.創業融資成功のカギは「事業計画」と「社会性」
一般社団法人が創業融資を受ける際には、事業の収益性と社会性の両方を明確に示すことが重要です。
「非営利」とはいえ、赤字続きでは活動を継続できません。たとえば、
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利用料収入の見込み
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自治体や企業との提携予定
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経費管理の仕組み
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将来的な雇用創出の計画
などを、具体的な数値で示すと信頼性が高まります。
6.“総合支援型”の専門事務所を活用しよう
一般社団法人の設立・融資・会計・補助金申請など、やるべきことは多岐にわたります。そんなとき頼りになるのが、ワンストップで対応してくれる支援事務所です。
税理士・行政書士・社労士が連携している事務所なら、
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定款作成や登記
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融資申請書の作成
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助成金の活用アドバイス
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社会保険の手続き
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経理・会計の立ち上げ支援
などを一括してお任せできます。忙しい創業期だからこそ、信頼できるパートナーの存在は大きな安心につながります。
7.面談で見られるポイントと、準備しておくべき資料
日本政策金融公庫などで創業融資を申請する場合、書類審査の後に担当者との面談が行われます。ここで重要なのは、「事業内容をいかに分かりやすく、自信を持って説明できるか」です。
一般社団法人の場合、活動目的が「営利目的」ではないことが多いため、審査担当者にとっては事業の収益構造が見えにくくなりがちです。そこで、以下のような資料をしっかり準備しておくと効果的です。
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売上・収益の構造が分かる図や説明書
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顧客や提携先からの見込み契約・依頼内容
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運営費・人件費などの固定費とその根拠
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自己資金の内訳と確保状況
また、「法人としてきちんと運営できる体制があるか」も見られます。定款、役員構成、設立目的、理事会の運営方針など、組織面でも準備を整えておきましょう。
まとめ:一般社団法人でも創業資金は確保できる!
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一般社団法人でも日本政策金融公庫の創業融資は利用可能。
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特に「ソーシャルビジネス支援資金」は相性が良く、申請しやすい。
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制度融資や民間金融機関は要件に注意が必要。
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その他、基金・役員借入・助成金など多彩な資金調達ルートも。
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成功のポイントは、「収益の見通し×社会的意義」をしっかり伝えること。
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総合支援型の専門事務所に依頼することで、手続きや戦略面の不安が軽減される。
一般社団法人という法人形態は、社会的なミッションに取り組む上で非常に有効です。そして、そのスタートを支えるための資金調達も、正しい方法と戦略があれば、しっかり実現できます。
「一般社団法人での創業融資は難しいのでは…?」と悩まれている方、どうぞお気軽にご相談ください。あなたの夢の実現を、私たちは全力でサポートいたします!
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この記事を書いた人
中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧困状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一。補助金・助成金支援実績600件超。ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版。累計25万部超。無料相談件数は全国から累計3000件を超す。
この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。