
整体院の開業融資で審査に落ちる理由7つと、断られないための対策
「整体院を開業したいけれど、融資の審査に落ちたらどうしよう」——これから独立を準備している施術者の方なら、一度は不安に感じるポイントではないでしょうか。創業時の融資は、事業実績がない分、計画書や自己資金、面談での受け答えといった「準備の質」で結果が大きく変わります。逆にいえば、落ちる理由はある程度パターン化されており、先に潰しておけば回避できるものがほとんどです。
この記事では、整体院の開業融資で審査に通りにくくなる代表的な理由を具体的に挙げ、それぞれの対策まで整理します。整体院(民間資格・無資格でも開業可)ならではの事情や、整骨院(柔道整復師)との違いにも触れていきます。なお、本記事の制度・数字は2026年6月執筆時点の情報をもとにしています。融資制度や金利は変わりやすいため、申込み前に必ず日本政策金融公庫など公式の最新情報もご確認ください。
整体院の開業融資はどこで受けるのが基本か
整体院の開業資金を融資で調達する場合、まず検討したいのが日本政策金融公庫(政府系金融機関)です。民間金融機関では実績のない創業者への融資に慎重になりがちですが、公庫は創業期の支援に積極的で、原則として無担保・無保証人での借入が可能です。事業の実績がなくても、事業計画書と自己資金をもとに審査される点が、創業者にとって大きな意味を持ちます。
2026年6月執筆時点では、創業者向けの主力制度は「新規開業・スタートアップ支援資金」で、融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)、税務申告2期以内の方の場合、原則0.65%(雇用拡大を図る場合は0.9%)の引下げが適用される可能性があります。整体院の開業はテナント・施術用ベッド・内装程度で済むケースも多く、限度額の上限を使い切ることはまれですが、制度の全体像を知っておくと計画が立てやすくなります。
整体院の開業融資で審査に落ちる7つの理由
ここからが本題です。創業融資で「あと一歩で通らなかった」という方に共通しがちな落とし穴を、整体院の開業に即して挙げていきます。
1. 自己資金が少なすぎる・出所を説明できない
創業融資の審査で最も重く見られるのが自己資金です。金額そのものだけでなく、「どうやって貯めたか」も問われます。コツコツ積み立てた預金は計画性の証拠としてプラスに働きますが、申込み直前に親族の口座から振り込まれたお金(いわゆる「見せ金」)は、通帳の動きですぐ分かり、かえって不利になります。自己資金は申請時点で口座に確認できる形にし、複数口座に分散しているなら申請用のメイン口座に集約して、通帳ですぐ説明できる状態にしておきましょう。
2. 事業計画書の数字に根拠がない
整体院は「1回◯円 × 1日◯人 × 営業日数」で売上が組み立てられるため、計画書の説得力は数字の裏づけで決まります。「開業すれば自然に患者が来る」という前提や、根拠のない右肩上がりの予測は、審査担当者に楽観的すぎると受け取られます。近隣の競合状況、想定する単価、リピート率の見込みなど、なぜその数字になるのかを自分の言葉で説明できるかが分かれ目です。
3. 資金使途に「対象外の費用」を混ぜている
意外と見落とされがちなのが資金使途の組み立てです。オフィス・テナント関連費用のうち、敷金・礼金・仲介手数料は資金使途に含めません。保証会社費用も同様です。また、運転資金として認められるのは「事業に必要な支出」であり、経営者自身の生活費(家賃・食費など事業と無関係な支出)は対象になりません。生活費を運転資金に紛れ込ませると計画書の信頼性を損ない、審査に不利になります。一方で、従業員の人件費は事業活動に必要な経費として運転資金に計上できます。
4. 整体院の事業内容が金融機関に伝わっていない
ここは整体院ならではの落とし穴です。整体院は、柔道整復師の国家資格が必要な整骨院(接骨院)とは異なり、民間資格や無資格でも開業できます。その分、施術者の技術や提供サービスの中身が外から見えにくく、金融機関の担当者が事業内容を正しくイメージできないことがあります。「どんな施術を、誰に、いくらで提供するのか」「健康保険は使えるのか(整体院は保険適用外の自由診療が基本)」といった点を計画書や面談で明確に伝えないと、収益の見通しが評価されにくくなります。整骨院との違いを自分で整理して説明できることが、整体院の融資では差別化につながります。
5. 開業実績・経験のアピールが弱い
創業時は事業実績がないため、施術者としての実務経験や修業歴が経験値の代わりになります。整体院やリラクゼーション店での勤務歴、習得した技術、固定客の見込みなどは、計画の実現可能性を裏づける材料です。逆に、未経験から十分な準備なく開業しようとすると、審査担当者は「本当に売上を立てられるのか」と慎重になります。経歴と開業計画のつながりを、ストーリーとして示せるかが大切です。
6. 信用情報・税金や公共料金の支払いに問題がある
クレジットカードやローンの返済遅延、税金・公共料金の滞納は、審査でマイナスに働きます。これらは「お金の約束を守れる人か」という信用の土台に関わる部分です。心当たりがある場合は、申込み前に滞納を解消し、しばらく実績を積んでから申し込むなど、タイミングを含めて検討するとよいでしょう。
7. 面談での受け答えが準備不足
創業融資では面談があり、計画書に書いた内容を自分の言葉で説明できるかが見られます。計画書は通っても、面談で数字の根拠を答えられなかったり、事業への熱意や準備の具体性が伝わらなかったりすると、評価が下がります。計画書は「他人が作った資料」ではなく「自分の事業の設計図」として、隅々まで把握しておくことが必要です。
整体院ならではの注意点:整骨院との違いを押さえる
同じ「治療院」のくくりでも、整体院と整骨院では融資審査で見られるポイントが少し異なります。整骨院は柔道整復師という国家資格があり、一定の範囲で健康保険を扱えるため、収益モデルが金融機関にも比較的伝わりやすい側面があります。一方、整体院は資格要件がゆるやかで自由診療が基本のため、「施術内容の説明」「単価設定の根拠」「集客の方法」をより丁寧に示す必要があります。
この違いを逆手に取れば、整体院でも「自由診療だからこそ単価を自分で設計できる」「特定の症状やターゲットに特化して差別化できる」といった強みを計画書で前向きに表現できます。自分の整体院がどの層に、どんな価値を提供するのかを言語化することが、審査でもその後の経営でも効いてきます。
審査に落ちないための準備チェックリスト
- 自己資金は申請時点で口座に確認できる形にし、出所を通帳で説明できるようにしておく
- 売上計画は「単価 × 客数 × 営業日数」で根拠を示し、競合・立地も踏まえる
- 資金使途から敷金・礼金・仲介手数料・保証会社費用・生活費を除く
- 整体院の施術内容・単価・自由診療である点を計画書で明確に伝える
- 施術経験・修業歴と開業計画のつながりを示す
- 税金・公共料金・各種ローンの滞納がないか事前に確認する
- 面談で計画書の数字を自分の言葉で説明できるよう準備する
なお、補助金・融資の入金にかかる税務上の取り扱いや、開業に伴う各種手続きについては、判断を誤ると思わぬ負担につながることがあります。こうした個別の税務処理や手続きの詳細は、税理士など専門家に相談しながら進めるのが安心です。
よくある質問
Q. 自己資金は申請時点で全額入金しておくべきですか
はい、原則として申請時点で口座に確認できる形にしておきます。複数口座に分かれている場合は、申請用のメイン口座に集約し、通帳ですぐ説明できる状態にしておくと、審査がスムーズになります。
Q. 一度審査に落ちたら、もう融資は受けられませんか
一度の不採択で終わりというわけではありません。落ちた理由を整理し、自己資金や計画書、信用情報といった課題を改善したうえで、時期を見て再挑戦する方は少なくありません。ただし「必ず通る」と断言できるものではないため、何が評価されなかったのかを冷静に振り返り、準備を整えてから再申込みすることが大切です。
Q. 申込みからどのくらいで融資が実行されますか
2026年6月執筆時点の目安として、書類提出後おおむね3週間〜1か月程度で実行されます。創業計画書・自己資金エビデンス・見積書などの準備期間を含めると、合計で2か月程度を見ておくと安全です。開業日から逆算して、余裕を持って準備を始めましょう。
まとめ
整体院の開業融資で審査に落ちる理由は、自己資金の不足や出所不明、計画書の根拠不足、資金使途の誤り、事業内容の説明不足、経験のアピール不足、信用情報の問題、面談準備の不足など、ある程度パターン化されています。整体院は資格要件がゆるやかな分、事業内容や収益モデルを自分でしっかり説明できることが、整骨院との差別化にもなります。本記事の数字は2026年6月執筆時点のものであり、制度・金利は変わりやすいため、申込み前に公式情報の確認も忘れずに行ってください。
「自分の計画書で通るか不安」「何から準備すればいいか分からない」という段階でも、早めに専門家へ相談することで、落ちる理由を先回りして潰すことができます。下記より、創業融資の専門家にお気軽にご相談ください。
【無料相談のご案内】
融資を受けるには何から始めればいいの?といった疑問に対して適切なアドバイスを無料にて行っております。
無料相談も行っているので、ぜひ一度、ご相談ください。お問い合わせお待ちしております!

この記事を書いた人
小峰精公/Kiyotaka Komine
元朝日信用金庫 法人営業
資金繰り解決コンサルタント
V-Spirits総合研究所株式会社 常務取締役
大学卒業後、朝日信用金庫に入庫。朝日信用金庫での経験が原点となり、「銀行融資取引」や「資金繰り」の本質を企業へ伝えていくことがミッションだと確信する。
日本の99%は中小零細企業で成り立っている現状を痛感し、1社でも多くの企業の「資金繰り」の課題を解決していくことに専念する。
クライアント様がより良い商品やサービスを提供することができる環境づくりの一助となれるよう全身全霊を尽くす。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago
元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役
同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。
支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。
日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。
長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。

この記事を監修した人

中野裕哲/Nakano Hiroaki
税理士法人V-Spiritsグループ代表/税理士/行政書士/特定社会保険労務士/採用定着士/ファイナンシャルプランナー/起業コンサルタント/経営コンサルタント/大正大学招聘教授
税理士法人V-Spiritsグループ代表の中野裕哲は、中小企業経営者のために、税務・会計だけでなく、採用、人事、資金繰り、融資、補助金、助成金、営業、Webマーケティング、売上導線設計まで横断的に支援する実戦型経営税理士です。
経営の悩みは、突き詰めると「人・金・売上」に集約されます。中野裕哲は、大企業人事部、人材紹介会社の採用エージェント、中小企業の財務責任者、大手不動産会社での営業、出版・Web制作による集客導線構築など、幅広い実務経験をもとに、経営者の意思決定を支援します。
【対応領域】
税理士顧問、社労士顧問、補助金支援、助成金支援、資金調達支援、採用力診断、売上導線診断、経営参謀顧問。税務・会計・決算・節税に加えて、経営分析、労務管理、社会保険、助成金、採用体制づくり、融資、補助金、事業計画、営業戦略、Webマーケティング、出版、メディア活用まで一体的に相談できます。
中野裕哲は、家業の倒産危機からの壮絶な貧乏体験を原点に、お金で苦しむ経営者をひとりにしないことを掲げています。資金繰り、採用、売上づくりの壁に対して、経営者目線で伴走します。
【主な実績】
- 起業支援・経営支援の豊富な実績
- 起業相談件数3,000件以上
- 資金調達支援1000件以上
- 大企業Webサイト多数監修
- 商業出版著書監修約32冊(累計30万部超)
V-Spiritsグループでは、融資・補助金・金融機関対応に詳しい社内役員チームも伴走します。元経済産業省系補助金審査員・事務局員、元日本政策金融公庫支店長、元信用金庫融資担当営業などの専門家が、補助金申請、事業計画、資金繰り、金融機関対応を実務面から支援します。
税理士顧問、社労士顧問、融資、補助金、助成金、採用、営業、マーケティングまで、経営者が本当に悩む領域をワンストップで相談できます。V-Spiritsグループは、起業支援・会社設立・創業融資・補助金助成金・税務会計・人事労務・許認可・経営顧問をワンストップで支援する、起業家・中小企業向けの専門家グループです。



























