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コラム

早期離職を防ぐためのオンボーディング設計:入社30日・90日の施策

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早期離職を防ぐためのオンボーディング設計:入社30日・90日の施策

せっかく採用した社員が数か月で辞めてしまう——中小企業の経営者・人事担当者にとって、早期離職は採用コストと現場の士気を同時に削る深刻な問題です。

大卒新入社員の3年以内離職率は30%を超え、中途入社者でも同程度の水準が続いています。離職を防ぐには、採用段階だけでなく「入社してからの受け入れ体制」が決定的に重要です。

この記事では、入社後30日・90日という2つの節目に焦点を当て、中小企業でも実践できるオンボーディング施策を具体的に解説します。

早期離職が起きる主な原因

早期離職の原因は一つではありません。複数の要因が重なって退職の決断につながります。

  • 入社前のイメージと実際の業務・社風のギャップ
  • 入社直後に放置され、孤立感を感じる
  • 業務の進め方や評価基準が不明確
  • 上司・同僚との人間関係がうまく築けない
  • 「この会社で成長できるか」が見えない

共通しているのは、入社後の数か月間に適切なフォローがないまま不安が蓄積するパターンです。逆に言えば、入社直後の受け入れ体制を整えることで、これらの原因の多くは緩和できます。

オンボーディングとは?早期離職防止に有効な理由

オンボーディングとは、新しく入社した社員が組織になじみ、早期に戦力化するための一連の受け入れ施策を指します。従来の「入社時研修」とは異なり、入社前から入社後数か月にわたって継続的にサポートする点が特徴です。

オンボーディングが早期離職の防止に有効な理由は、大きく3つあります。

  • 入社直後の不安を軽減し、「歓迎されている」という実感を作れる
  • 役割・期待値を明確にすることで、業務上の迷いを減らせる
  • 人間関係の土台を早期に構築できる

とくに中小企業では、大企業のように体系的な研修プログラムを持たないケースが多いため、「入社後に何をすべきか」を明文化しておくだけでも大きな効果があります。

入社30日の施策:定着の土台をつくる

入社後30日間は、新入社員が「この会社でやっていけそうだ」と感じるかどうかの分岐点です。この期間に手を打つかどうかで、その後の定着率が大きく変わります。

初日〜1週間:歓迎と環境整備

入社初日は、新入社員にとって最も緊張する1日です。以下のような対応を事前に準備しておきましょう。

  • デスク・PC・備品は初日までに揃えておく(「席がない」は致命的)
  • 直属の上司だけでなく、チーム全員に紹介する場を設ける
  • ランチや休憩を一緒に取る担当(バディ)を決めておく
  • 最初の1週間の業務スケジュールを書面で渡す

「歓迎されている」と感じられるかどうかが、入社直後の不安を和らげる最大の要素です。

2週間〜30日:役割理解と面談

入社2週間を過ぎると、業務の全体像が見え始め、同時に「思っていたのと違う」という違和感も出やすくなります。この時期にやるべきことは次のとおりです。

  • 30日面談を設定し、3つの観点で確認する:①役割の理解度、②困っていること(業務・人間関係・スキル)、③必要な支援
  • 「質問していい雰囲気」を作る(分からないことを聞けないまま抱え込むケースは多い)
  • 期待する成果のレベルを具体的に伝える(いきなり高い成果を求めすぎない)

30日面談は、問題を早期に発見するための「定期健診」のような位置づけです。形式ばらず、15〜30分の短い時間でも構いません。

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入社31日〜90日の施策:自走への橋渡し

30日を過ぎると、新入社員は基本的な業務の流れを覚え始めます。ここからは「教わる人」から「自分で動ける人」への移行をサポートする段階です。

目標設定を「作業」から「成果」へ切り替える

入社直後は「○○の手順を覚える」「△△のツールを使えるようになる」といった作業レベルの目標で十分です。しかし31日以降は、少しずつ成果レベルの目標に切り替えていきましょう。

  • 「見積書を作れる」→「1人で見積書を作成し、上司に提出できる」
  • 「電話対応ができる」→「問い合わせの7割を自分で完結できる」

判断基準を共有し、裁量の範囲を少しずつ広げることで、「自分で考えて動ける」実感を持たせるのがポイントです。

メンター・チューターを活用する

60〜90日の期間は、直属の上司だけでなく、年齢や経験が近い先輩社員をメンターやチューターとして配置すると効果的です。

  • チューター:日々の業務の質問に答える実務寄りの役割
  • メンター:キャリアや会社生活全般の相談役。部署を越えて配置するケースも

中小企業では兼任になることが多いですが、「困ったときに頼れる人が明確にいる」という状態を作ること自体が重要です。

90日以降の定着を支える仕組み

90日を過ぎれば試用期間が終わる企業も多く、新入社員にとって一つの区切りになります。ただし、90日で定着が確定するわけではありません。半年〜1年の間は引き続きフォローが必要です。

定期的な1on1面談を継続する

30日・90日の面談は「節目のイベント」ですが、本当に効果があるのは月1回程度の定期的な1on1です。面談の内容は難しく考えず、次の3つを聞けば十分です。

  • 最近の業務で困っていることはあるか
  • チーム内のコミュニケーションに不安はないか
  • 今後やってみたい仕事や身につけたいスキルはあるか

キャリアパスを可視化する

「この会社にいて、自分はどう成長できるのか」が見えないと、社員は将来に不安を感じて転職を考え始めます。中小企業では大企業のような明確な昇進ルートがないケースも多いですが、だからこそ「この業務を経験すると次にこういう役割を任せたい」といった成長の道筋を1on1の中で伝えることが大切です。

オンボーディングで築いた信頼関係を土台に、入社後の定着支援を「仕組み」として回していくことが、採用した人材を長期的に活かすための鍵になります。

V-Spiritsの採用定着支援サービスでは、こうしたオンボーディングの設計から運用まで、採用定着士が中小企業に伴走しながらサポートしています。

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中小企業がオンボーディングを導入する3つのコツ

大企業のように専任の研修担当者を置けない中小企業でも、次の3点を押さえればオンボーディングは機能します。

1. 完璧なプログラムより「最低限の型」を決める

初日にやること・1週間後にやること・30日面談・90日面談の4つだけでも書き出しておけば、担当者が変わっても一定の品質でオンボーディングを回せます。最初は簡単なチェックリスト1枚で十分です。

2. 受け入れ側の準備を「入社前」に終わらせる

デスクやPCの手配、チームへの周知、初日のスケジュール作成は、入社日の前に完了させましょう。「初日にバタバタして何も用意されていない」は、新入社員の不安を一気に増幅させます。

3. 経営者自身がオンボーディングに関わる

中小企業の強みは、経営者と社員の距離が近いことです。初日の挨拶や30日面談に経営者が顔を出すだけでも、「自分はこの会社に大切にされている」というメッセージになります。人事部門がない会社ほど、経営者の関与が定着率に直結します。

まとめ

早期離職を防ぐためには、採用の質を高めるだけでなく、入社後のオンボーディングを仕組みとして設計することが欠かせません。

入社30日では「歓迎と環境整備」「役割理解と面談」で定着の土台を作り、31日〜90日では「目標設定の切り替え」「メンター配置」で自走への橋渡しを行います。90日以降も1on1面談やキャリアパスの可視化で継続的にフォローすることが、長期的な定着につながります。

中小企業でも、チェックリスト1枚から始められるオンボーディングの仕組みを作ってみてください。採用にかけたコストと時間を無駄にしないための、最も確実な投資です。

中野裕哲 採用定着関係紹介画像

この記事を監修した人


中野裕哲

中野裕哲/Nakano Hiroaki

起業コンサルタント(R)、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、サーティファイドファイナンシャルプランナー・CFP(R)、1 級FP技能士。大正大学招聘教授(起業論、ゼミ等)

V-Spiritsグループ創業者。税理士法人V-Spiritsグループ代表。東京池袋を本拠に全国の起業家・経営者さんを応援!「ベストセラー起業本」の著者。著書20冊、累計25万部超。経済産業省後援「DREAMGATE」で12年連続相談件数日本一。

【まるごと起業支援(R)・経営支援】
起業コンサル(事業計画+融資+補助金+会社設立支援)+起業後の総合サポート(経理 税務 事業計画書 融資 補助金 助成金 人事 給与計算 社会保険 法務 許認可 公庫連携 認定支援機関)など

【略歴】
経営者である父の元に生まれ、幼き頃より経営者になることを目標として過ごす。バブル崩壊の影響を受け経営が悪化。一家離散に近い貧婚状況を経験し、「経営者の支援」をライフワークとしたいと決意。それに役立ちそうな各種資格を学生時代を中心に取得。

同じく経営者であるメンターの伯父より、単に書類や手続を追求する専門家としてではなく、視野を広げ「ビジネス」の現場での経験を元に経営者の「経営そのもの」を支援できるような専門家を目指すようアドバイスを受け、社会人生活をスタート。

大手、中小、ベンチャー企業、会計事務所等で営業、経理、財務、人事、総務、管理職、経営陣等、ビジネスの「現場」での充実した修行の日々を送ったあと、2007年に独立。

ほかにはない支援スタイルが起業家・経営者に受け入れられ、数々の実績を残しています。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。

  • 経済産業省「DREAM GATE」にて、面談相談12年連続日本一
  • 補助金・助成金支援実績600件超
  • ベストセラー含む起業・経営本20冊を出版(累計25万部超)
  • 無料相談件数は全国から累計3,000件超

この記事を書いた人

坂井 優介(Yusuke Sakai)

起業コンサルタント® / 採用定着士 / 行政書士法人V-Spirits 補助者

1988年東京都生まれ。転勤族の父の影響で幼少期を愛知・長野・岩手・埼玉で過ごす。転入するたびに方言や文化の違いをからかわれつつも、1週間もあれば現地に溶け込む適応力を身につける。

大学在学中に公認会計士試験にチャレンジするも挫折し、アルバイト先だった埼玉の大手学習塾に就職。塾業界特有の過酷な労働環境の中でも10年間勤務を続けるが、成果を上げても給与が変わらない状況に限界を感じ、在職中に会計士試験に再挑戦。再び挫折するも、学んだ会計知識を活かせる職場を求めて転職活動を開始。2021年にV-Spiritsグループに参画し、2022年よりV-Spirits総合研究所の常務取締役に就任。

現在は、中小企業の経営者向けに補助金・助成金の支援から採用定着の仕組みづくりまで幅広く担当。「制度を使いこなす中小企業を増やす」をテーマに、現場に寄り添ったサポートを行っている。

役職:V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役 / 税理士法人V-Spirits 業務部長 / 社会保険労務士法人V-Spirits 業務部長
担当業務:経済産業省系補助金支援・厚生労働省系助成金支援・マーケティング・人事労務・採用定着支援

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