
事業性評価融資に期待すべきか?その仕組みと活用の注意点を解説
目次
事業性評価融資とは?基本的な考え方
従来の融資との違い
なぜあまり実行件数が多くないのか
期待しすぎるべきではない理由
日々の経営努力が融資につながる
よくある質問(FAQ)
動画でわかる事業性評価融資
1. 事業性評価融資とは?基本的な考え方
「事業性評価融資(じぎょうせいひょうかゆうし)」とは、従来のように財務内容や担保の有無に依存せず、企業の将来性や成長可能性を総合的に判断し、融資を行う制度です。
特にスタートアップや、新規事業展開を目指す中小企業にとっては心強い制度ともいえるでしょう。
2. 従来の融資との違い
■ 従来の融資(定量重視)
決算書や試算表などの数字を重視
担保・保証の有無が判断基準
赤字や自己資本比率が低いと融資困難
■ 事業性評価融資(定性重視)
事業内容・ビジョン・経営者の人柄も評価対象
設備や人材投資への理解もある
担保がなくても融資が受けられる可能性がある
3. なぜあまり実行件数が多くないのか
理想的な制度である一方で、実際にはまだ融資実行件数が少ないのが現状です。その理由としては次の通りです。
相対評価ではなく、金融機関独自の絶対評価となるため基準が曖昧
担当者個人の“目利き力”に依存する傾向が強く、属人性が高い
金融機関側もリスクを恐れ、慎重な対応になりがち
つまり「仕組みは理想的でも、現場での活用が難しい」状態といえます。
4. 期待しすぎるべきではない理由
現在のところ、事業性評価融資は金融機関側から提案されるケースがほとんどです。
「うちの会社も事業性評価で見てください!」
といっても、融資に直結するとは限りません。
評価する側(金融機関)も、自らの判断でリスクを背負うことになるため、一般的な創業融資よりもハードルは高めです。
5. 日々の経営努力が融資につながる
結論としては、事業性評価融資に過度な期待をするのではなく、まずは次のような基本的な信頼構築を日常的に行うことが重要です。
試算表を毎月提出し、オープンな情報共有を行う
業績が悪いときも誠実に報告・相談する
ビジョンや計画を言語化し、伝えられるよう準備しておく
その積み重ねが「この会社は応援したい」と思ってもらえる信用力となり、事業性評価につながる素地を築くのです。
6. よくある質問(FAQ)
Q1. 事業性評価融資はどの金融機関でも受けられますか?
A. 対応状況は金融機関ごとに異なります。同じ事業でも、A銀行はOK、B銀行はNGというケースもあります。
Q2. 担保や保証がないと難しいですか?
A. 原則、担保に依存しないのが事業性評価融資の特徴ですが、金融機関が不安を感じる場合には追加資料や保証が必要になることもあります。
Q3. 自分から申請することはできますか?
A. 形式上は可能ですが、現場では金融機関からの提案で進むケースが多いため、まずは信頼関係を築くことが先決です。
7. 動画でわかる事業性評価融資
より詳しく理解したい方は、こちらの動画もぜひご覧ください。
事業性評価融資の現場での実情や、成功事例などをわかりやすく解説しています。
【無料相談のご案内】

この記事を書いた人
三浦高/Takashi Miura 元創業補助金(経済産業省系補助金)審査員・事務局員 中小企業診断士、起業コンサルタント®、 1級販売士、宅地建物取引主任者、 補助金コンサルタント、融資・資金調達コンサルタント、 産業能率大学 兼任教員 2024年現在、各種補助金の累計支援件数は300件を超える。 融資申請のノウハウも蓄積し、さらに磨きを掛けるべく日々事業計画書に向き合っている。

この記事を監修した人
多胡藤夫/Fujio Tago 元日本政策金融公庫支店長、社会生産性本部認定経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、V-Spirits総合研究所株式会社 取締役 同志社大学法学部卒業後、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)に入行。 約63,000社の中小企業や起業家への融資業務に従事し審査に精通する。 支店長時代にはベンチャー企業支援審査会委員長、企業再生協議会委員など数々の要職を歴任したあと、定年退職。 日本の起業家、中小企業を支援すべく独立し、その後、V-Spiritsグループに合流。 長年融資をする側の立場にいた経験、ノウハウをフル活用し、融資を受けるためのコツを本音で伝えている。


























