
新入社員がすぐ辞める会社の共通点:早期離職の損失は1人657万円
「せっかく採用したのに、新入社員が数カ月で辞めてしまう」——中小企業の経営者から、こうした相談が後を絶ちません。早期離職は、採用にかけた費用や時間がムダになるだけでなく、残ったメンバーの負担増や職場の士気低下にもつながります。一説には、新入社員1人の早期離職による損失は約657万円にのぼるとも言われます。本記事では、新入社員がすぐ辞める会社に共通する特徴と、起業直後の小さな会社でも今日から取り組める対策を、現場目線で整理します。
新入社員の早期離職は「採用のやり直し」では済まない
早期離職のダメージは、求人広告費や採用担当者の人件費だけではありません。教育にかけた時間、戦力化を見込んでいた売上、引き継ぎや再募集にかかる労力など、見えにくいコストが積み重なります。これらを合算すると、新入社員1人が早期に辞めた場合の損失は数百万円規模、一説には約657万円とも試算されています。中小企業にとって、この金額は決して小さくありません。
さらに深刻なのは、離職が連鎖しやすいことです。1人が辞めると残ったメンバーの仕事量が増え、不満がたまり、次の離職を招く——この悪循環に入ると、採用しても採用しても人が定着しない状態に陥ります。だからこそ、辞める「理由」を会社側の課題として捉え直すことが第一歩になります。
新入社員がすぐ辞める会社に共通する5つの特徴
早期離職が続く会社には、業種を問わず似たパターンがあります。自社に当てはまるものがないか、チェックしてみてください。
1. 入社前の説明と実態にギャップがある
求人票や面接で伝えた仕事内容・労働条件と、実際の現場が食い違っていると、新入社員は「話が違う」と感じて早期に離れていきます。人手が欲しいあまり良い面ばかりを伝えると、入社後のギャップが離職につながります。
2. 受け入れ・オンボーディングの仕組みがない
「現場に入れば自然に覚える」という丸投げの受け入れは、早期離職の典型的な原因です。最初の数週間で放置されると、新入社員は孤立感を覚え、「自分は必要とされていない」と感じてしまいます。
3. 最初の上司・先輩との関係が放置されている
退職理由の上位には、いつの時代も人間関係が入ります。特に入社直後は、相談できる相手がいるかどうかが定着を大きく左右します。気軽に質問できる雰囲気がない職場では、小さな不安が積み重なって離職に至ります。
4. 評価・成長の道筋が見えない
「ここで働き続けたら、どう成長できるのか」が見えないと、新入社員は将来を描けません。頑張っても評価されない、給与が上がる見込みがないと感じると、早い段階で転職を考え始めます。
5. 「すぐ辞める世代」と諦めている
「最近の若手はすぐ辞める」と世代のせいにして、会社側が改善を止めてしまうのも共通点です。離職を本人の問題と片づけている限り、会社の受け入れ体制は変わらず、離職は繰り返されます。
早期離職を防ぐために中小企業が今日からできること
大がかりな制度を一度に整える必要はありません。小さな会社でも、次のような取り組みから始めるだけで早期離職は大きく減らせます。
- 求人票と面接で「ありのまま」を伝える:良い面だけでなく、大変な面も正直に伝えることで、入社後のギャップを防ぎます。
- 最初の1カ月の受け入れ計画をつくる:誰が何を教えるか、いつ面談するかを決めておくだけで、放置による孤立を防げます。
- 入社後の定期的な1on1を仕組み化する:週1回でも短い面談を続けることで、不満が大きくなる前に拾えます。
- 小さな成功体験を早めに用意する:最初に達成できる仕事を任せ、できたことを認めることで「ここでやっていける」という実感を持ってもらいます。
- キャリアの見通しを言葉にする:給与や役割がどう変わっていくのかを示し、将来像を一緒に描きます。
こうした取り組みは、単発の施策ではなく「採用から定着までを一つの流れとして設計する」ことで効果を発揮します。とはいえ、日々の業務に追われる中で自社だけで仕組みを組み立てるのは簡単ではありません。何から手をつけるべきか整理したいときは、採用・定着の専門家に伴走してもらうのも一つの方法です。
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V-Spiritsの採用定着支援サービスでは、給与・条件の競合リサーチ、求人原稿の改善、応募後24時間以内の初動対応など、採用がうまくいく会社が実践している型を全国2,000社超の支援実績をもとに採用定着士が伴走で組み立てます。「なぜ採れないのか」「なぜ辞めるのか」を現場目線で診断し、5ステップで仕組み化します。
よくある質問(FAQ)
Q. 給与を上げないと早期離職は止められませんか?
給与は重要な要素ですが、それだけが理由ではありません。受け入れ体制や人間関係、成長の見通しといった「働きやすさ」を整えることで、給与水準が高くなくても定着率を改善している会社は多くあります。
Q. 試用期間中に辞める人が多いのはなぜですか?
入社前のイメージと実態のギャップ、受け入れ時の放置、相談相手の不在が重なると、試用期間という見極めの時期に離職が集中します。最初の数週間の関わり方を見直すことが効果的です。
Q. 小さな会社でも定着の仕組みはつくれますか?
はい。むしろ人数が少ない会社のほうが、経営者の目が届きやすく、面談や受け入れの仕組みを早く回せます。大企業のような制度を真似る必要はなく、自社の規模に合った形で始めることが大切です。
まとめ
新入社員がすぐ辞める会社には、入社前後のギャップ、受け入れの放置、人間関係の不安、成長の見通しのなさ、そして「世代のせい」と諦める姿勢という共通点があります。早期離職の損失は1人あたり数百万円規模にのぼり、離職の連鎖を招くリスクもあります。逆に言えば、求人での正直な情報提供や受け入れ計画づくり、定期的な1on1といった小さな取り組みで、定着率は着実に改善できます。採用から定着までを一つの流れとして設計し、必要に応じて専門家の力も借りながら、人が辞めない職場づくりを進めていきましょう。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)
V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。
【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など
【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧婚状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。
同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。
大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。
ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、数々の実績を残しています。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。
- 経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一
- 補助金・助成金支援実績600件超
- ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版(累計25万部超)
- 無料相談件数は全国から累計3,000件超
この記事を書いた人
坂井 優介(Yusuke Sakai)
起業コンサルタント® / 採用定着士 / 行政書士法人V-Spirits 補助者
1988年東京都生まれ。転勤族の父の影響で幼少期を愛知・長野・岩手・埼玉で過ごす。転入するたびに方言や文化の違いをからかわれつつも、1週間もあれば現地に溶け込む適応力を身につける。
大学在学中に公認会計士試験にチャレンジするも挫折し、アルバイト先だった埼玉の大手学習塾に就職。塾業界特有の過酷な労働環境の中でも10年間勤務を続けるが、成果を上げても給与が変わらない状況に限界を感じ、在職中に会計士試験に再挑戦。再び挫折するも、学んだ会計知識を活かせる職場を求めて転職活動を開始。2021年にV-Spiritsグループに参画し、2022年よりV-Spirits総合研究所の常務取締役に就任。
現在は、中小企業の経営者向けに補助金・助成金の支援から採用定着の仕組みづくりまで幅広く担当。「制度を使いこなす中小企業を増やす」をテーマに、現場に寄り添ったサポートを行っている。
役職:V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役 / 税理士法人V-Spirits 業務部長 / 社会保険労務士法人V-Spirits 業務部長
担当業務:経済産業省系補助金支援・厚生労働省系助成金支援・マーケティング・人事労務・採用定着支援




























